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作品の話 #3 For Your Information


1st EP 「For Your Information」

今回は2023年2月にリリースした1st EP「For Your Information」について。
1st EPとか言ってますが、実質1st アルバムです。
曲数があるので長くなりますが、お付き合いください。


制作の経緯

制作を始めたのは2022年の8月頃。
制作に至った経緯は直近の日常生活で自分が受けた傷、それによって感じたことを楽曲という形で自己表現しようと考えたことがきっかけでした。
このアルバムで表しているのは「東京の情景」「誰かを泣かして詩を書く人達」「金と欲望」「自己中心主義」など…あげたらキリが無いです。
受けた傷や感じたことがどんなものなのかということについては明記するものでもないので、曲から感じ取ってください。
収録2曲目の「Shot dope」から一貫していることですが、自分に敵対するもの全てに抵抗し、声を上げるデモのようなコンセプトでアルバムは構成されています。
収録曲全てが何かに対しての抗議や表現なので、最初から最後まで安らげないアルバムになってます(笑)

タイトル

タイトルは「For Your Information」
和訳すると「ご参考までに」という意味になります。
曲中で問題を定義し、解決策は出さないスタイル故のタイトルです。
「私の考えはこうだけど、貴方達には理解できないだろうからご参考までに」という感じの皮肉も込めています。
ちなみに「For Your Information」という言葉はFrantic Theaterのデモ歌詞に入れようとしていたフレーズで、語感と意味合い的にタイトルの方が良いのではと思い、タイトルになった経緯があります。

収録曲

収録されている曲は全部で8曲。
当初は6曲ぐらいの予定でしたが、制作を進めていくに連れて増えていきまいた。
今思うと曲ごとに様々な音楽の要素が混在しているなと感じます。
きちんと楽曲のジャンルが確立されたのはここからかもしれません。

1. Prelude to Chaos 

アルバム1曲目を飾るのはインストゥルメンタル楽曲。
これから並んでいく曲の世界観を表現しました。
ノイズ音やストリングスを合わせたもので、実はリリースの手続きをする1週間前に制作して入れた楽曲です。
収録曲の最終チェックをしているときにインストがあったら良いよなと考えて即座に作って入れました。
終盤に入る叫び声のようなノイズ音がこれから向かう狂気的な世界へ誘うような良い演出をしてくれている曲です。

2. Short dope

ここから問題定義と表現の始まり。
制作した時のイメージとしては群衆を巻き込んだデモでマイクを取って発言している様子。
なので、後ろには群衆のざわめきや空を飛んでいく飛行機のジェット音を始めとする環境音などが入っています。
日常生活において一方的な都合で自らの行手を塞ぐ人に対し「私の道を塞ぎ、対立するのであればもうそれは戦争だ」と表現した一曲です。
元々は1分半くらいの短い曲にするつもりで、印象的なリフができたことから「短いけどDopeだなぁ」とか考えてこのタイトルになりました。
ボーカルは終始ボコーダーを使用。この曲は地味にメロディがお気に入り。
ちなみに珍しく家でお酒を飲んでたらできた曲です。

3. Abyss

3曲目で再びインスト曲。
都会の狂った感じ、底無しの雰囲気をAbyss(深淵/混沌)と表現しています。
実はインスパイアされた世界観があり、それはチェンソーマン「闇の悪魔」の世界観。
あのなんとも言えない不気味さと狂気が襲ってくる感じにインスピレーションを受けて制作しました。
終盤に入るチェンソーのような音はリスペクトの表れでもあり、都内を駆けるバイクや車の音でもあります。

4. keep it real

所謂、コラージュミュージック。
都会の交差点や街中を歩いている時に聞こえてくる音を表現しています。
すれ違う人の声、自転車と車の車輪音や雑音をサンプリングし、歩いている最中に耳に入ってはそのまま流れていく音楽をイメージして音を重ねていきました。
ここから7曲目Tokyoiteまでは題材や曲の持つ意味が一つの流れになるように作られています。

5. meism

1st singleのmeismは5曲目に。
耳を澄ますと4曲目、keep it realの最後に入っている効果音とmeismの効果音は一緒の音だと分かります。
「金」「権力」「欲望」をテーマにした曲。
singleバージョンと比べてより重く暗い雰囲気になっています。
ちなみに大きな変更点はオルガンの音を変更したことと、マスタリングが変わった事くらいです。

詳しい解説、制作時のお話はこちら

6. Frantic Theater (feat.狂気/Vxnellope)

meismに続くは2nd singleの「Frantic Theater」
表現したのは「煌びやかなイメージの東京とは裏腹に浮き彫りになる孤独」「蔓延る売春」「それらをめぐる金のやり取り」「そして巻き込まれた人間と関与しても何食わぬ顔で普通の暮らしを装う人間」
このアルバムで大きな意味を持つ一曲と言えます。
完成した時はもうこの曲だけでアルバムのテーマ全部表現できるじゃん…と思ってしまったほどです。
東京の街や欲に溺れた人達に真正面から投げつけるように、狂気/Vxnellopeの強い歌声と訴えかける歌詞が全面に出ています。

楽曲の詳しい解説や制作のお話はこちら

7. Tokyoite

タイトルのTokyoiteは「東京人」という意味。
東京の街へ繰り出す人や行き交う金と人を捉えた楽曲です。
keep it realから始まる「東京」という街に差す嫌気や皮肉はこの楽曲で集約されます。
歌声は街中で拡声器を使って訴えかけることをイメージしてエフェクトを施しています。

歌詞に登場する「鬼が手と手繋ぐ世界では逃げる道すら見えやしない」というフレーズ。自らが「楽になりたい」「認められたい」など何かを求めて飛び込んだ先に待ち受けている事は単純ではなく何か仕組みがあることなのかもしれないし、そうだった時はどうやったって簡単には抜け出せない。ということを指しています。
何がとは言いません。何にだって共通する事です。
煌びやかな街とは裏腹な汚れた街で生きる人を、その街に入り浸る人を皮肉し問題定義する一曲です。

8. forbidden door in the sky

アルバムの最後を締めるのはオーケストラチックなインスト曲。
この曲は元々、アルバムを制作する1年ほど前にピアノで作った曲を再アレンジして形にしました。
イントロの繰り返されるフレーズが迫り来る混沌や狂気を表現しています。
タイトルにドアと付いていますが、これは2nd singleのFrantic Theaterやこのアルバムのジャケットに写っているドアを指します。
このドアは日常に現れ得る、自分が過ごす場所とは違う別世界への「禁断の扉」を意味しています。

制作時の話と後書き

制作期間は2022年8月頃〜12月頃。
その当時はバンド活動と並行しながらの制作でしたが幸いにも(?)バンドの活動が停滞し始めていた時期なのでスラスラ進めることができていました。
アルバムを作りたいなぁって構想はありましたが中々形にできず…
Tokyoiteを作ったあたりで決心がついた感じでした。
どの曲も制作期間が平均すると2週間という狂っている期間ですが、構想があったが故にすぐに書けたのかもしれません。
その当時やっていたバンドでは中々このような自己表現というものはできていなかった(というかバンドのコンセプト上できなかった)ので、自分のやりたい音楽を思いっきりやろうと考えて作っていました。
万人受けなんて最初から狙っていないです。
今思うとメジャーな音楽とは反対の方向を行く形で、縛られない形の音楽をする自らの目標を達成したアルバムにもなっているのかなと思います。

この記事を書いている2024年現在は次の作品作りを行っている最中です。
更にパワーアップした作品達が世に出る準備をしています。
ご興味を持ってくれる方は首を長くしてお待ちください。

それでは。


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