80年代生まれが語るこのゲームのココがすげぇ!/後編
**完成された脳内麻薬製造機
『DARK SOULS 3』
PlayStation4 2016年/FROM SOFTWARE**
上記お題タグの後編というか書いてたら長くなりすぎて分けた。ダークソウル3というか私のフロム歴についてしか語らない。
死にゲーといえば真っ先に名前が上がる企業といえばフロム・ソフトウェア。死にゲーといえばフロム、フロムといえば死にゲー。
私とフロム・ソフトウェア
https://www.fromsoftware.jp/jp/news/detail_181029_1.html
私とフロムゲーとの付き合いは、初代PSのアーマードコアまで遡る。
元々アクションゲームは好きではあるが上手くはない私にとって、アーマードコアは歯応えがある以上の難易度だった。
ブースト残量管理や空間把握能力がクソ雑魚ナメクジなので、よく高低差のあるマップで池ポチャしたり奈落に落ちたり次の足場を見失ったりした。
それでも、なんとか最終ステージまで辿り着き、ナインボールと2連戦を強いられたときは、「このゲーム作った会社バカなんじゃないのか?」と称賛の声を上げる程にハマっていた。下手は下手なりに機体や装備を組み直し、ついに2機目のナインボールも撃破した。
「私にも出来た…」
エンディングを見た時は非常にすがすがしい気持ちだった。それ以来、私にとってのフロムは「ロボゲーのフロム」で定着する事になる。
その後、順調にシリーズをクリアしていったが、社会人となり彼氏もでき、時間的な余裕が少なくなると、長時間の集中を必要とするゲームはあまりやらなくなってしまった。
最後にクリアしたのは『AC3サイレントライン』だったと思う。『NEXUS』も少しやったが、序盤でもたついて放置していたところ、気が付いたら次作の『ナインブレイカー』が出ていて、完全にフロムの発売ペースから置いて行かれてしまった。ここで私とフロムの関係は一度終わる。故に、私はレイブンとしても中途半端で、ましてやリンクスになどなれなかった女だ。
not for me (私には向いてない)
PS3が発売されてからも、専らPSPやDSなどの携帯機ばかりやっていた私は、据え置き機からぱったりと離れてしまっていたので、
2009年、デモンズソウルが発売され「フロムが硬派な剣と魔法のアクションRPGを出して大人気」と聞いた時は少しがっかりした位だった。
身勝手にも、自分がプレイできなくなってからもフロムにはロボゲーのフロムでいて欲しいなどど思っていたのだ。
初恋の陸上部のあの人には、今もどこかで走って汗をきらめかせていて欲しい、みたいな。いや、しゃらくせぇ。
私は、アーマードコアの、人間の姿が一切出て来ずに、企業や商売敵からの殺伐としたメールが届くような、仄暗い世界観が好きだったし、
そういった「暗さ」を持つフロムのアクションRPGにおいては「キングスフィールド」や「シャドウタワー」などの苦い思い出があった。
「一人称視点」が、どうしても3D酔いして駄目だったので、「フロムのアクションRPGは私には合わない」という固定観念に囚われてしまったのだと思う。
実際、弟が噂のデモンズをプレイしているのを見て3人称視点と分かった後も、「白い塊を延々とパァン!したり、遠くから尻尾めがけてチクチク弓を打っている健全なゲーム」という印象で(たまたま見かけたシーンが悪すぎた)、あまりプレイ意欲をくすぐられなかった。完全に「not for me」と思ってしまったのである。
11年間の期待が絶望に変わった日
そして更に時は流れ2016年12月、私は待ちに待った上田文人氏の手がけた新作『人喰いの大鷲トリコ』をプレイする為、数年ぶりに据え置きハードPS4を購入した。社会人として忙しい日々を送り、休日も彼氏との時間に費やしていた私でも、いつか氏の新作が出る時は必ず買うと決めていたのだ。
