JUNKMETAL 回顧録① ログイン
2003年 冬
新規ロボットゲーム、MMO、スクウェアエニックス、武骨なメカデザイン
「JUNKMETAL」
クローズβの募集。
なんとなく心惹かれた俺は、雑誌募集枠にメール応募し、JUNKMETALの世界に降り立った。
資源衛星アルター8、こちらを開発し、人の住めるようにJUNKMETALと呼ばれる
人型汎用機械を操作し、戦闘、調査、探索をするゲーム。
腕だけがモノを言う、傭兵ロールプレイの世界。
まぁ近い世界観なら、ボト〇ズ。
クローズβ、お金を払わない代わりに、プレイのアンケート、バグチェックなどを
行うテスターとしてだが、
「別に楽しんでしまっても構わんのだろう?」
という気持ちだった。
まずはアバター設定。
性別、体格、髪色、顔つきを数パターンから選ぶシンプルなもんだ
「メカが主役のゲームだしな」
ふつうの短髪の青年パイロットスーツのアバターを選ぶ
当時としては、すごくも悪くもないFF11のような解像度のポリゴンだ。
表情も変わらない。
さて、問題の初期機体。
パッケージに書かれていた二脚JUNKだけかと思ったら
・二脚
・逆関節型二脚 (通称逆脚)
・四脚
の三択。
なにも考えず、初期のカーソルのあってた二脚を選ぶ。
人型とはいえ、もとが土木機械という設定のとおり
ずんぐりむっくりの小人のような丸っこいフォルム
頭部はないデザインで
日本でいうとツインビーみたいなかわいらしさがある。
「こりゃまた趣のある機体…って遅いな!これ!」
思わず第一声が遅っ!となるテスターが多かったと思う
ガレージを出て、フィールドに出た自JUNKのあまりの歩みの遅さに絶句する。
ダッシュも、ブーストもできなく、ほんとにガッションガッション歩くだけ
音だけは妙にリアルで鉄臭くていい…。
が尋常じゃなく遅い。
ガレージから地上のフィールドへ上がるのも数分かかる程度。
アーマード〇アでいう重量過多、
モン〇ンでいうスタミナ使い切って歩いてる状態をイメージしてくれれば近い。
それがデフォルト速度。
「おいおい、もっと速度の出る機体やパーツはないのかい?」
周りのテスターらしきJUNKが十体くらいいるが
若干逆脚が早いくらいでどれも遅い
むしろ四脚は二脚よりも遅く、初期機体に選ばなくてよかったと
胸をなでおろす始末
「とりあえず、資金貯めて、速度あがる追加パーツとかが目標だナ」
亀の歩みで、戦闘フィールドである
『ロンバガーノン針葉樹林』
へのゲートをくぐる
なお、ゲーム設定上は地下街でパイロットが買い物をし
地上と地下をつなぐ階に、JUNKカスタムするガレージ、地上へのエレベーター、ゲートがある
ここまでは「非戦闘区域」
地上は各MAP様々な地理地形の戦闘MAPだ
戦闘MAPはグールと呼ばれる、機械の化け物や
他のプレイヤーとの戦闘制限はないMAP
いついかなる時も撃っていいし撃たれる世界
ゲートが開き、視界が開けると、そこには林と大地が広がる
よちよち歩きの数体のJUNKが犬っぽい機械生物(グール)と豆鉄砲みたいなマシンガンで撃ちあっていた
「…ほのぼのとしてるな」
自JUNKを操作すると丸っこいちっこいJUNKが
無料マシンガンを片手にてくてく歩く
なんか思ってたのと違う。
とりあえずグールでも狩ってドロップパーツを売ればいいのかな?
目についた犬っぽいグール(ハウンド)へ
X-mashingun (初期無料マシンガン)をクリックでぶっ放す
ガガガガガガ!
とやたらに高い音をたて、光の弾痕がグールに吸い込まれる
すると上のHPゲージっぽいのが半分削れ、こちらに気づいたハウンドが
こちらへグイン!と方向転換し、自JUNKの2倍の速さで迫ってくる
2倍の速度で
慌てて、マシンガンを乱射するが、まだ慣れてない操作。
半分ほどはずれ、自JUNKと同じくらいの大きさのハウンドはそのままJUNKに噛みついた
ガキィオン!
と鳴り響く無駄にリアルな効果音
画面の青色だったデータ表示が赤色になり
腕部とマシンガンがHP0になったことを示す
「部位別でダメージ計算…しかし無料とはいえ…一撃喰らったらアウトかよ」
赤くなったパーツは「破損」扱いで機能が低下する
腕部が破損すれば、手持ち武器を扱えなくなり、
脚部が破損すれば、5分の1ほどの速度になる。
元が致命的に遅いJUNKならば、もはや足踏みレベルだ。
胴体がやられると?
「大破」扱いで即ガレージ行きだ。
なお確率でパーツをロスト、その場に落としてしまうペナルティつき。
真っ赤になったパーツとほぼ相打ち状態で初グールとの戦闘に勝利した
俺は、脚部破損のまま足踏みで途方に暮れるのだった。