人間の脳は多様性を受け入れられない問題
つらいエピソードを思い出している人間の脳を観察すると痛覚を司る回路が活性化するという研究がある(上記書籍参照)。「心が痛む」という言葉は比喩ではなく、苦い思い出、甘い恋、冷たい人、などの比喩表現が実は脳の仕組みから説明できるというのだ。
痛いと感じるのは危険を察知して回避するためだが、肉体的な痛みと精神的な痛みを分ける必要はない。同じ脳の回路を使って回避すればコスパが良いというわけだ。
このように人間の脳はエネルギーを節約するためにあらゆる手段を講じている。
多数の人間が生活する社会では、脳は集団を管理しやすくするためにグループ分けをする。一番コスパの良い方法で。
例えば性別は脳にとってコスパが良い分類方法だ。人間を見た目で簡単に分けられる。いちいち話してその人の性自認や何やらを聞かなくてもあらゆる人間の集団を2つに分割できる。
学歴もコスパが良い。早稲田の主席と東大の落ちこぼれならおそらく早稲田の方が優秀だが落ちこぼれかどうか聞くのは面倒臭い。だったらざっくり学歴で分けてしまおう。面接をしなくて済む。
こうして脳の作用によって差別が生まれる。裏を返せば人間の脳が認識できるのは2つか3つくらいのまとまりで、LGBTQのような多様性を受け入れるようにはできていない。中には塩さえも数十種類に分けて丁寧に使い分けている人もいるがそれはその人が塩が好きで分けるに値するだけの価値があると思っているからだ。
脳はコスパに非常に敏感で、差別だ多様性だといくら叫んでもリターンがなければ動いてくれない。多様性を実現するにはそれに値するだけの価値を提供する必要がある。
🐈❤️