鱗親和のルール解説

 こんにちは、普段はニコニコ動画で動画投稿しているカエデ属の植物です。今回は動画に向かない題材だったのでnoteで投稿してみました。

 鱗親和は他のデッキではあまり意識しない領域のルールを使うので、ルールの勘違いやそれによるプレイの見落としが多いデッキです。
 紙はもちろんのこと、MOではバグがあるので、結局は調べなければ正確なルールを覚えられません。
 しかし、日本語の鱗親和の記事は古いものが多く、ルールにフォーカスしたものも見つけられなかったので、本稿を書きました。

 本稿は調べたいことを見つけやすくするため(と、私にとっての書きやすさのため)、箇条書きです。
 出来る限り総合ルールの項目番号も併記し、リンクも付けていますが、それらは和訳 20230414.1 版に基づいています。項目番号やそのリンクはずれている場合があるので、最新版も公式ウェブサイトなどで適宜確認してください。
 項目番号のリンク先はWisdom Guild総合ルールビューアです。
 本稿での引用はすべてMJMJ.infoの「マジック総合ルール(和訳 20230414.1 版)」から行っており、2023年5月11日閲覧のものです。

 マジック総合ルールの最新版は以下のページで確認できます。過去の版はMJMJ.infoの最下部のリンク先で閲覧できます

 2023年5月11日に追記・修正しました。
・再生の項を追加しました
・小技編の項に、再生や《打ち砕かれた尖塔、オゾリス》、《ウルザの物語》のトークンについて追記し、構成も少し変更しました
・その他、文章をわかりやすくするために修正しましたが、内容はほとんど変わっていません

 これ以前の編集履歴は最下部にあります。

各項の概要

  1. 接合

  2. 《オゾリス》

  3. カウンターを動かす

  4. 《硬化した鱗》

    • 1から4は鱗親和の基本的な挙動について説明する

    • 「4.《硬化した鱗》」では、MTGにおける置換効果についても少し触れる

  5. カウンターの相殺

    • -1/-1カウンターが乗って死亡し接合などが誘発するなら、相殺される前のカウンターの数を参照する

    • MOだとこれをよく知らないで《損魂魔道士》を使っているらしい人によく当たっていた(主観)(過去形)。本稿執筆の動機になった項目

  6. 《ウルザの物語》

  7. 「再生する」

    • 再生が全く分からない人向けに書いたつもりの項目

  8. 《激しい叱責》

    • 鱗親和は使われる側だけど、やや複雑なので記載

    • カウンター持ち生物はカウンターを持たずに出るようになる

    • タイムスタンプについて

    • 《溶接の壺》などの再生には影響なし

  9. 変容

  10. 小技編

    • ひとめで気付きにくい(主観)テクニックの紹介

  11. オラクル変更されたクリーチャー・タイプ

  12. おわり

    • なにかがないと途中で送信したみたいになるので存在する項目

    • 編集履歴付き

1.接合

注釈文の「移してもよい」はルールを正確に表していないため注意

702.43a 接合というキーワードは、常在型能力と誘発型能力の2つの能力を表す。「接合 N/Modular N」とは、「このパーマネントは、N個の+1/+1カウンターを置かれた状態で戦場に出る。」と、「このパーマネントが戦場から墓地に置かれたとき、アーティファクト・クリーチャー1体を対象とする。あなたはそれに、このパーマネントに置かれていた+1/+1カウンター1個につき1個の+1/+1カウンターを置いてもよい。」を意味する。
(702.43bは省略)

  • 引用中の「2つの能力」のうち、《ザーバス》の2つ目の能力が強化するのは後者のみ。《ザーバス》自身が誘発させた接合には適用されない(《ザーバス》を2体出した場合、片方を墓地に置いて接合が誘発し、戦場に残った方の能力がその接合を強化する)

