2020年365日分のプロモトレンドを分析してみた
皆さんはプロモトレンドをご存知でしょうか?
プロモトレンドとは、Twitterの検索画面の一番上に出てくる「〜〜によるプロモーション」と書かれたハッシュタグのことです↓
プロモトレンドは、基本的に24時間ごとに入れ変わり、広告枠として企業のプロモーション等で使用されています(1日1社限定)。なので、毎日プロモトレンドが買われていたら、最大で365回見ることができます。
例えば、
・フォローRTで、商品が当たる
・今なら無料ガチャキャンペーン中
・新CMが公開!
など、多種多様な使われ方/発信の仕方でサービスや商品認知、キャンペーンへの誘導、時には啓蒙活動に結びつけています。
このプロモトレンドに関して、2020年1月1日から毎日どんな内容が発信されているか溜めてきたので、その内容を分析していきたいと思います。
1. 調査概要
2. 全体トレンド
2-1. 月別トレンド
月別のプロモトレンド数(=企業の出稿数)を見てみます。
※2020年2月は、29日間。
(あくまでも、私のアカウントに表示されたベースでカウントしているので多少のブレはあると思いますが)4月〜5月及び8月のプロモトレンド数が少ないことが見て取れます。
ちょうどコロナ第一波、第二波と被っており、企業が広告宣伝費を見直し、出稿を取り止めたと推測されます。
2-2. 企業別トレンド
次に、企業別のプロモトレンド数(=出稿数)を見ていきます。
※明治、Netflix、キリン、アサヒ、ABEMA、Amazon、LINE、SUNTORY、PayPayはグループSNSアカウントやキャンペーン別アカウントを合算。
プロモトレンドに出稿した回数が最も多かったのが、ユニクロと明治。
ユニクロは、夏の期間を中心に、
などといったハッシュタグで出稿しており、また、
といった感謝祭系のハッシュタグで、ECショップへの誘導や実店舗への来店を促し、デジタルとリアルを掛け合わせて盛り上がりを作りにいっていることが伺えます。
他にも、3月に
といったプロモトレンドを実施していましたが、その1ヶ月後、コロナ禍に合わせて、
と柔軟に対応してきた点も、ユニクロがプロモトレンドに力を入れていることが伝わります。
一方で、明治は各商品ごとにTwitterアカウントがあり、それぞれイニシアチブを持ってプロモーションをすすめていることが推測されます。
明治のプロモトレンドを大別すると、以下のように3つに分類されます。
次いで多かったのが、Netflixで、こちらは新年と年末のタイミングで出稿回数が多いことが見て取れます。
Netflixにとって、今年は嵐を追いかけたドキュメンタリー映像が目玉であり、ハッシュタグを見るに、嵐ではじまり、嵐で終わった年と言えます。
他には、飲料メーカーではキリン、アサヒが多く(アサヒは、嵐コラボだけで3回もプロモトレンドを実施)、コンビニエンスストアではローソンの一強でした。
2-3. 商材別トレンド
続いて、商材を分類し、プロモトレンドを見てみる。それが次のグラフになります。
ゲーム(アプリ)が25.5%と最も多く、4日に1回はゲーム(アプリ)のプロモトレンドだったことが分かります。
次に多かったのが、飲食類(食品+飲料)で22.8%と、こちらも約5日に1回は目にしていることになります。
個人的に意外だったのが、映画アカウントがプロモトレンドに積極的だったことが挙げられます。
コロナの影響で、おそらく出稿を取り止めた映画もあるが、それでも13回もプロモトレンドが実施されていました。
映画を観終わった後、感想を誰かに伝えたいときにTwitterは相性が良く、映画のプロモーションとしてTwitterに力を入れているのが分かります。
コロナがなかったら、映画関連のプロモトレンドはもっと多かったと予想されます。
3. ハッシュタグにどんな単語が使われているか
次に、ハッシュタグにどんな単語が使われているか、その傾向を見ていきます。
①「周年」(合計16回)
最も多く使われていた単語が「周年」でした。
「周年」イベントをゲーム(アプリ)がプロモトレンドで実施する背景として、
・コア/ライトユーザーに、よりファンになってもらうこと
・登録/休眠ユーザーを復帰させ、またアクティブになってもらうこと
