「荒地の家族」感想
小説に出てくる街並みや東北の訛りが、リアルで物語というより、坂井祐二という人の記録、記憶を読んでいるようで、風景が、とても浮かびやすかった。その街を歩いては、小説の一行がのぼってくる。
全体を通して読みすすめるにあたって、人が生きるということが、ひしひしと伝わってきた。
「災厄」は、人生のうちのひとつなんだけれど3月を迎えるたびに、それはけして、通り過ぎることのできない記憶が残ってしまった。
「元の生活に戻りたい」という「元」とはいつの時点か。これは、私も思っていたこと。
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