連続短編小説「阿知波」

第三回 「スキー」

 私は昨日眠りにつくまでの床の間で、ふと小学校でのスキー旅行を思い出した。当時、私はクラスでは割と大きめの生徒で、今よりかは目立つ存在であった。勿論、私は今も周りの人間の気を引く存在であるし、十分目立っていると思っている。それでも、当時は今より目立った。

 すこし話が逸れたが、まぁとにかく私はスキーが下手なのだ。至極当たり前のことなのだが、私は運動が苦手であった。と言うよりも、運動をするという経験が幼き日から少なかった。学校はサボりがちであったし、登校しても帰りは遊ばず、真っすぐ家へと帰り、テレビばかり見ている日々だった。だからこそ、毎日テレビから流れてくるアニメの数々は私にとって大切なものであったし、毎日その時間のためだけに生きているようなものであった。そういうことで、私はスポーツとは無縁の人生を送ってきた。体育なんてロクに受けていなかったし、というかサボっていたと思う。そんな私が、周りから運動をしろとを強制されたのは、あのスキー教室が最初であったのではなかろうか。

 スキー教室では熟練度ごとに班を分けて行動した。私は6班だった。私は案の定上手く滑ることができず、途中で班のみんなから置いてけぼりにされた。あの時に味わった孤独感は今でも忘れられない。何分かその場で待っていると、他の班の奴らが私の前を通り過ぎた。その時、奴らから言われた言葉が、

「ドブス顔面!」

「キモ人間!!」

であった。

私は激怒した。あの時は、この世の全てを恨んだ。

そして、心の底で思わずこう叫んだ。


「すべてが憎い❕❕」

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