が狙いにあると思われます。
ゲーム(アプリ)はゲーム内での接点はあるが、一度離脱されたユーザーに対してゲーム外で接点を持たせ、ゲームに復帰してもらう必要があります。
ゲームに限らず、一度飽きたアプリを改めて使用するのは、ユーザーにとってカロリーが高いものです。なぜなら利用価値がない/ハマらなかったから辞めたのであって、それをまた触り直すなんて、かなり難しいことです。
実際に、皆さんも再使用してどハマりしたアプリなんて、多くはないと思います。
「周年」は、周年を理由に何かと施策が打てるタイミングだと思います。プロモトレンドも安い枠ではないので、周年をいい機会に予算を投下し、登録/休眠ユーザーへ再アプローチしていると思います。
また、ゲーム(アプリ)がプロモトレンドを使用するメリットとして、単にゲームタイトル名を接触させるのではなく、コア/ライトユーザーといった実際にプレイしている人たちの熱量(=彼らのツイートや引用リツート)を伴ってアプローチできることも、プロモトレンドを使用する旨味だと思います。
②「おうち/家」(合計13回)
次に多く使われていた単語が「おうち/家」でした。
コロナ禍で家で過ごすことが多くなり、ハッシュタグも家にいることを想起させるメッセージングに変わっていったように思われます。
WHOもプロモトレンドを使って、自宅待機を促したり、アベンジャーズも映画の告知を単にするのではなく、うまくアレンジしてコロナに対応したメッセージングにハッシュタグを変えたように感じます。
③「嵐/HELLONEWDREAM」「無料」「夏」(合計7回)
今年は嵐活動休止前のラストイヤーということもあり、広告業界全体で嵐特需があったように思われます。
ジャニーズがSNSを解禁してから、企業のSNSプロモーションでも彼らを起用しやすくなったように感じます。
いわゆるジャニオタの皆さんのオタ垢では、日々オタ活をしており、推しが出演しているTV番組の様子をリアルタイムで発信したり、屋外広告やCDショップでの展示の様子を撮影して発信しています。
そうしたジャニオタの熱量を活用すべく、ジャニーズを広告に起用している企業はSNSでのプロモーションにも力を入れていると思います。
「無料」をキーワードに使用したプロモトレンドはゲーム(アプリ)が大半を占めていると思いましたが、内訳を見ると、ゲーム(アプリ)が3回、マンガが1回、そして、ローソンが3回実施していました。
ローソンのプロモトレンドはいずれもフォロー&リツイートで商品が当たるもので、無料引換券を渡し、店頭への来店を促していることが分かります。
プロモーションの効果測定として、クーポン配布率や使用率(来店率)、クーポン利用者の購買単価の上昇額等を見ているのかなと思います。
実際にクーポンを利用してくれた人にだけ、リタゲ広告やLINEアプリでの通知を打つなどすることで、効果的なプロモーション展開が実施できるのかなと思いました。
また、ローソンはスイーツに力を入れている印象で、それらをプロモトレンドの無料プレゼントにしており、スイーツとプロモトレンドは相性がいいのかもしれません。
Twitterを見る状況を想像するに、
「あ〜今日も仕事終わった。夜は何食べようかな」
「テスト勉強疲れた。ちょっと一休み」
など、何か気晴らしだったり、ちょっと疲れている中でTwitterを開くことも少なくないと思います。
そんな時に、運試し的にスイーツが当たるのであれば、気軽に参加するのかなと。外れたとしても、それが印象に残り、ローソンに寄った際にはプロモトレンドで目にしたスイーツを購入するなんてことも十分あり得るなと。
季節の単語で見ても、「夏」だけが積極的に使われており、中でも、ユニクロは夏だけで3回もプロモトレンドを実施していました。
(今年はコロナではありましたが)夏はお出かけの季節であり、開放的になる期間。カジュアルに様々な服を着たいと思う人も多いので、そんなターゲットがSNSで出かける場所やコーディネートを検索しているタイミングで自然とユニクロにも接触してもらうために、SNSプロモーションを強化したのかなと想像しました。
④「アニメ」「マンガ」(合計5回)
「アニメ」を含んだプロモトレンドが年末に集中。家にいたことで、動画視聴の機会が増え、また鬼滅の刃のブームもあり、上記動画配信サービスを中心にアニメ文脈のプロモトレンドを実施したと推測されます。
