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1分で部下をやる気にさせる話術
PEPトークを知ってますか?
ペップトークは、もともとアメリカでスポーツの試合前に監督やコーチが選手を励ますために行っている短い激励のスピーチです。
こういうやつです。
「お前たち、よく決勝戦まできたな。相手は全国大会の常連校だ。決して楽な相手ではないことはよく知っているよな。
でも、お前たちがどれだけの努力をしてきたのかは、俺はよく知っている。どれだけのことを犠牲にして今ここに立っているのかも知っている。
さあ、最後の仕上げだ!悔いのないように存分に今の力を出し切ろう!
お前たちならやれる!絶対やれる!存分に楽しんでこい!」
ウオー!
仲間を鼓舞するスピーチです。
これができるリーダーは、部下のモチベーションをアゲアゲです。
で、こういうスピーチって、作るの簡単なんですよ。
型があって、それに当てはめるだけ。
では、シャア・アズナブルの部下へのセリフを当てはめてみましょう。
ホワイトベースが地球に降りようとしているときにシャアは攻撃を仕掛けようとしています。
「あらたに3機のザクが間に合ったのは幸いである。20分後には大気圏に突入する。このタイミングで戦闘を仕掛けたという事実は古今例がない。地球の引力に引かれ大気圏に突入すれば、ザクとて一瞬のうちに燃え尽きてしまうだろう。しかし、敵が大気圏突入の為に全神経を集中している今こそ、ザクで攻撃するチャンスだ。第一目標、木馬。第二目標、敵のモビルスーツ。戦闘時間は2分とないはずだが、諸君らであればこの作戦を成し遂げられるだろう。期待する!」
これ、完全にPEPトークです。
まず
1 受容(事実の受け入れ)
“あらたに3機のザクが間に合ったのは幸いである。20分後には大気圏に突入する。このタイミングで戦闘を仕掛けたという事実は古今例がない。地球の引力に引かれ大気圏に突入すれば、ザクとて一瞬のうちに燃え尽きてしまうだろう”
2 承認(とらえ方変換)
“しかし、敵が大気圏突入の為に全神経を集中している今こそ、ザクで攻撃するチャンスだ”
3 行動(してほしい変換)
“第一目標、木馬。第二目標、敵のモビルスーツ。戦闘時間は2分とないはずだが、諸君らであればこの作戦を成し遂げられるだろう”
4 激励(背中の一押し)
“期待する!”
この【とらえ方変換】と【してほしい変換】は、マイナスからプラスへの変換です。
「大気圏に突入してしまえばザクとて一瞬で燃え尽きるだろう」というマイナスから「攻撃するチャンスだ」とプラスに変換しています。
「戦闘は2分とないが」というマイナスから「諸君ならば成し遂げられる」とプラスに変換。
マイナスからプラス
「雨だけど楽しい」「口は悪いけど頭は優秀だ」などマイナスからプラスに変換して伝えると、相手は悪い気がしません。
そして、大事なのは「諸君らであれば」という言葉。
この言葉には、「お前らは優秀だと」というメッセージが込められていて自己重要感を高め「意欲」「やる気」の源になっています。
なるほどシャアはPEPトークの達人だったんですね。
さすがに言葉の力を巧みに使って、人の心を掴んでいますよね。
残念ながら、この作戦もガンダムの性能の前に失敗に終わり、部下を死なせるんですが、2手3手先を読むシャアは、結果、ホワイトベースをガルマのいるジオン占領エリアへ誘い込んだんですけどね。
クラウン:「しょ、少佐!シャアーッ!!助けてください!げ、減速できません!シャア少佐!助けてください!!」
シャア:「ク、クラウン。ザクには大気圏を突破する性能はない、気の毒だが。しかしクラウン、無駄死にではないぞ」
どう見ても無駄死にやないか!