真新しいPS4に初回限定版のディスクを挿入し、読み込みの間に同封のブックレットを読みながら期待を膨らませていた。さぁ、はじめよう。
酔った。
おかしい、3人称視点なのにカメラの動きが気持ち悪くて、頑張っても1時間のプレイが限界だった。比喩ではなく吐いた後、横になって暫く目を休め、カメラの設定などをいじり、再プレイしたが気分の悪さは完全に取れず、そのままそっとイジェクトボタンを押して泣いた。
11年もの間待ち望んだゲームをプレイできない悲しさで呆然と数日過ごした後、PS4と一緒にもう一作ソフトを買っていた事を思い出した。
『DarkSouls3』
せっかく久しぶりにゲーム機を買うのだから、他のソフトも買っておきたい。そう思って買っておいたのだ。
そうはいっても、しばらく据え置き機から離れていたので、FFもメタルギアもバイオもシリーズの間が開きすぎていて、あまり購入心が湧かず、
悩んだ末に選んだのが、わが師導きのフロムだった。
「いきなり三作目からかよ」と思われるかもしれないが、当時家にPS4しかないので、(家を出た弟がPS3を持ってった)あえて選ぶなら好きなゲーム会社のものをと、消去法で選んだのが『Dark Souls 3』だった。
ディスクを挿入し、あまり期待しないで始めた。
スタート地点の寂しい墓地に一人で放り出され、やたら軽快なステップの犬に噛まれながらヨタヨタと進み、引き返せの文字を無視して進んではキラキラしたトカゲに轢き殺されたりした。一匹では大したことない亡者でも複数に襲われたらまず勝てない事や、弓持ち盾持ち亡者への対処などを死をもって叩き込まれ、辿り着いたチュートリアルボスの変形2段構えに、「おま、これチュートリアルだぞ!」とわめきながらマップを転がりまわった。
間合いをちゃんとはかる!体力管理しっかり!隙を見逃さない!
ごくごくあたりまえの、それだけを教え込むためのチュートリアルボスで何度も死んで、やっと「灰の審判者グンダ」を倒したとき、初めてこのゲームの第一歩を踏み出せたささやかな成長を感じた。
尚、その次のエリア「ロスリック高壁」にて、初めての宝箱に「食われる」事になり、やっぱり「このゲーム作った会社は頭おかしいんじゃないか?」と賛辞を述べた。ただいまフロムゲー。
自己成長感こそご褒美
かくして、多大な時間と引き換えに(サリヴァーン、踊り子、双王子あたりが本当に辛かった。これだけでも合わせたら200回くらい死んでる)無事火を継いだ私は、王たちの仲間入りを果たした。
アーマードコアの進化についていけず、フロムからはぐれたレイブンは、こうして灰の人としてフロムゲーへ帰ってきた。
以来、ソウルシリーズ(初代リマスターと2)、ブラッドボーン、隻狼とフロムゲーを楽しんでいるが、やはり私にとっての一番は『DarkSoul3』なのだ。
天下の死にゲー、ソウルシリーズを人が語る時、難しいという人もいれば、あんなもの簡単だという人もいる。確かに、プレイヤースキルによってはそういう人もいるだろう。
しかしながら、初見で「絶対無理だろこんなの!笑うわww」というボスに何度も挑み、「っっしゃー!オラァー!見たかこのー!もう二度と戦わねぇよバーカバーカ!」と自分の限界を超える度に脳内麻薬でビシャビシャした人ほど、死にゲーを最大限楽しめたのでは?と思う。
出来なかった事が出来るようになった。
そんな単純な自己成長感や達成感こそが、撃破トロフィーより嬉しいご褒美だった。
このようなフロム製の脳内麻薬中毒者は世の中に沢山おり、自ら破滅的な縛りプレイをしては今日も脳内麻薬を迸らせているのだ。(3倍速縛り、ルームランナー縛り、折れ直縛りなど…本当に皆さんようやる)
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