夜が落ちる。
生活をしていると時として思いがけない出会いがある。
水曜日、寝つきがどうも悪く深夜3時過ぎに起きた。
もう一度寝るのはもう厳しいので仕方なくラジオをつけると、ある曲が流れてきた。
天空橋に / 空気公団
ヘッドホン越しに聞こえたこの曲に上半身が鳥肌に包まれた。
イントロが長く、はじめ深夜クロージングのインストゥルメンタルかと思って聞いていた。
「クロージングにしてはやけに真夜中にマッチしているな…」
とぼんやりと考えていると、やがて歌い出した。
その瞬間、夜ではなく稲妻が落ちたような衝撃に襲われた。
なんだこの歌詞は。
あの京急もしくは東京モノレールの通過駅で名高い天空橋か。
羽田空港へ向かう車窓からただただ駅のプラットホームが流れていくのを見届ける、あの場所か。
最早どうすることもできない二の腕の鳥肌を薄手のシャツで隠した。
普段洋楽ばかり聞いている自分は、久々にその邦楽アーティストを検索してみたくなった。
青森出身のグループで、もともとは3人編成だったが今は一人とサポートメンバーで活躍しているとのこと。私の田舎なので親近感が湧いた。
ちょうど先日、とある国家試験を受験してきた。
この半年間、この日のために大学受験をもしのぐ人生で一番勉強したにもかかわらず今年は難易度が上がっていたようで、自己採点をするとまさかの合格ボーダーライン上の点数だった。
1問でもマークミスがあると不合格、来年に持ち越し。
正式な発表までまだ一月もある。
そんな心持ちの身には「落ちた」という歌詞がとってもとってもメンタルに響く。
何たる不謹慎なことと感じつつ、すでにPC画面に開いている私のアマゾンミュージックには収録されたアルバムをインポートしている。
そもそも空気の澄んだ夜に広がる星を見つめているとだんだんと夜に吸い込まれていきそうな感覚があるが、夜が落ちるって何なのだろうか。
夜というスペースシャトルが操縦不能に陥り、遥か下界の街に真っ逆さまに墜落しているようなイメージを、漆黒のマントを広げて夜が街を支配していくイメージを、深夜の妄想劇は繰り広げる。
小さい頃はよく高いところから落ちる夢を見た。
夢占いでは幸運の予兆があるというが、これと言ってその前後に思い当たる節はない。
レッ〇ブルも飲んでいないのに翼を授けられたような感覚のまま、雲がかった高層ビルからバサッと飛んでみる。
しかし翼をはためかせても意味はなく、あっという間に急降下していく。
カラフルなBGM付きで真っ逆さまに落下していくところでたいてい目が覚める。その一部始終を起きたての脳はまだ覚えている。
「いいんだ、やるだけやった。大丈夫、なんとかなってるさ。」
これだけ落ちるエピソードを書いた後に脳内で自らを宥めても何の癒しにもならないが、深夜ラジオで偶然耳にしたこの曲を聴きながら明け方再びの眠りにつくことに心地よさを覚えたのは、どんな不安事にも耐えうる二度寝ルーティーンになった今日この頃である。