  • 動かす効果ではない。違いは「3.カウンターを動かす」の項にて

  • 対戦相手のクリーチャーも対象に取ることができる。相手のクリーチャーを対象に取ったとしても、置かないことを選べる

  • +1/+1カウンターのみを参照する

  • 死亡したとき(戦場から墓地に置かれたとき)(700.4)のみに誘発する。《安らかなる眠り》などで置換されて墓地に置かれなかったなら誘発しない

2.《オゾリス》

1_オゾリス
  • 1つ目の能力はカウンターを動かす効果ではない(122.8)が、2つ目の能力は動かす効果である。違いは「3.カウンターを動かす」の項にて

  • 2つ目の能力は対戦相手のクリーチャーも対象に取ることができる。相手のクリーチャーを対象に取ったとしても、動かさないことを選べる

  • すべての種類のカウンターを参照する

  • クリーチャーが戦場を離れたときに誘発する。死亡したとき(戦場から墓地に置かれたとき)(700.4)に限らない

3.カウンターを動かす

122.5. カウンターを「動かす/move」とは、カウンターを現在ある場所から取り除き、他のオブジェクトの上に置くことを言う。それらの処理のどちらかが不可能な場合、カウンターを動かすことも不可能であり、カウンターが取り除かれることも置かれることもない。これは、元置かれていたオブジェクトと動かす先のオブジェクトが同一である場合や、動かす元のオブジェクトに該当するカウンターがない場合、あるいは動かす先のオブジェクトにカウンターを置くことができなかったり既に本来の領域になかったりする場合に起こりうる。

  • カードには「移動する」と書かれることがある

  • 《硬化した鱗》の効果が適用される

  • カウンターを取り除く/置くことができない場合、どちらも実行できない

    • 《オゾリス》の2つ目の能力は動かす効果であるため、その誘発後、解決前に《オゾリス》が戦場を離れた場合、カウンターを取り除くことができず、カウンターを置くこともできない

    • カウンターを動かす効果が重複する場合、一度目に動かした個数だけ二度目に取り除ける個数が減るため、カウンターの総量は増えない。
      一方で、《オゾリス》の1つ目の能力と接合は動かす効果ではないため、両方が同時に誘発した場合、それぞれで同じ数だけカウンターが置かれる。結果として、カウンターの総量は倍になる

4.《硬化した鱗》

  • 「カウンターが置かれた状態で戦場に出る」ことも、カウンターが置かれることに含まれる(122.6)

  • カウンターをN個置くイベントを、N+1個置くイベントに置き換える置換効果である

    • カウンターを置くイベントの回数が増えるわけではない

    • 《硬化した鱗》が2つある場合、「N個置くイベントをN+1個置くイベントに置き換えた後、さらにN+2個置くイベントに置き換える」という挙動になる

  • 《金属ミミック》などの「追加で1個置かれた状態で戦場に出る」という効果も同様の置換効果である

    • それがカウンターを置かずに出るはずだったなら、カウンターを置くイベントの回数は0回から1回に増える

    • それがカウンターを置いて出るはずだったなら、カウンターを置くイベントの回数は1回のまま増えない

    • 《金属ミミック》と《硬化した鱗》が1つずつある場合、《硬化した鱗》が2つある場合と同様の挙動でN+2個のカウンターが置かれる

MTGの置換効果について

  • MTGの置換効果は連鎖する。ただし、あるイベントに適用した置換効果は、「その結果」や「その結果を置換した結果」(または結果の結果の結果など)には、もう適用されない(614.5)

  • ある1つのイベントを複数の効果が置換しようとしている場合、まずどれを適用するかはその影響を受けるプレイヤーが選ぶ(詳しい基準はCR616.1参照)。置換した結果まだ適用できる効果があるなら、同様に選ぶ

  • あるイベントを置換した結果、ある置換効果が適用できるようになったり、適用できなくなることがある(616.2)

5.カウンターの相殺

704.3. (中略)該当するものがあればそのすべての状況起因処理を同時に、単一のイベントとして処理する。(後略)

704.5. 状況起因処理には、以下のものがある。
(中略)
704.5f タフネスが0以下のクリーチャーはオーナーの墓地に置かれる。再生はこのイベントを置換できない。
704.5g タフネスが0よりも大きく、ダメージを負っていて、それが負っているダメージの合計がそのタフネス以上であるクリーチャーは致死ダメージを受けていると言い、破壊される。再生はこのイベントを置換することができる。
(中略)
704.5q 単一のパーマネントに、+1/+1カウンターと-1/-1カウンターが乗っている場合、その2つのうちで少ないほうと同数だけ、両方のカウンターを取り除く。(訳注:両方が同数である場合、その両方を全て取り除く。)
(後略)

