味噌汁トーク 第2回後編
味噌汁を介した異業種おしゃべり。題して味噌汁トーク!!
村上奈緒子さんをゲストにお迎えしています。
第2回の前編はこちらから。
▶︎山で味わう味噌汁
かじまゆ: これまでの人生で思い出深い味噌汁はありますか。
村上: じゃがいもと玉ねぎの味噌汁の安心感はありますね。
かじまゆ: つくってもらっての味の、、、
村上: そうですね。つくってもらっての味! あとは切り干し大根の味噌汁を食べたときの「旨っ!!」という衝撃もありましたけれど。
かじまゆ: そうなんですね。いつごろですか。
村上: 最近です。乾物クッキングに行くようになってから乾物に注目し始めて。
かじまゆ: キッチンみのりさんのですか?
村上: キッチンみのりさんが始まる前にSocial Kitchen(ソーシャルキッチン)というところで乾物クッキングが始まりました。そのときに切り干し大根に開眼したから、4〜5年前ぐらいですかね。そう思うと結構長く食べていますね。
かじまゆ: それだけ定番になっているのですね。「旨っ!!」という衝撃があったからこそ、毎週何回も食べるくらいなのでしょうね。
村上: そうですね。少なくなってきたらそわそわして切り干し大根を買いに行きますから(笑)。
かじまゆ: 補充ですね!!(笑)
かじまゆ: 村上さんと言えば趣味で山登りもされていますけれど、山で味噌汁を食べることもありますか。
村上: 味噌に切り干し大根、わかめ、梅干しを叩いたのを混ぜてラップでキュッとまとめたものを持って行き、お湯を注いで飲むことはあります。山を登ると塩分を欲しくなります。
かじまゆ: 運動によって?
村上: そうなんですよ。行動食って甘いものが多くて。
かじまゆ: ようかん? 素人のイメージですが。
村上: ようかんやどら焼き、チョコレートなど甘いものが多いけれど、塩分も体が必要としていて。そういうときに味噌玉って言うんですかね、を持っておくと山頂のおにぎりと一緒に食べて「おいしいー!!」となります。
かじまゆ: 染みそうですね。
村上: はい!
かじまゆ: 外で食べるおにぎりっておいしいですよね。それがさらに山頂の景色と空気と味噌の塩分でおいしそうですね。山で味噌汁もいいですね〜。
村上: はい。塩分もたんぱく質も摂れるからいいですね。あ!おにぎりに味噌を入れることもあります。
かじまゆ: 味噌おにぎり!!お米と味噌も合いますねー。
村上: 本当に!かじさんが取り扱っている百菜劇場さんのおかず味噌も大人気ですね。
かじまゆ: はい!味噌はおかずになると再認識しやすいですね。味噌があれば!
村上: 味噌さえあれば!味噌もそうですけれど、もろみもごはんと一緒に食べますね。またおなかの空く話が(笑)。
かじまゆ: 盛り上がりますね(笑)。
麹と先人のおかげ!
かじまゆ: 味噌ももろみも麹あってですね!
村上: 「よくぞ日本にいてくれました!」と思います。
かじまゆ: ニホンコウジカビは日本の国菌ですものね。
村上: そうです!日本にしかいません。
かじまゆ: 麹をつくる側としても理解されると味噌をはじめ発酵食品の見方が変わりましたか。
村上: より身近になる、親しみが湧く感じですね。三河みりんさんの蔵に見学に行ったとき、麹をつくっている香りがしました。それにめっちゃ興奮しました。
かじまゆ: それは麹をつくるひとにしかわかりませんね。
村上: そう。「このにおいはー!!」と。
かじまゆ: 知らないひとからしたら、マニアに見られるような・・・?
