地域ものがたるアンバサダー6月レポート:福井の味噌、しっかりおいしい永平寺の味
アンバサダーの初仕事。福井市の味噌蔵訪問。
6月25日土曜日、晴れ。
大阪駅からサンダーバードで福井市へ。湖西線から見える琵琶湖に癒され、敦賀駅通過時には北陸新幹線の工事を見上げ、嶺北と嶺南を分ける木の芽峠のトンネルの長さに驚いていると福井までの2時間はあっという間。
旅の水先案内人。米五味噌の12代目、多田さん
今回の福井県アンバサダー、ありがたいのはただお邪魔するだけでなく、現地の水先案内人の方がいらっしゃること。そのうちのお一人が福井市、米五味噌12代目の多田健太郎さん。
事前のzoomミーティングでお話しを伺う機会があり、25日は担当の方に工場内も案内していただきました。印象深かったのはこの2点。
永平寺は福井の山側にある曹洞宗の本山。禅宗のお寺で今でも修行が行われています。実家がお寺でここで冬に修行したことのある友人曰く、死ぬかと思うくらい寒かったらしい。
そんな永平寺。修行の一環として味噌作りも行っていたようなのですが、先代の時代から徐々にお寺にお邪魔して味噌作りをお手伝いするようになり、現在ではこんな感じに、ミニ永平寺が味噌蔵の中に。
永平寺の影響もあって福井県は精進料理が盛ん。味噌の材料である大豆を使った料理も多く、大きな油揚げや豆を潰した打ち豆、呉汁といった郷土料理があるくらいなんです。
真面目で働き者と言われる福井県民の毎日に寄り添うお味噌。味見させてもらった印象は、、、
思ったよりしょっぱい!でもおいしい!
一般に売られている塩分濃度10パーセント以下の減塩味噌に慣れていると、ちょっと驚く強めの味。でも、カラいのではなく、旨味が一緒に押し寄せてくる感じの味わいです。夏の暑い日に、お味噌汁にしてちょっとぬるくなったところで飲んだら完璧な熱中症対策になりそう。私の試食した永平寺ブレンドはとくにしっかりした味になっているそう。まさに、修行中の身体を支える味でした。
小倉ヒラクさんによると、北陸の味噌の特徴は少なめの麹の量と短めの発酵期間。関東型の原料バランスと関西型の発酵熟成。関東と関西のちょうど間の北陸はお味噌の味も中間地点ということですね。
うちの味噌の方がおいしい?手前味噌コンテスト
もう一つ印象深かったのは”手前味噌コンテスト”
米五さんの味噌仕込みキットを使って仕込んだ人から、ウチで寝かせた味噌の方がお店で売ってるものよりおいしい!というご意見をいただき、それなら、と開催されたそうです。
つまり、全く同じ材料、割合で作ったお味噌をそれぞれのお家で寝かせて完成させ、味や香りの違いを比べてみるというなかなか癖の強いコンテスト。蔵ぐせならぬ、家ぐせでどれぐらい味が変わるのか、、、
それにしても、天保2年、1831年の創業から191年の歴史に対抗するとは、恐るべし福井県民。しかし、この”自分で作ったお味噌が一番美味しい” 気分、自分でお味噌を仕込んだことのある人はきっと思いあたる気持ち。自家製補正を差し引いても、びっくりするぐらい美味しく思えるんです。まるで、自分の手や家に特別な力があるんでは、と勘違いしてしまうほど。自己肯定感を上げるには味噌を作ってみるといいかもしれません、知らんけど(笑)
ちなみに、同じ材料を使った手前味噌コンテスト、結果はびっくりするくらい味が違うそうです。それぞれの家にそれぞれの味がある、身近に感じられるダイバーシティですね。そして、福井県民からの挑戦をしっかり受けて立った米五さんの懐の深さもすごい。
工場見学の後はアイスタイム。暑い日に甘じょっぱい味がたまらない!
旅の途中で味噌蔵見学
米五さんの工場は事前予約をすれば無料で案内していただけます。
福井県で生産される645t(2017年)の味噌のうち、約半分を生産されている工場は、大豆を茹でる設備があったり、麹の元となる種麹を触らせてもらえたりと見どころがたくさん。こんな風に巨大な桶が並んでいるところも見学させてもらえます。
旅の途中で工場見学。子供の時の遠足とはまた違った意味で楽しめるオススメスポットです。
もう一つのおすすめはお土産にお味噌。お味噌汁を作るだけで旅の思い出が楽しめる、ちょっとしたタイムカプセルが味わえます!
見どころいっぱいの福井市。6月のアンバサダーレポートでした。7月は越前海岸にお邪魔します。