704.8. 状況起因処理の結果として、他の状況起因処理が行われるのと同時にパーマネントが戦場を離れた場合、そのパーマネントの最後の情報は、それらの状況起因処理を行う前の情報を用いる。

  • -1/-1カウンターが置かれて死亡し、接合《搭載歩行機械》の能力が誘発するなら、相殺される前のカウンターの個数を参照する

  • 《オゾリス》の能力はすべてのカウンターを参照するため、相殺される前の個数分《オゾリス》に置かれた後、改めて相殺される

    • +1/+1カウンターと同数以上の-1/-1カウンターが置かれて死亡した場合、見かけ上は《オゾリス》にカウンターが置かれないが、実際にはそれぞれのカウンターが置かれている。
      そのため、《打ち砕かれた尖塔、オゾリス》の常在型能力や、《活性機構》の誘発型能力によって参照される

6.《ウルザの物語》

0_ウルザの物語
  • 生成されるトークンは、特性定義能力ではない常在型能力でパワーとタフネスが修正されている。別の効果でパワーやタフネスが変更された場合、それに修正が加えられる

  • 三章の能力はマナ総量ではなく実際に書かれているマナ・コストを参照する。アーティファクト・土地有色アーティファクトなどは出せない

英雄譚のルール

  • 増殖などによってカウンターが置かれた場合でも、(それが伝承カウンターなら)章能力は誘発する

  • カードの注釈ではわかりづらいが、戦闘前メインフェイズの開始時に伝承カウンターが置かれる(714.3b)。これによる誘発に対応してマナを出した場合、そのメインフェイズ中は保持される

  • 英雄譚としてのルールで生け贄に捧げるのは「最終章の数以上の伝承カウンターが乗っていて」「その英雄譚が発生源の章能力がスタックにない」場合(714.4)。最終章が誘発した後、解決する前に乗っているカウンターが減った場合、生け贄に捧げない

《血染めの月》などとの作用

  • 基本土地タイプが新たに定められるとそれまでのルール・テキストや土地タイプは失うが、他のカード・タイプやそのサブタイプ、特殊タイプは失わない(305.7)。
    《ウルザの物語》の場合、章能力と土地タイプ「ウルザの」は失うが、カード・タイプである「エンチャント」や、エンチャント・タイプである「英雄譚」とそのルールは失わない

  • サブタイプの英雄譚を持ったまま章能力を失うと、最終章の数は0となり(714.2d)上記の生け贄に捧げる条件を満たすため、次の状況起因処理で生け贄に捧げることになる

7.「再生する」

701.15a 呪文や能力の効果がパーマネントを再生する場合、そのパーマネントが次にそのターン破壊されることを防ぐ置換効果が作られる。この場合、「[パーマネント]を再生する/Regenerate [permanent]」とは、「このターン、次に[パーマネント]が破壊されるなら、その代わりに負っているすべてのダメージを取り除き、タップし、攻撃クリーチャーまたはブロック・クリーチャーならば戦闘から取り除く」を意味する。
(701.15bは省略)
701.15c 再生の盾を作る能力を起動することや再生の盾を作る呪文を唱えることは、パーマネントを再生することと同一ではない。パーマネントは再生できないとする効果は、そのような能力を起動したり呪文を唱えたりすることを禁止するのではなく、再生の盾が適用されないようにする。

  • 「再生」という言葉のイメージと異なる挙動をするため、総合ルールの一部では破壊を防ぐ「再生の盾」を作ることだと表現している

  • 「パーマネントを再生する」効果が適用されたとき、そのパーマネントはターン終了時まで、「再生の盾」を持つ。複数回再生した場合、その回数分の盾を持つ。一度破壊を防ぐと盾が1枚壊れる

  • 再生によって破壊を防ぐときは、そのパーマネントが負っているダメージをリセットして、タップし、戦闘中なら戦闘から取り除く

  • 《終止》などの「再生できない」効果は、盾で破壊を防ぐことを阻害する。再生の盾を作ることを禁止するのではない

  • 「破壊」は、「破壊する」と書かれている効果か、致死ダメージや接死持ちの発生源からのダメージによる状況起因処理によって行われる

  • タフネス0で墓地に置かれることは破壊ではない

    • 「タフネスが2で1ダメージ負っているクリーチャー」を-1/-1修正した場合、それは破壊される。
      それは「タフネスが1で1ダメージ負っているクリーチャー」になっていて、タフネスが正の値だからである。

