【登山】背後に気配 & 1人か2人か?の早池峰山
早池峰山に行ってきました。
朝3時出発。雲が流れて、下弦の月が出たり隠れたりしています。
岳の集落から、ホンシュウジカを何頭見ただろう?数百m間隔でオスが草を食んでいる。
夏毛のテンや、のんびり屋さんのアナグマ、まだこぶりなニホンカモシカたち、そしてどこかの飼い猫。夜の山道はリアル動物園。
さて登山口の気温は10 ℃。暖かい。
お山はガスってまるで見えない。
ざわつく木々が、風の強さを教えてくれている。
朝ごはんを食べてシュラフで30分くらい仮眠。キンキンに冷えたシュラフも、体温でじんわり温めていくと極上の暖かさ。このまま寝落ちしてもいいと思った。
近くの登山者の方も準備を始める音で目が覚める。そろそろなかあと6時前に歩き始め。
稜線の向こうの雲が、間接照明のように暖色になって、すっかり葉を落とした山の木々を赤く染め直してくれてます。
それでも空は曇りだし風も強いから、ボチボチ行きましょうと。うつむいてトボトボと七里川原を抜けたら、あれ、
太陽と雲の競演、蛇紋岩が明滅しているようにピカピカと輝いていました。
ただ2合目からは雲の中を歩くことになりました。4合目からは風も強くなり始めて、5合目ではピークに。
うつむいて足下の色づいた葉っぱたちを愛でながら進む。
強風ポイントで風を全身で受け止めてみる。今日はマイルド。息ができないくらいの風のときはフワフワ感を味わえる、ちょっとした楽しみがあります。
天狗の滑り岩の手前まで来れば、風も弱くなります。ふと、ひと息ついてたら背後に視線を感じました。
早池峰山は稀に岩稜帯でもクマの目撃があるので、特にソロでは緊張感を持って歩いてます。
この状況で私は風下だったので、鈴を鳴らしても強風で聞こえていない可能性がありました。
ハッと振り返ると、
不思議そうな顔をしてこちらを見ています。リス並みに小さい。首を傾げて、もうホント、ごめんなさい、最強の可愛らしさです。
短い手足でも躍動的に飛び回って元気一杯。寒いなかでホッコリした出会いでした☺
冬毛でも尻尾の先端が黒いのは「ホンドオコジョ」って言うんですね。
まさかクマ?という緊張感がほどけてまさかの最高級可愛らしさのオコジョ。私の感情の振り幅を振り切ってしまって、目の前の光景をしばし理解できませんでした。
剣ヶ峰分岐を過ぎてから、下山に向かう方お二人とスライド。『曇ってねぇ』、『寒くてさあ』、でもいい笑顔してますよ!
賽の河原や御田植場で手を合わせて、山頂へ。気温2度、風も強く寒いので避難小屋で1枚インナーを追加して小休憩。
後から来た方も合流してしばし談笑。その話の中で、
スライドしましたよね、1人。
私『え?2人いましたよ?』
え?
時系列的に振り返っても、なんかおかしいぞ。
ウエアの特徴を伝えると、その方は『1人』とは確実にスライドしている。『もう1人』はやはり見ていないという。
門馬コースに分岐した?
剣が峰に縦走した?
それとも?
私がスライドしたお二人はなんだったのだろう?容姿も会話も覚えていますが…。
早池峰山ってこんな不思議な出来事が稀に発生しますので、深掘りせずにそうだったんだろうと思うことにしてます。
そして下山。
来るときは暗くて見えなかった山麓の紅葉は、
ステンドグラスのトンネルの様で、とても綺麗でした。
今日も良いお山を登らせてもらいました。
朝日にきらめく蛇紋岩はいつ見ても気圧される美しさ。山岳信仰が始まった時に、ここを神域と定めた理由がわかる気がします。
そして早池峰山で初めて出会ったオコジョ。小さいのに、背中に熱い視線を送ってきました。また出会えたらなあ。
そんな早池峰山はもうすぐ冬じまい。
11月6日には県道25号 紫波江繋線も、岳集落過ぎから冬季通行止めとなり、半年間の長い閉鎖となります。