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自分の「脳の可塑性」を信じることと、「それを信じさせないもの」についての私論

脳科学分野のことを調べていたところ、非常に興味深い話題に突き当たりました。

英テレビ局BBCによるYouTube動画で、脳の半分を失った女性が、ごく普通に生活できているというミニ・ドキュメンタリーです。次から、ご覧ください。

この女性は、幼少期にひきつけを頻繁に起こすようになりました。調べたところ、珍しい脳炎にかかっていることが分かりました。医師たちは脳炎を起こしている脳の右側を摘出。これにより発作は治まりました。

女性は大人になった今も元気で、残っている後遺症は、足を引きずることや左腕が多少不自由であることだけ。この女性は自活できており、結婚して夫と暮らしているそうです。

担当した医師のチームには脳神経の専門家がおり、「幼少期であれば脳の可塑性がより良く機能するため、残される左側の脳が神経ネットワークを再構築し、切除される右脳の肩代わりをするであろうと判断した」そうです。

この事例から考えると、人間の脳には、一般に知られているレベル以上の可能性がありそうです。

脳の可塑性(神経可塑性)については、1980年代頃にその可能性が示唆されてから、たくさんの調査・研究が進められてきました。

有名な研究結果のひとつが、2006年における英国ロンドンのタクシー運転手に関するものです。ドライバーの脳を調べたところ、タクシー運転手の海馬は、バス運転手のそれよりも大きいということが判明しました。定められたルートで運行させるバス運転手に対して、タクシー運転手は、乗客の要望に応じて様々な目的地へとクルマを走らせる必要があります。そのため、タクシードライバーの脳は「空間記憶」を形成したうえで、常時それにアクセスするために海馬の機能を発達させているそうです。

この研究は2011年にも追加調査がなされており、タクシー運転手になる訓練を受けている人の脳を調べたところ、訓練を受けている人の脳は、訓練していない人と比べて海馬後部の容量に、明確な違いが見られました。なお、当時、英国のタクシー運転手になるには、約4年の間に2万5000の通りと2万のランドマークを記憶する必要があったそうです。

ここは私の推察ですが、タクシー運転手になるために訓練を受けるのは10代前半などの未成年ではなく、大人であるはずです。そこから考えると、子供でない大人の脳にも、相当な可能性があることを意味します。

■なぜ「脳の可塑性」が一般知識として広まっていないのだろうか

従来、日本社会では、「脳は幼少期や10代などの若い時にしか発達せず、大人になってからは老化と同時に衰えていくだけだ」という認識が強くあったように思います。そしてこの傾向は未だに続いているように感じています。

今でこそ、脳の可塑性の話は書籍で書かれるほか、メディアなどでも取り上げられるようになりましたが、21世紀も四半世紀を過ぎようとしている今でも、脳の可塑性については「知る人ぞ知る」という程度の知識にとどまっているように私は受け止めています。

かなりうがった見方であることを承知で、脳の可塑性の話題が広まっていない背景にある要因について、私論を述べます。

脳の可塑性についての認識が広まっていない裏には、2つの要因があると私は見ています。1つは、既得権益者らの意図。もう1つは、教育産業の都合です。

まず1つめについて述べます。私は、「幼少期から有利な家庭環境・教育環境を持ち得ていた既得権益者らが、『自分たちの社会的優位性を保ちたい』という思いから、『大人になってからも人は十分に能力を伸ばしうる』という情報が一般に普及するのを押さえ込んでいる」という構造があると推測しています。そのような情報のひとつが、脳の可塑性に関する情報です。

先にも述べましたが、うがった見方であると批判されることは承知です。しかしそれでも私は、それほど的外れな見方ではないと考えています。

その理由は、既得権益者は得てして、ありとあらゆる形で、そして無意識のうちに、自分たちの社会的優位性を揺るがす恐れがあるものを排除するためです。

例えば、もし、多くの一般人が「脳の可塑性があるがゆえに、人は大人になってからも脳を開発することで、能力を伸ばして進化・成長しうるのだ」という真実を認識したらどうでしょうか? 若い時からチャンスやリソースに恵まれ、それによって権益を得てきた人物としては、「下」においてきた人々が力を付けて自分たちの権益を侵害してくるのを抑えたくなる――というのは、否定できない人情ではないでしょうか。もちろんそうではない人もたくさんいるでしょうが、現状の社会を見ていると、既得権益者におけるこのような傾向は、決してゼロではありません。

悪意のある既得権益者がいるとしたら、そうした人々としてはむしろ、「大人になってからでは遅い」と諦める一般人が大多数を占めていたほうが、自分たちの優位性を保ちやすく、かつ容易に支配できるため、好都合です。

もう1つは、これもまた暴論かもしれませんが、教育産業、もっと限定すれば受験産業が、脳の可塑性に対する認識が広がることを(結果として)押さえ込んでいるのではないか、と、私は疑っています。

現状、受験産業の最大の目のつけどころは、「かわいい子供に良い生活をさせ、良い人生を歩ませたい」と考える親の心です。そうした心理につけ込んで、「お子さんには、頭の柔らかい幼少期にこそ良い教育を」「このチャンスを逃すともう後がないですよ(=大人になってからでは能力が伸びないので、勉強させるなら今しかありません)」と吹き込めば、子供が10代後半にさしかかるまでという限られた期間において、集中的に、多大なる教育投資を引き出すことが可能です。