  • 生け贄やレジェンドルール、忠誠度0で墓地に置くことは破壊ではない

    • 英雄譚の最終章後の処理では生け贄に捧げられる

  • 破壊されると通常は死亡するが、墓地に置くことが置換されると死亡した扱いにならない(700.4)。そのような「破壊の結果が死亡でない」場合でも破壊自体は行われるため、再生で防ぐことができる

8.《激しい叱責》

 使われる側として解説する。理屈を説明すると文章が長くなるため、まずは要点だけまとめる。

  1. 接合持ちXマナクリーチャーは、カウンターを置かずに戦場に出るようになる(614.12)

  2. クリーチャーが持つ「死亡したとき」(や接合)の能力は誘発しなくなる(603.10a)

  3. 《溶接の壺》などの「対象を再生する」効果は、能力を与える効果ではないため影響を受けない

  4. 能力を得る効果と失う効果は、基本的に古い順に適用していく。《激しい叱責》が着地した後に得た能力は失わない

  5. 《ウルザの物語》で生成されるトークンは、《ウルザの物語》で定められた常在型能力を失って、他の効果による修正がなければ0/0になる。この能力除去は《激しい叱責》の着地とトークン生成の順番を問わない

  6. 《墨蛾の生息地》がクリーチャー化した場合、「飛行」や「感染」は上記の4に従うが、元々持っていたマナ能力やクリーチャー化能力は必ず失う

  7. 激しい叱責が戦場を離れたら失った能力は元に戻る

  8. スタック上にある起動型能力や誘発型能力も能力と呼ぶが、それに直接影響する能力ではない

  • 1や2にあたる効果や能力は、その持ち主が戦場にあるときの状態を見て適用される。《激しい叱責》が戦場にあるなら、それが戦場にあるときには能力を持っていないはずであるため、適用されない

  • 3については書いてある通りで、7と8は念のための説明

  • 4と5、6については以下で解説する

4,6.能力の追加・除去の順序

  • 各オブジェクトや継続的効果にはタイムスタンプというステータスが存在していて、一定の条件で新しいタイムスタンプを得る。「種類別(613)」のルールで同じ区分に当たる効果は、タイムスタンプが古い順に効果を適用していく(613.7)

  • 「能力を得る効果」と「能力を失う効果」は同じ区分(第6種(613.1f))であるため、タイムスタンプ順に適用される。「能力を失う効果」より新しい「能力を得る効果」があれば、それは失わない

  • 主要な継続的効果のタイムスタンプを以下に列挙する。
    ほとんどの場合その効果が発生した時点のことだが、詳細は総合ルール「613. 継続的効果の相互作用」の613.7を参照のこと

    • 《激しい叱責》や装備品などの常在型能力の効果は、そのオブジェクトのタイムスタンプに従う。
      パーマネントのタイムスタンプは、戦場に出る、(装備などで)何かにつく、変身する、表向きや裏向きになることによって新しく得る

    • 呪文や起動型能力、誘発型能力の解決による効果は、それが解決されたときに得る

    • 《墨蛾の生息地》のクリーチャー化能力の効果も、他の起動型能力同様それが解決されたときに得る。ただし、元々持っていた能力は継続的効果によって得た能力ではないため、クリーチャー化と《激しい叱責》のタイムスタンプ順によらず必ず失う

    • 鱗親和ではほとんど起こらないため、キーワード・カウンター、効果によって得た常在型能力による効果(ルーンなど)、パーマネント以外のオブジェクトのタイムスタンプ、同時にタイムスタンプを得る場合については省略

5.第6種に当てはまらない能力の追加・除去

  • 《ウルザの物語》などの「『~』を持つトークンを生成する。」という能力は、そのトークンの元々の特性を定める効果(111.3,613.1,※)であるため、種類別のルールで適用順は変わらない。「能力を失う効果」で必ず失う

  • 変容やコピー効果での特性の変化は第1種(613.2a)であるため、必ず第6種より先に適用される

    • たとえば、《激しい叱責》が着地した後に変容呪文が解決された場合に関係する。
      タイムスタンプは《激しい叱責》の効果より変容の効果の方が新しいが、変容されたクリーチャーは変容で得た能力も失っている

