20210808
厚手のコートボサボサの長髪赤黒く焼けた肌にズタ袋を提げた狂人が電車に乗ってきて、ドアから外を眺めながら歌い始めた。うまい。ビブラートのしっかりしたハリのある、体ごと鳴らした声量。
ケルアック展の帰りに出来たシチュエーションだと思った。彼ならどのように描写するだろう。会場の幅いっぱいに伸びた文字のびっしりと打ち込まれたタイプライターのスクロール。
冷えきる車内で、展示されていた一つの写真を思い出していた。キリストの帰還、と英語で落書きされた、シティ・ライツそばの壁の前に座る路上生活者
“ジャック・ケルアック「On the Road」とビート・ジェネレーション
書物からみるカウンターカルチャーの系譜”
https://www.artlogue.org/node/8832