連作20句「原級留置」 3 こばると 2022年10月25日 17:03 恋猫もゐたね立体駐車場 春の野や銅のコツプに水を汲み 黒パンを引き切るナイフ春の土 秒針が狂ふごとくに椿落つ エヂプトに死して蛙の目のくろぐろ 行く春の片手に鍵を返しけり 天球の半分夏蜜柑かるし 五月雨やコンクリートのうへに夜 明易や祈りのうちにパンを焼く 毎朝を水打つて仮死したるなり ハンカチを振つて少年夏とする 啄木鳥やピツチカートと綴るやう 鈴虫のいつぴきに声ひとつとは 朝顔のしをるる空の青きかな 葡萄ひとつぶ抓むにキスのごとくする 秋寒や吐物の乾きゆくマスク すれ違ふ葱と林檎を両の手に コンビニのおでんよ遮断機が開くよ 法螺貝の音です冬のオリオンです 学校をやめて蜜柑が甘くつて第14回石田波郷新人賞・落選作です。 ダウンロード copy #俳句 #石田波郷新人賞 3 この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか? サポート