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ドブス顔面キモ人間 The Final Season #2
前回までのドブス
生活保護受給に来たドブ川は、口論の末、陰部を人前で露出させてしまう。
社会的にアウトの判定を取ったドブ川は精神病院へと送られる。
新たな場所に移ったドブ川には、これからどんな出会いが待っているのだろうか。
それは誰にも分からない。
デーン♪
第二話「ATHIWA」
精神病院に入れられ、俺は最初から拘束具をつけられた。
最初の1週間は一人独房で過ごした。
刑務所時代を思い出し、辛かった。苦しかった。
しかしそれも1週間が立つと、俺は入所者が集まる食堂兼広間のところに移された。
そこでは色々な人が生活していて、色んな人と話をした。
そこで俺はとある老人と仲良くなった。
彼が教えてくれたのは、この病院は人肉工場で入所者は最終的に食べられてしまうという話だった。
意味が分からなかった。
そんな妄想に近い話を聞いている内に、だんだんこの老人は何者なんだ。なぜかどこかで見たことがある感じがした。
「おじさん、あなたって一体何者なんですか?」
「異次元人、そう答えようかな」
「どういうことなんですか?」
「僕は異次元から人肉工場の人々を開放させようと立ち上がった、ある種の自称革命家なんだよ」
「異次元から来たということは、もう一人の貴方がこの次元にもいる可能性もあるんですか?」
「ああ、この次元の僕はとっくに殺されてしまったよ」
「殺されたって、まさか…」
「そう、あの阿知波マサヒコだよ」
「あの革命家の。あの」
「そう、あの阿知波だ」
僕は腰を抜かしてしまった。
「僕も当時その革命に参加して、最終的に大統領を殺しちゃったんですけど、阿知波さん本人に会えるとは光栄です!」
「そうだね、この次元の僕はキモ人間解放運動とかやって、世界の政権を大きく変えてしまったらしいからね。それに影響された人はごまんといるだろうね」
「では、阿知波さん、ちょっと聞きたいんですけど、ちなみに別次元にはどうやって行けるんですか?」
「それは意外と簡単なんだよ。次元転移装置の起動法は音声認証なんだ。特定の呪文を唱えれば、装置は機動する。もっとも装置を動かせるのは、この病院にいる人だけなんだけどね」
「その呪文とやら、ちょっと教えてもらえませんかね?」
「ああそうだね、こう言うんだよ」
「はい」
阿知波氏は小声でささやいた。
「全てが憎い…」
次の瞬間、俺は別次元にいた。
つづく→
次回予告
ついに別次元に転移したドブ川イチロー。
そこでは阿知波による革命の行われていない世界軸の世界が広がっていた。
その事実に混乱するドブ川だったが、徐々に環境に慣れていいく。
さぁ、明日には何が待っている。それは誰にも分からない。
次回「マルチバース」
~終~