吉野雄大

坊主らしき何かです。頭は趣味です。偶に雑文を書きます。

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    PLANETS CLUB「 こども未来部」メンバーによるリレーマガジンです

記事一覧

『silent』喪失の、その先にあるもの

僕は障害者や難病をモチーフとした創作物が苦手だ。これは、僕が5才の時から自閉症の弟の兄であったり、4年前から難病をきっかけに車椅子ユーザーとなった息子の父である…

吉野雄大
1年前
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みつをとせかい、その「あいだ」

「それ」はいつもの場所に、ぶら下がっていた。「飾られていた」というには、ややぞんざいな扱い。に見えるのは、やはり壁に対して少し斜めっているからだろうか。とにかく…

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2年前
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誰よりも幸せな「死」を迎えるために〜映画『ハッピー・デス・デイ』レビュー〜

⚠️この文章は映画『ハッピー・デス・デイ』と『アベンジャーズ〜エンドゲーム』に関する壮大なネタバレを含んでおります。 2019年公開の映画で最大の注目を集めた作品と…

吉野雄大
3年前
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濱田くんへの手紙

「坊主はね、非生産だから嫌いなんだよね」と濱田くんは僕に言った。確か23、4歳頃のことだったと思うが、年のせいかだんだんと記憶も曖昧になってきている。それでもこの…

吉野雄大
3年前
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同町同丁目内引越し

僕は今年で50歳を迎えるのだけど、実はこれまでに21回引越しをしたことがある。単純計算で2,3年に一度引越しをしてる計算になるのだが、よくよく考えてみると結構な回数の…

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3年前
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『silent』喪失の、その先にあるもの

『silent』喪失の、その先にあるもの

僕は障害者や難病をモチーフとした創作物が苦手だ。これは、僕が5才の時から自閉症の弟の兄であったり、4年前から難病をきっかけに車椅子ユーザーとなった息子の父であるということが少なからず影響していることは否めない。近すぎる、というのか、あらゆる作品はなるべく変なバイアスをかけずに観たいと思うのだけど、こと障害や難病をモチーフとした作品はなんとなく身構えてしまう。多くのそうした作品たちは、ある一定の期

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みつをとせかい、その「あいだ」

「それ」はいつもの場所に、ぶら下がっていた。「飾られていた」というには、ややぞんざいな扱い。に見えるのは、やはり壁に対して少し斜めっているからだろうか。とにかく「それ」はいつも通りの場所に、恐らくはぶら下げた当人も、その存在を忘れ去ってしまっているのではないかという佇まいで、あいも変わらずにぶら下がっていた。
「それ」とは、これだ。

そう、みんな大好き、名言の殿堂、相田みつをだ。

1924年の

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誰よりも幸せな「死」を迎えるために〜映画『ハッピー・デス・デイ』レビュー〜

⚠️この文章は映画『ハッピー・デス・デイ』と『アベンジャーズ〜エンドゲーム』に関する壮大なネタバレを含んでおります。

2019年公開の映画で最大の注目を集めた作品といえば、やはり『アベンジャーズ/エンドゲーム』であることは衆目の一致するところだろう。あの最強最悪のヴィラン、サノスの指パッチンによって全宇宙の半分の生命が失われた前作の絶望的ラストからヒーローたちがどのように逆転劇を見せてくれるのか

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濱田くんへの手紙

「坊主はね、非生産だから嫌いなんだよね」と濱田くんは僕に言った。確か23、4歳頃のことだったと思うが、年のせいかだんだんと記憶も曖昧になってきている。それでもこの言葉だけは今でも鮮明に覚えている。いわゆる「忘れられない言葉」というやつだ。

濱田くんは高校の同級生で同じ生徒会の仲間で、彼が元々読書好きということもあり、図書委員長として1年間、歴代で一番出鱈目な生徒会長として汚名を残した僕のことを支

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同町同丁目内引越し

僕は今年で50歳を迎えるのだけど、実はこれまでに21回引越しをしたことがある。単純計算で2,3年に一度引越しをしてる計算になるのだが、よくよく考えてみると結構な回数のように思える。別に親がサラリーマンで転勤族だったわけでもなく、かといって同じ街並みに耐えかねて衝動的に引っ越してしまうような、病的な飽き性でもない。それを証拠に、今までお付き合いした女性は妻を入れて3人だけだし、しかも皆5年以上とそれ

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