#36 一生解けない魔法をかけられた
「おとぎ話なんかクソでしょ。」
なんとそそられるセリフなんでしょう。
週刊少年ジャンプにて短期間連載された「BURN THE WITCH」。この作品の中で出てくるセリフです。
古くから架空の生物と言われてきた"ドラゴン"だが、実際は架空でも生物でもない異形の存在であり、その姿、存在は一般市民には知られていない。しかし、ロンドンの裏に拡がる「リバース・ロンドン」の住人だけは、その姿を見ることができる。
今作品は、その世界の中で、ドラゴンの保護と管理を任されている『WB(ウイング・バインド)』という機関に所属する二人の魔女の活躍を描いている。
BURN THE WITCHは、読切掲載と短期間での連載ながら、アニメ化もされ全世界から注目された。その理由は単純明快。作者が、あの久保帯人先生だからだ。
私たちは「BLEACH」世代ど真ん中だと思う。漫画もアニメも見まくり、教室で卍解したり鬼道の詠唱をしたり、Aqua Timezを大合唱していた同志は、全国各地にいることだろう。千年血戦篇のアニメ化が発表された時は、狂喜乱舞したくらいだ。
そんなBLEACH世代だからこそ、当然BURN THE WITCHにも飛び付いたわけだが、やっぱり久保帯人先生はわかっておられるな〜と感じた。
好きだからこそ、内容を事細かに書いてしまうには気が引けるが、今作品にはBLEACHにドップリ肩まで浸かっている人間にとって、脳汁ドバドバ警報発令レベルの小ネタが散りばめられている。こればかりは実際に読んで、見て欲しい。......尸魂界......。
また、BLEACHでのキャラのお洒落な立ち回りや、セリフ、ネーミングや詩的表現に感じる独特の魅力も受け継がれている。
冒頭の「おとぎ話なんかクソでしょ」のような、声に出して読みたいセリフや魔法の詠唱がわんさか出てくるので、多分この作品に影響を受けて厨二病を発症するガキが生まれると思う。おいたわしや......。
厨二病患者の増加問題はともかく、思春期にBLEACHに出会った我々がそうだったように、このBURN THE WITCHが、今の中学生や高校生にとって特別な作品になるのかもしれない!とふと思った。
読んでいた当時と同じ熱量で、大人になってからも友達と語り合えるような作品というのは、そういくつも出会えるものではない。彼ら彼女らの青春を彩り、歳月を経てなお輝くような、そんな作品へとなっていくのだろうと思うと、作者でもなんでもないのに感慨深い。
もちろん、大人が読んでも楽しめる作品であることも間違いないので、みなさん手に取ってみてはいかがでしょう。Amazon Prime Videoなどでアニメも見ることができるので、久保帯人先生ワールドに是非みなさん足を運び、解けない魔法をかけられて欲しい。