誰にも伝えられなかったこと4

置き去りにされた時の恐怖と不安。
幼少の頃の出来事だが、今でも時々フラッシュバックされる。
会社が借り上げたアパートに父は一人(?)で暮らしていた。
会社にも近く、繁華街にも近かったので、
父はほとんど私達の住む家に帰ることはなかった。
ある日、母は私と幼い妹をそのアパートに連れて行って、
父も誰もいないリビングに私達を残し、どこかへ行ってしまった。
殺伐とした部屋、外の様子をうかがおうにも曇りガラスでよく見えない。
初めて来たアパート。。だんだん部屋は薄暗くなり、恐怖と不安で
胸が張り裂けそうだった。。
母は戻って来るのだろうか?
それとも、父が来てくれるのだろうか?
その後の、記憶はあまりない。
結局、母にどうしてそんなことをしたのか聞こうにも聞けず、
不信感だけが募ったものだった。

もう一つの置き去り事件。
博多駅のホームで父が待っているからと、
母が子供だけで電車に乗って行ってらっしゃいと
熊本駅まで送ってくれた。
別に行きたいわけじゃないのに。
そして、こういう時は一番年上の私が全責任を負うことになる。。
道中、努めて楽しく旅行できるように盛り上げて、
何とか博多駅に着くが、ホームに降りても
父はいない。
駅員さんに、父の名をアナウンスしてもらうが、
待てども、待てども来る気配がない。
仕方がないので、駅員さんにすすめられて熊本にトンボ返り。
駅員さんの手前、父親がこんなで、とても恥ずかしいと思った。
情けないと思った。下の二人にも申し訳ない気持ちでいっぱいになった。
その時の光景は、時々、脳裏によみがえる。




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