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デウスの誓い Part-3 (了)
3 木梨 蓮二
蓮二は、自分のタイムカードを取り、タイムレコーダーに挿入し、出勤時刻が刻印されると制服に着替えてからバンが停車している駐車場に向かう。毎日決められたことを繰り返す。
何の目的もなく大学に入学し、卒業できる単位を適当にとり、そのほかの時間は危なげなく遊び、将来の希望もなく、ただぼんやりと過ごしてきた。就職の季節がきて、面接した会社は
デウスの誓い Part2
2 木梨孝司
孝司の大学は、自宅から電車を乗り継いで一時間ほどかかり、郊外の小高い山の中腹にあった。
最寄りの駅からスクールバスがでていて、駅から徒歩で行くと三十分ほどかかった。
駅の周辺は、大学が移転する前は人口が少ない過疎地域で、サラリーマンが棲むようなニュータウンもなく、畑や水田があちこちにあった。
大学が移転し、地元商店が大学
「デウスの誓い」 Part-1
1. 木梨 泰造
アルバイトの面接の日、東京の北部にある井戸掘り会社を泰造は正午を少し過ぎに訪問した。事務所の扉がだらしなく半開きになっている。簡易な鉄骨に安直に壁や床を嵌めたような二階建ての建物だった。扉の蝶番のとなりに「有限会社イズミ井戸掘り事業社」という看板がかかっていた。扉の間から顔だけ事務所のなかにいれると、中年の男がスチール机にコンビニ弁当をおいて、箸で乱暴に口のなかにごは