村上: 「麹をつくっている」と言うとマニアに見られることもあるけれど、日本人の食文化の根っこにある部分ですよね。偶然が重なって、お酒ができたり味噌の前身のものができたり。昔の人はすごいですよね。「旨っ」と感じて、技術や機械がないなかで培養して商売にしてと思うとロマンですよね。
かじまゆ: すごいですよね。平安時代くらいから市場で味噌が取引された記録があるらしいです。
村上: 味噌が全国的に広まったのは室町時代だったと思います。麹ももやし屋、つまり種麹屋さんができて広まったのが室町時代だから味噌と共に、広まっていっているのがおもしろいですね。材料だから当たり前ですけれど。
かじまゆ: 麹がなくなってしまったら食生活がどうなってしまうのか・・・
村上: 本当にそうです!なにがあってもいいように国菌だからなにかあっても大丈夫なようにもやしやさん(種麹屋)でいろんな種類の種麹が保管されているそうです。
かじまゆ: もやし屋さんは全国に6軒ですか?
村上: 大きいところは。
かじまゆ: 他にももやし屋さんはあるのですか?
村上: 全国で十数軒あり、そのなかの6〜7軒でほぼ製造しているそうです。
かじまゆ: 味噌はつくれるようになりましたけれど、麹、大豆、塩があってできることです!生産者さんや加工してくれる方、流通の方に感謝感謝です。
村上: できる過程を知るとそう思いますね。全部つながっていますね。
かじまゆ: そして全部たどっていくと自然につながっているという・・・
村上: 三河みりんの方も日本酒の造り酒屋さんもおっしゃっていました。麹はお米からつくります。昔ながらのつくり方を守ることで米農家さんを守ることにもつながると。いいお米を使って麹をつくろうと思うと需要が増えたら農薬を使わないお米づくりも残していける。農家さんにもつながっていますね。
かじまゆ: 循環ですね。「食べる」は食卓だけですがさかのぼっていくと、、、いろいろ考える機会になりますよね。味噌をつくることから麹へ、麹から米へ、米から米づくりへ、と。
村上: そういうことを実感できますよね。話が壮大になってきましたね。
かじまゆ: はい。歴史もさかのぼり。
給食と味噌汁
かじまゆ: ところで給食で味噌汁の思い出はありますか。
村上: わたしが子どものころはほとんどパン食でした。週に1回米飯給食が確かあって、そのときに味噌汁も出ていたと思うのですが、それぐらいの記憶しかなくて。子どものころの味噌汁の記憶がないことを今思うと「えらいことだな」と。週に1回の米飯給食もカレーのときは味噌汁ついていないんですよね。
かじまゆ: 米飯給食の言い方からしてごはんが特別なものになっていますよね。
村上: かじさんのころはどうでしたか?パンとごはんの割合は。
かじまゆ: 小学校の給食、パンのほうが多かったです。ごはんは週に1〜2回で。味噌汁も出ていたはずですが、味噌汁がおいしかった記憶は正直なところなくて・・・。
村上: そうなんですよね〜
かじまゆ: 味噌汁トーク第1回ゲストのまつもとさんも同じように言っていました。味噌汁の思い出について気になってお尋ねしてみました。
村上: 今はどうなのかわからないけれど
かじまゆ: 京都市は和食の見直しとともにごはん食が増えていると聞いたことがあります。
村上: 味噌汁のほうが簡単だと思うんですけど!給食的にも。シチューのようなものが多かった気がします。パンだから・・・? なので大人になってからですね。味噌汁を飲もうと意識するようになったのは。
調理実習と味噌汁
かじまゆ: 調理実習では味噌汁をつくりましたか。
村上: いちばん最初の調理実習は味噌汁だったかと。
かじまゆ: ということは小学生の高学年のときですか?
村上: そうそう!
かじまゆ: 「味噌汁こそ簡単!」という方と、「味噌汁は難しい」という方と二極化、は言い過ぎですけれどそういう感じがあります。
村上: 「だしとらな!」と思っているのでしょうか。
かじまゆ: 調理実習で味噌汁をつくっている方が少なくないようです。調理実習を思い出してもらって簡単さが伝わればいいな〜と。
村上: そうですよね。調理実習のときはどうやってつくったのかな。だしをとった覚えはないのですが。
かじまゆ: 不確かですけれど、煮干しを入れたような気がします。
村上: そうかもしれないですね。
味噌汁を手軽につくるコツ
かじまゆ: 総合的に味噌汁に旨味があれば、昆布でだしをとらいないと、ということもないかと。
村上: 野菜からもだし出ますものね。
かじまゆ: 旨みのあるものを入れる、という観点で楽しんでもらえたらいいですね。
村上: いちばん手っ取り早いのは鰹節のパックを入れる、ですよね!