  • 基本土地タイプに関した能力の追加・除去(305.7)はタイプが定められること(第4種)と同時に起きるため、必ず第1種より後、第6種より先に適用される

    • たとえば、《血染めの月》が着地する前に《墨蛾の生息地》がクリーチャー化していた場合に関係する。
      タイムスタンプはクリーチャー化効果より《血染めの月》の効果の方が新しいが、ターン終了までは《墨蛾の生息地》は飛行や感染を持ち続ける

(※)「トークンを生成する。それは『~』を持つ/得る。」という能力の場合、「持つ/has」と「得る/gains」のどちらが使われているかで扱いが変わる。「持つ」とある場合は《ウルザの物語》のトークンと同様だが、「得る」の場合は第6種の「能力を得る効果」として扱われる。
 これを説明する文章が他に見つからなかったため、MTG質問箱さんの回答を参考とする。

9.変容

4_水晶壊し

 関連するルールが膨大であるためこの項では引用しない。詳しくは総合ルール「702.140. 変容」と「725. パーマネントの合同」を参照のこと。

  • 変容したパーマネントは一番上のカードのタイプのみを持つ(702.140e)。アーティファクト・クリーチャーの上に変容した場合、アーティファクトでなくなる

  • 変容呪文としての対象が不適正になった場合、通常のクリーチャー呪文として解決される(702.140b)

  • 人間には変容できない(念のため)

ミシュラランドとの作用

  • クリーチャー化した《墨蛾の生息地》の上に《水晶壊し》が変容した場合、1/1の「ファイレクシアン・ちらつき蛾・ビースト・アーティファクト・クリーチャー」になる。墨蛾の下に変容した場合、土地でもあり、ビーストでない

  • 能力は変容しパーマネントが持つものとクリーチャー化能力で得るものの両方を持つ

  • クリーチャー化が切れたなら一番上の部品の特性と、すべての部品の能力を持つようになる(702.140e)。一番上がクリーチャーなら土地ではないし、一番上が土地ならクリーチャーではない。いずれにしてもマナは出せるし、再びクリーチャー化能力を使うこともできる

タイプ決定の詳細

  • 継続的効果の種類別の都合で、クリーチャー化と変容の順番を問わず、変容で変化した特性がクリーチャー化効果で修正される(613.1,613.2a)

  • 変容したパーマネントは一番上のカードのタイプのみを持つ(702.140e)

  • カード・タイプを変更する効果は元のカード・タイプを上書きする(205.1a)。サブタイプを変更する効果についても同様。特殊タイプを変更する効果は上書きしない

    • ただし、タイプの上書きには例外がある(205.1b)

      1. 「タイプに加え」や「~でもある」とある効果は元のタイプをすべて残す。「~でもある」の「~」を持たない場合は「~」を追加しないが、元のタイプはすべて残す

      2. 「アーティファクト・クリーチャーになる」とある効果も元のカード・タイプとサブタイプをすべて残す。「[クリーチャー・タイプ]・アーティファクト・クリーチャーになる」も同様

    • 《墨蛾の生息地》は1と2の両方に該当する

  • あるサブタイプに対応するカード・タイプを1つも持たなくなるようなとき、そのサブタイプは失われる(205.1a)

10.小技編

鱗算

  • 《オゾリス》と複数の接合持ちがいてそれらを死亡させる場合、一番多くカウンターが乗っているものから次に多く乗っているものへ接合すると、最終的なカウンターの数を最大化できる

  • 《電結の荒廃者》《硬化した鱗》か《オゾリス》があるときに「接合1」持ちを出すなら、おおよそカウンター5個分として計算できる。《打ち砕かれた尖塔、オゾリス》(以下新オゾリス)でも同様。ただし、他の条件で結果は変わるため目安にしかならない

  • 《硬化した鱗》や《オゾリス》があるときに、接合持ちをそれよりタフネスが大きい《歩行バリスタ》の能力で焼くと、カウンターがちょっと増える。《新オゾリス》や、焼かれる接合持ちとは別の《ザーバス》がある場合でも同様

