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侵略者 第五章

"Walking With The Dinosaur"

俺達はつつじ通りを抜けて、裏の路地へと入って行った。
岩美は何かを求めているような瞳で、正面を見つめて歩いている。その眼の先には、美しい夕焼けが映っていた。

「綺麗だな…」

そう俺は呟いたが、岩美は黙ったままだった。
不思議な沈黙が、俺達二人の間に流れた。
それは何とも形容のしがたいベールのような空気で、俺たちの周りを取り囲むように流れていた。
この美しく包まれた黄昏時の空気を壊してはいけない。
そんな空気感が流れていた。
これが、この国にとっての美徳であり、国民の心に流れる美に対する心の表れなのだろう。
正直、俺には理解しがたい感覚だ。
俺や俺の国の連中となら、楽しむために叫び喚きながら騒ぎ散らし、弾けてやりたいが、ここは愛する人の前であるため控えることとした。
結局、俺達は新宿の映画館に着くまで何も話さなかった。

本邦シネマズ 新宿。
新宿駅に構える日本第二位の映画館だ。
ん?1位はどこだって? 
そりゃ、日比谷にあんだよ。

まぁ、そんなことは置いておいてさ。
俺が今日ここに来たのは、まずタイタニックを観るためだ。
映画ってもんは、いくら映画館が凄くても作品が良くなければ何も意味を成さない。まず、作品ありきだ。
そして、映画ってもんは、やっぱり映画館で観るもんだ
デートの時なら尚更にそうだ。
その映画館で味われない体験を味わうためなら、どうせなら映画の本拠地である新宿に行ってやろうと、俺は思って今日ここまで女を連れて来たわけだ。

「やっぱり女はタイタニックが好きだよな!」
そう俺が聞くと、岩美は
「んー、うん…」
と、少しばかり困惑したような顔で答えた。
やっぱり、女の考えてることは俺には分からん。
そう思った。


「まぁ、とりあえずチケット買おうか」
そう言って、俺は劇場へと入り、チケット売り場に急いだ。
今日は聖夜だからか、お客がギッシリ。
色っぽい香水の匂いで、場内がプンプンしていた。
そんなこんなで、俺は販売機のチケット購入画面を覗いたわけだが、

そしたら、特別料金2300円だとさ。

なんだよ、この料金設計は…
なんだか余計に腹が立ってきた。
この衝動を吐き出したい。

ぁあああああああっ!!!!



ああ、そうだよ。そうだった…
俺が今日ここへ来たのはタイタニックを観るためじゃねぇよ。違った。もともとの目的を忘れかけてた。

本当の目的とは、くまのパデ〇ン〇ンの性別変更に対する抗議にためだ!!!


そう思うと、俺は懐から銃を取り出し、

「支配人を呼び出せぇ!!!」



と叫んで、天井に向けて弾丸を数発乱射した…



To be continued…→


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