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28 Haze Later / Beachwood

先々週、アンテナアメリカで購入したビール。この週は The Veil や The Lost Abbey 等、話題性そして価格の高い銘柄が多かったけれども、財布との相談で様子見...。

Beachwood は元々、カリフォルニア州オレンジカウンティのビーチに所在するバーベキューレストランが母体のブルワリーだそう。よって創業者はシェフ。有名ホームブルワーを招いて醸造が始められたのは、ロサンゼルスのロングビーチとのこと。オレンジカウンティ、個人的には同名の海外ドラマ(ほとんど見てないけどミーシャ・バートンが可愛かった)と、バンドの Offspring や Avenged Sevenfold の出身地というイメージ。ディズニーもある有名リゾートなんですね。

ということで、立地も文脈も西海岸系ブルワリーと言える同社ながら、今回の 28 Haze Later はイギリス産ゾンビモノSFホラー『28日後... (28 Days Later) 』リスペクトな名称 & パッケージ。売り文句は "We brewed this beer with enough hops to cure a zombie ! " とのこと。

ホップに Mosaic, Citra, Galaxy を用い、ハウス酵母を使った NE IPA. 注いだ時点から透過性0%という感じで濃ゆい外観。

アロマはパッションフルーツ、ピーチ系の南国仕様にオレンジっぽさも。飲むと、フレーバーには青っぽい草感が出てくる。総じて、ホッピーさの高い波がやってくる感じ。一方で、外観に比してボディは重すぎず、トロミよりも潤いを感じる口あたり。多量ホップ使用だけあってか喉を通す前に多少のピリピリはあるが、全体的なキツさには至らず、クリーンに楽しめる NE IPA だと思う。

個人的には、16オンス缶で飲む Hazy ならこれくらいの塩梅が程よい。先程の売り文句だが、現地でバーベキューと共に飲んだならば、杯が進みすぎて逆に翌日はゾンビと化すかもしれない。

Abv. 6.8%

アロマ :★★★★★
→ パッションフルーツ、桃、オレンジ
フレーバー :★★★★★
→ パッションフルーツ、桃、オレンジ、草むら
テイスト
→ 苦味 :★★★☆☆
→ 甘味 :★★★☆☆
→ 他 :軽くピリつきある辛み
炭酸 :★★★☆☆
ボディ :★★★☆☆

未視聴だったので、Amazonで『28日後...』も見ることにした。 Beachwood のある米西海岸の晴天とは対照的な、曇りと雨のイングランドを舞台にしたSFホラーであり、ゾンビ系サバイバル映画。'02年、ダニー・ボイル監督作品。

同監督の作品は何作か見ていて(ついでに数日前に、総指揮をとったロンドン五輪のセレモニーも再見)、ゾンビモノというジャンル色の強い作品にあっても『トレインスポッティング』のようなスタイリッシュなカット・音楽と、リアルな生活臭を感じさせる演出の同居が楽しかった。

頼りない痩せた男が終盤で暴走じみた頑張りを見せるのも、同監督作のお決まりの趣がある。ではあるが、『28日後...』終盤の軍人・ゾンビ入り混ざっての一連の対決シーンは、中々気に入った。雷光が明滅する中での目まぐるしい流血展開は、メタルバンドの金のかかったミュージックビデオじみた、スリルと罪悪感を伴う高揚があった。

悪役の少佐の計画も、情報が限られた中の行動では理の通ったモットもらしいモノである。そこも良かった。現代SNSだと一定の支持を集めそう。だが人間は駒ではない。「邪悪」というのは理屈の繋がりやモットもらしさとは別次元で存在するし、打倒されねばならないのだ。勝手に、そういうメッセージを受け取ってしまった。主人公含めて人倫を踏みにじらねば生きられない極限状態と、その論理の帰結としての軍人一派の支配。その、理にかなっていてクソな状況が、ヤケクソ混じりの暴走で見事にひっくり返る。カタルシスだった。

早く自分も現実のサバイバルホラーから抜け出したいが、しばらくは旨いビールを補給しつつ彷徨うしかなさそう。どうしたものか。

以上

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