  • 《新オゾリス》を《電結の荒廃者》のコストにする場合、《電結の荒廃者》自身でダメージを与える場合か、《硬化した鱗》も並んでいる場合は得をする。その他の場合は大抵得しない

その他のシナジー

  • 《電結の荒廃者》の生け贄に捧げる部分はスタックに乗らないが、《ザーバス》の破壊効果はスタックに乗る。《ザーバス》は対応されうるが、スタックの組み方次第で《ザーバス》自身の接合を解決してから接合先を死亡させることができる

  • 《新オゾリス》《オゾリス》が戦場にあり、《新オゾリス》の起動型能力でクリーチャーを強化したい場合、《オゾリス》を対象に起動し、それを《オゾリス》の能力で移す選択肢もある。クリーチャー除去による立ち消えを考慮するか、それぞれの能力の対象を別にして2体強化するかなどで一長一短

  • 《ウルザの物語》の三章でマナを出せるアーティファクトを探すと、一時的なマナ加速になる

  • 《活性機構》の能力はどちらも範囲が広い。誘発型能力は《オゾリス》や《ラノワールの再生地》に乗ったときでも誘発するし、起動型能力で相手の蓄積カウンターを増やして妨害することもできる

相手との作用

  • 《ウルザの物語》のトークンに+1/+1カウンターを置いておくと、《激しい叱責》を出されても死亡しない

  • 《死せる生》で誘発した接合は、《死せる生》の解決後に対象を取る。つまり、墓地にあったクリーチャーに接合できる

  • 《力線の束縛》などの「これが戦場を離れるまで追放する」能力は、解決前にそれが戦場を離れていた場合、一切追放しない(610.3a)。追放される予定だったトークンやカウンターも消滅しない

  • 《不屈の独創力》の対象が再生されていると、それは破壊されないため踏み倒しも起こらない。《溶接の壺》は相手のアーティファクトも対象に取れるため、宝物トークンを対象に取った《不屈の独創力》はこれで妨害できる

  • 移植は相手のクリーチャーにも誘発するため、クリーチャーが着地した後はターンプレイヤーのソーサリーの優先権の前にインスタントの優先権が発生する。例えば、《イリーシア木立のドライアド》が出た後、土地を出される前に除去する機会がある

11.オラクル変更されたクリーチャー・タイプ

 思いつく範囲で、鱗親和に採用されうるカードについて記載する。

 ミラディン・ブロックを含む、古いアーティファクト・クリーチャーにはサブタイプを持たないものが多かったが、ローウィン発売に伴うオラクル更新ですべてに与えられた。

 感染関連とファイレクシア・マナ関連は、モダンホライゾン2発売に伴うオラクル更新でファイレクシアンが追加された。

12.おわり

編集履歴

 2021年6月17日に追記・修正しました。わかりやすくするためで、内容はほとんど変わっていません。

 2022年1月26日に追記・修正しました。
・変容の項がいろいろダメだったので書き直しました。クリーチャー・タイプについてです
・ウルザの物語の項に三章能力の注意と増殖などについてを追記しました
・オラクル変更されたクリーチャー・タイプの項を増やしました
・総合ルールを確認して、引用元を修正しました。内容や項目番号に変化はありませんでした(抜けがあるかもしれません)
・その他、いくつかの文章を変更しました。わかりやすくするためで、内容はほとんど変わっていません

 2022年2月12日に小技編に追記しました。
・《荒廃者》と《ザーバス》の違いについてです。他のものを作っているときに書いていないことを思い出したので書きました(実践したことはない)

 2022年9月8日に追記・修正しました。
・変容の項の特殊タイプの上書きについて誤りがあったので修正しました。ただしくは上書きしません
・《硬化した鱗》と《激しい叱責》の項を追加しました
・小技編に《ウルザの物語》とマナアーティファクトについて追記しました
・章番号にリンクを追加しました
・過去の追記・修正は最後の項に書くことにしました
・その他、文章をわかりやすくするために修正しましたが、内容はほとんど変わっていません

 2023年5月11日に追記・修正しました。
・再生の項を追加しました
・小技編の項に、再生や《打ち砕かれた尖塔、オゾリス》、《ウルザの物語》のトークンについて追記し、構成も少し変更しました
・その他、文章をわかりやすくするために修正しましたが、内容はほとんど変わっていません

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