かじまゆ: 確かに!食べるときにお椀にかけたらいいですよね。ちょっとすりごまをかける、ちょっとおいしい油を垂らすなんかも手軽です。もの足りないときはそういう方法で。
村上: オリーブオイルもおいしいし、ごま油もおいしいし。
かじまゆ: あまりないのですが、味噌汁の味がどうしてもパッとしないときは油を垂らします。
村上: それでコクを足すと。
かじまゆ: はい!一気に解決!
村上: 素晴らしい(笑) そういう方法を知っているとつくるのもラクになりますよね。
麹のつくり方
かじまゆ: 麹から受けた影響や得たものはなんですか。
村上: 麹をとおして、味噌や醤油、みりんなどの調味料、また日本酒や酒粕への愛が深まりました!
かじまゆ: 愛ですね!せっかくなので麹をつくる工程をご存じない方向けにさっくりと解説してもらうことはできますか。
村上: 麹は主にお米からできています。
かじまゆ: 米麹ですね!
村上: まずお米を十分に吸水させて蒸します。炊くのではなくて。炊くと粘り気が出てしまいます。粘ると麹菌が伸びにくくなってしまうので。
かじまゆ: 麹菌が活動しにくいのですね。
村上: 水分が多いと雑菌が増える要因にもなるので。
かじまゆ: なるほど!
村上: 蒸すと炊いたごはんよりもパラパラになります。蒸したお米に種麹菌(胞子)をパラパラとまぶします。種麹菌はもやし屋さんから買ってきたものです。あとは48時間、ときどき温度を見ながら手入れをしつつ40度前後で保温をすると麹ができあがります。簡単に言うとこんな感じです。
かじまゆ: 初めて知った方に手間暇かかることを知ってもらえたら。
村上: 時間がかかりますが、ずっとついているわけではありません。癒されポイントとしてはすごくいい香りがするんです。
かじまゆ: 三河みりんさんで興奮したあの香りのことですね。
村上: 麹をつくるときにお米が段々と自家発熱してきます。ほかほかと。そうすると甘いにおいを出してきて、それが優しくていいにおいで。それにいつも癒されています。
かじまゆ: つくっている方ならではのお話ですね。
村上: つくっているからこその楽しみです!
かじまゆ: こういうことが気になる方はぜひ村上さん主催の会にご参加ください。
村上: そうですね。今はこんなご時世ですけれど(収録は2020年4月7日にオンラインにて)、麹を味わう会で麹の簡単な使い方や麹そのものをつくることをお伝えしています。ピンと来られたときに参加してもらえたら。
かじまゆ: オススメです!
村上奈緒子にとって味噌汁とは
かじまゆ: では最後に、村上さんにとって味噌汁とはなんでしょうか。
村上: 味噌汁とは朝はおなかが落ち着く飲みもの。夜はおなかを満たす一品。
かじまゆ: なるほど〜、朝は飲みもので夜は一品。具沢山味噌汁ですね。
村上: はい!
かじまゆ: それぞれの役割が。いいですね。味噌汁トーク第3回のゲストの方は未定ですが、ご質問があればお伝えします。
村上: 考えてなかった!
かじまゆ: お伝えし忘れていました!
村上: あら(笑)。好きな味噌汁の具でリレーをしたいですね。
かじまゆ: そうしましょう!素敵なアイデアをありがとうございます。
村上: 楽しみにしています。
かじまゆ: 麹のこと、味噌汁のこと、お話を沢山聞かせていただいてありがとうございます。
村上: こちらこそありがとうございます。
村上奈緒子 @ぷくぷくko
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