綺譚 空飛ぶイルカ漁と女漁師
この世界のこの時代、漁ほどに興奮し、意欲をかき立てる仕事はなかった。
漁といっても、海の中に住んでいる魚や貝などの海洋生物をとるだけではない。
空を飛んでいる魚や貝をとるのである。
鳥や蝶に混じって、天空を泳ぐ海洋生物たち。
空の青を背景に、太陽の光で体を照らされた海洋生物たちの姿が、この世界の景色に彩りを与えていた。
漁師たちが特に狙ったのは、「空飛ぶイルカ」であった。
空飛ぶイルカからは、肉、骨、油といった食料や材料が豊富に採れた。
さらに出色なのは、「プラーナ」と呼ばれる生体エネルギーが採取できることであった。
プラーナを採取するには、特別な儀式が必要だ。
空飛ぶイルカが生きている間に祭壇に載せ、神に仕える神官が、儀式を通じて屠る。
そのうえで、死んだ空飛ぶイルカの血を抜き取る。
不思議なことに、この血はしばらくすると、透明な液体へと変わる。
これがプラーナの液だ。
プラーナの液は、飲み薬として服用すると、原因不明の病も寛解するほどであった。
王族貴族をはじめ、金持ちたちに高く売れた。
そこで、空飛ぶイルカを獲ろうという山っ気のある者どもが、次々と空飛ぶイルカ漁に挑戦した。
漁に使う乗り物は、腕ききの魔術師に特注した空飛ぶほうきや魔法の絨毯。
最新技術も見逃せない。飛行船やプロペラ飛行機。あるいは、最新型の電動空中バイクなど。
一方、空飛ぶイルカはとても賢い。
動きも速い。
ほとんどの漁師たちは失敗続きであった。何度も挑戦しては逃した。
漁の最中に事故に遭い、命を落とす者も少なくなかった。
それでも挑戦する漁師たちが減らないのは、報酬という期待値がもたらす快楽の魔力だろうか。
ある日、この土地に現れた女漁師は、まったく違う方法をとった。
イルカに向けて両手を広げ、「私たちを助けて!」と声を張り上げた。
ひたすら声を張り上げていると、空飛ぶイルカの群れから、一匹、二匹が離れ、地上に降りてきた。
そうやって降りてくるイルカは、たいていの場合、年老いたイルカや、若くても怪我や病気を抱えているイルカであった。
しかし、空飛ぶイルカには変わりはない。
肉や骨を取るには不十分だったとしても、プラーナを採取するぶんには申し分ない。
空飛ぶイルカは、女漁師の前に体を横たえた。
観念したかのように身動きしない。
女漁師は、町の神殿のところに持ち込むことなく、その場でナイフを取り出した。そして、祈りを捧げながら、手際よくイルカを解体し始めた。
まるで神殿内の神官のように。いや、神官が儀式として執り行う行為以上に、敬虔な態度に見えた。
懐から瓶を取り出し、肉の間に瓶の口を差し込んだ。
死んだ空飛ぶイルカの血は、自ら意志を持っているかのように、女漁師の瓶へと流れ込んでいった。
そして透明な液へとなった。正真正銘のプラーナだ。
女漁師は、そうやって採取した後、イルカを丁寧に土に埋めた。
さて、得たプラーナは、どこに売っているのか。
少なくとも、王族貴族や金持ちに流している様子はなかった。
うわさに聞くと、病に苦しむ子どもたちに向けて、親御さんにそっと手渡しているようだった。
空飛ぶイルカ漁は今も続いている。
しかし、この女漁師のように、一番楽で、一番誠実で、空飛ぶイルカたちの共感を得られる手段――苦しめる者への祈り――を使う者はいない。
古来、最も強い威力の魔術は、使い手の純粋さに依存するがゆえに、使いこなすのは難しい、と伝わっている。
女漁師が空飛ぶイルカを埋葬したその場所からは、美しい薔薇が咲き乱れるのだという。
■「真実の剣」note記事をご覧いただきました方へ
「真実の剣」のnote記事をご覧いただき、ありがとうございました。併せて、ぜひ、下記のヒーリングや瞑想ワークショップの情報もご覧ください。
▼「真実の剣」ヒーリングおよびセミナーWebサイト
▼創造力高まる最高の休息 MAX瞑想システム/MAXメディテーションシステム™
▼「神スイッチ・オン」、あなたが持ちうる可能性を拓く DNAアクティベーション®
▼宇宙の根源から来る光で「喜びにあふれた人生」を――エンソフィックレイ・ヒーリング
■あなたの一人の神としての特性を開く「DNAアクティベーション」
DNAアクティベーションは、伝統ある形而上学の学校が古来引き継いできた、最重要のヒーリングメソッドの1つです。
かつては王族や神官など、限られた人にのみDNAアクティベーションの存在が明かされてきました。つまり、ごく一部の人物しか、このDNAアクティベーションの恩恵を受け取ることはできませんでした。
しかし、今は形而上学の学校・モダンミステリースクールが一般公開に踏み切ることにより、正式なトレーニングを受けて認められたヒーラーなら、施術ができるようになりました。これにより、市井で活躍するより多くの人々が、このDNAアクティベーションの恩恵を受けられるようになっています。
これを受けた人は、まさに形而上学が語る最大の教え、「I am God.」の一片――素晴らしき自らの潜在的な可能性が拓かれます。徐々に心の平和、心の豊かさ、さらには自らの人生を切り開いていくことができるようになるでしょう。
私がDNAアクティベーションを最初に受けたのは2005年9月のことでした。そしてDNAアクティベーションの施術法を最初に学んだのは、2009年でした。初めて学んでから10年以上もの月日が経過していますが、このヒーリングの威力については発見の連続です。
受けた人が備える可能性を最大限に開く、古来の叡智・DNAアクティベーション。このヒーリングの恩恵を、ぜひ、多くの人に受けていただきたいと思います。
DNAアクティベーションの解説ページはこちら
DNAアクティベーションをお受けになりたい方からのお申し込み・お問い合わせ、歓迎いたしております。下記のnoteお問い合わせフォームから「DNAアクティベーション希望」とお書きになって送信ください。折り返し、当方から連絡いたします(東京・池袋/目白がメインの活動場所ですが、各地への出張も可能です)