ファミコン探偵倶楽部 笑み男 ネタバレ感想
noteアプリを開くのも四年ぶりだがそんな事はどうでもいい。
今私の心中は嵐が吹き荒れている。
戸惑いと悲しみの嵐だ。
メインストーリーの中学生殺人事件に犯人はいなかった。事件と呼べるものは刑事による私的な職権濫用ぐらいだろう。
そこで肩透かしを喰らって戸惑っているとエンドロールが流れ出し、昼メシに置いてかれそうな主人公にすら置いてかれたプレイヤーは、流れるエンドロールを呆然と眺めるしかなかった。
昼メシを食い終わった空木先生に電話することでサブシナリオ「ミノル」が解放されたが、そこで明かされた真実というのが、
笑み男という狂ったシリアルキラー都市伝説は
社会の闇によって生み出された哀しきモンスターが本当に狂って事件を起こしていた
と、いう顛末だった。
悲しいがすぎる。
何が悲しいって全てが悲しい
母親の家出に始まり、
アル中の父親の暴力
妹の死
父親の殺害
服役
記憶障害
家族の様な轟夫妻から離れてしまった事
ガールフレンドの父親殺害
ガールフレンド本人殺害
良かれ、と思って少女達を殺害した事
そして、それら全ての事象の根底に気配を感じる、実の知的障害(あるいは発達障害)を思わせる認知機能の低さ。
こんな不幸の煮凝り?数え役満?
心の準備が出来てても胸焼け起こすわ。
フルボイスでエグ味が出てしまった虐待描写や出血表現があるので、メインシナリオから切り離さざるを得なかったような令和時代の大人の事情も垣間見えたが、
通奏低音の様に流れる実の”欠落している”表現は確かに賛否両論になるだろうな、と思った。
9章以降、実の背景が描写されるにつれ、私は何処かに救いを求めていた。
きっと少年院に入った事件にからむ人物にアパートで暴行を受けて連れ去られ、彼を悪役に仕立て上げようとする真の悪役が捕まれば、事件が解決すれば、きっとまた優しく受け入れてくれる轟夫妻と暮らせる日が来ると。
実際には、裏で糸引く真の悪役などおらず、
轟夫妻も知らない彼の衝動的で暴力的な一面があって、更に犠牲者を出す前に殺されて止められていた。
すみませーん、救いってどの辺の棚にありますかね?
あー、そこに無ければないですねぇ…。
救い、在庫ゼロ。
何が悪かったのか、誰が悪かったのか。
母親が出ていかなければ?父親がアル中じゃなかったら?妹が死ななければ?出所後、村での生活に居場所があったら?轟夫妻の元を離れなければ?彼女の父親なんて放って2人で逃げていれば?誠を誘拐しなければ?
何処かにあったハズのターニングポイントを探してしまう。自分の力でどうにも出来ない事、出来たはずの事、それら全てでより悪い方へ転がっていった先の結末。
ミノルのエンドロールで彼が最後に見た景色に、幼かった兄妹の姿が重なる。
彼にとって妹との思い出がどれ程かけがえのないものだったか。
辛い人生の中の瞬く様な微かな光。
闇が深く濃い程、その光は輝く。
そういう対比を感じたが、
闇をベンタブラックで丁寧に塗り潰しすぎじゃねぇかなぁ?任天堂さんよ。
システム面とかは特に不満はなかったです。
ファミ探を令和の技術で完全新作として遊ぶ事ができて本当に嬉しかった。
また続編お願いします。
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