こうした「今を逃すと後がない」というフレーズは、受験産業に関わる人々にとっては実に有用な殺し文句です。また、潤沢な資金がある一部の親と子供にとっての実害はそれほどないと考えられます。ですが、そのほかの多くの人々にとってはメリットはなく、むしろ有害です。幼少期に良い教育を受けられなかった人々には、諦め感や挫折感が擦り付けられ、将来に向けた希望が失われます。むしろ、希望が失われた状態のほうが、脳には有害でしょう。

余談として私の提案を述べますと、教育産業としては(こと日本の教育産業であれば)、少子高齢化が進んでいる市場のことを考えれば、減りゆく若年層の受験教育より、中高年層の学び直しをターゲットにした事業拡張をするべきでしょう。となればなおさら、脳の可塑性こそが事業拡張の援用的論拠になるはずです。

以上、私論を述べてきましたが、生身の人はしばしば「自分がすでに持ちうる優位性をなるべく永続的に保ちたい」「競争環境においてとにかく自分の優位性を保ちたい」と考えがちであることには、異論はないことでしょう。そうした保身のために他者へのうそも脅しも辞さない、という人も世の中には少なくなく、ここにも異論はないかと思われます。

そうした人々の心理的姿勢および行動様式の背後には、恐怖があります。もう少し具体的に言えば、「他者よりも優れていなければ、今持っている自分の地位やモノが奪われてしまう」「他者よりも優れていなければ、自分は他者よりも『下』に置かれ、その結果ひどい目に遭う」といったような、いわば内向きの恐怖心です。

こうした恐怖心は、ある種、肉体があるがゆえの、防衛本能からくる恐怖でもあります。そのため、どんなに突き詰めても多少なりとも意識に浮かび上がってしまうはずで、それも仕方がないことかもしれません。こう述べている私も常々、こうした恐怖を持ちがちです。

また、私の経験も踏まえて言いますと、ほとんどの人は、こうした本能的な恐怖に対して、直面することが難しい状態にあります。その理由は、本能的な恐怖を知ったところで、それを統御するための術(すべ)がないためです。

加えて、そもそもこうした本能的な恐怖を自覚し認知することは、技術的にも難しいのが実態です。瞑想などの心身技法の実践を通じて、自分の意識下に植え込まれている恐怖の構造を丁寧に感知する体験を繰り返し積んでいかない限り、とても困難です。なお、瞑想には「メタ認知」の能力を高める効果があると言われています。

翻って、森羅万象の構造を解き明かした形而上学の真実から言えば、「他人に奪われる」「他人に自分の立場を脅かされる」「他人が伸びてくると自分の価値が低められてしまう」という恐怖こそが、実は、かなりの部分において誤解でしかありません。

「人は、自分も他者も、誰もが等しく存在価値があり、そして人それぞれが、宇宙の創造に由来する固有の可能性を持ち合わせている」――このような形而上学的な真実を認識すれば、恐怖に基づいて他者を押さえ込んだり、攻撃したりする必要はないのだ、ということが、少しずつ、納得感をもって見えてきます(森羅万象の構造を解き明かした形而上学については「アデプトプログラム」をご参照ください)。

話を脳の可塑性に戻しますと、形而上的に真実である人間の可能性の一端が、自分の物理的な脳にもあり、それが現代科学の観点から次々と明らかになっています。私たちは、実にエキサイティングな時代に生きていると言えるでしょう。

■参考文献
・英BBC YouTubeチャンネル「普通の人と変わりない――脳半分を摘出した女性」(URLはhttps://www.youtube.com/watch?v=M6vsfFxTpvc
・『脳を最適化する ブレインフィットネス完全ガイド』(著者:アルバロ・フェルナンデスほか、出版社:CCCメディアハウス、2015年)

■「真実の剣」note記事をご覧いただきました方へ

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■あなたが備えているすべての可能性をオンにする「DNAアクティベーション」

DNAアクティベーションは、伝統ある形而上学の学校が古来引き継いできた、最重要のヒーリングメソッドの1つです。

DNAアクティベーションでは、後頭部から背中上部にある、皮膚から上1cm程度の領域に対して、専用のワンドをかざしていきます。これにより、受ける人のエネルギーが活性化されていきます(出所:MMSジャパン「DNAアクティベーション」ホームページ)

かつては王族や神官など、限られた人にのみ、DNAアクティベーションの存在が明かされてきました。つまり、ごく一部の人物しか、このDNAアクティベーションの恩恵を受け取ることはできませんでした。

しかし、今は形而上学の学校・モダンミステリースクールが一般公開に踏み切ったことにより、正式なトレーニングを受けて認められたヒーラーなら、施術ができるようになりました。これにより、社会で活躍するより多くの人々が、このDNAアクティベーションの恩恵を受けられるようになっています。

これを受けた人は、形而上学が語る最大の教えのひとつ、「I am God.(私は神の似姿)」――人ひとりが持っている素晴らしき可能性に火がともります。そのさまは、眠れるDNAにスイッチが入るかのごとくです。

これにより、DNAアクティベーションを受けた人は、自分らしい、オリジナリティーに溢れた、やりがいのある人生を切り開いていくことができるようになるでしょう。

私がDNAアクティベーションを最初に受けたのは2005年9月のことでした。そしてDNAアクティベーションの施術法を最初に学んだのは、2009年でした。初めて学んでから10年以上もの月日が経過していますが、このヒーリングの威力については、発見の連続です。

受けた人が備える可能性を最大限に開く、古来の叡智が詰まったDNAアクティベーション。この手法が持ちうる恩恵を、ぜひ、多くの人に受け取っていただきたいと思います。

DNAアクティベーションの解説ページはこちら

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