「マンガ」も同様、おうち時間が増えたこともあって、アプリユーザーを増やすべくプロモトレンドを実施して、ユーザー数増加を狙ったと考えられます。
「アニメ」はまとめ系のハッシュタグであることから、動画配信サービス市場全体を盛り上げるようなプロモトレンドに感じます。
(私だけかもしれませんが)動画配信サービスは、複数使いがスタンダードであり、自分の観たい映像に応じて使い分けている人が多いのかなと思いました。
一方で「マンガ」は自分たちのサービスにだけ旨味のあるようなハッシュタグとなっています。マンガアプリ市場は、ユーザーを奪い合っている状態が続いているように感じがしました。
アニメとマンガでこういった違いがあるのは、何か業界構造的な違いがあるのかなと思いました。わかる人いたら、誰か教えてください。。
4. 個人的に気になったプロモトレンド
ここからは、個人的に気になったプロモトレンドをピックアップしていきたいと思います。
まず最初に紹介するのはこちらのプロモトレンド。
9/1防災の日に、サランラップを発売している旭化成ホームプロダクツが、 #家でも防災訓練してますか でプロモトレンドを実施しました。
調査データ(動画)を伴ったツイートで、コロナだからこそ伝えられるメッセージ「#在宅防災訓練」を発信しました。
SoftbankやPanasonic、東京ガスなども上記ハッシュタグを付けて、自社商品やサービスを使った#在宅防災訓練の仕方を発信していました。
他のプロモトレンドとは違い、他企業を巻き込み、且つ、コロナ禍に合わせた発信を行っていたプロモーションでした。
マッチングアプリ市場は今年、苦しい年になったと思います。そんな中でも、各種マッチングアプリがオンラインデートを仕掛けていましたが、中でも恋活・婚活マッチングアプリ「Paris」はプロモトレンドを使って、新しい価値観を作りにいってるように感じました。
自社サービスのみを伝えるような仕掛けではなく、Pairsはマッチングアプリ市場全体が盛り上がるようにメッセージを調整したように感じます。
マッチングアプリ経由で付き合ったり、結婚したり、私の周りにもそうしたカップルが増えつつあり、徐々に市民権を得ている印象はありますが、ハッシュタグを付けてツイートするとなるとまだまだ抵抗がある人が多いのかなと個人的には思います。
上記プロモトレンド(#謾サ谿サ讖溷虚髫SAC_2045)を最初見たとき、自分の携帯が壊れたのかと思いました。
その日のうちに、文字化けがなくなり、本来のハッシュタグ(#攻殻機動隊SAC_2045)に直りました。
この文字化けを見て、ついついプロモトレンドをクリックした人も少なくなかったと思います。
私自身、攻殻機動隊が詳しいわけではないですが、文字化けが作品の世界観を表現しており(?)、プロモトレンドの新しい使い方を見たような気がしました。
これは個人的に好きなプロモーションで、2016年から大塚製菓が実施しています。自分の母校の部活動に投票して、その中から抽選でinゼリーが当たる=母校にinゼリーが届くという内容になっています。
今年は、コロナによって甲子園が中止になるなど部活動にも多大な影響がありました。自分たちが過ごしたあの青春の時間を、後輩たちが普段通り過ごせないと思うと、いつも以上に胸が痛みます。
そんな今だからこそ、母校に対してできることはないかと考えるきっかけになったプロモトレンドだと思います。メッセージもそのように調整されていて、いいハッシュタグだなと感じました。
5. まとめ
荒い部分もありますが、一年間分のプロモトレンドを分析してみました。プロモトレンドのスクショを始めた際には、何かわかることがあるかなとわからないまま始めたのですが、分析してみて意外と発見が多かったです。
ただ、2020年のプロモトレンドしかまだ見ていない、且つ、2020年は特殊な年だったので、2019年以前と比較することはできないのですが、プロモトレンドもコロナに引っ張られたと感じました。
今回の結果を来年以降と比較してどのような変化が見えるか、また一年後に分析できればと思います。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました!