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夢は叶いません
スプリントコーチの秋本真吾です。
元陸上競技のハードル選手です。2012年に引退しました。
今は子供たちからトップアスリートまで人の足を速くする仕事をしています。足を速くするために大切だと思うこと、トップアスリートや子供達に走り方をコーチングをする上で感じたこと、僕が考えることなどを綴っていこうと思っています。
今日は「夢を叶えること」についてです。
「夢を持つことは大切です」
「夢を持ちましょう」
「夢に向かって頑張ろう」
アスリートや元アスリートは子供たちに夢について話す機会が多いです。
メダリストや日本代表の選手の夢を叶えるまでのストーリーは多くの子供達や大人に希望と感動を与えてくれます。
おそらくアスリートや元アスリートが伝えていることで共通して言えることは
1.努力する
2.諦めない
この2つなのかなと思います。
子供たちにとって至極当たり前に思えることも、それぞれの話し手のエピソードがプラスされると信憑性が高まり、僕も私もやってやろうという気持ちにさせてくれます。ただここで冷静に考えなければいけないことがあります。
努力して、諦めなければ、本当に夢は叶うんでしょうか?
例えば、プロ野球選手になることを夢としたとき、まずドラフト会議で12球団から選択されなければいけません。そのためには、高校や大学社会人でそれなりの活躍をして実績を残さなければいけません。
ここで逆算して考えると、そのためにはそれなりの強豪校、強豪大学、強豪チームに入る必要があります。
プロ野球選手の場合、プロになりたいんだと志願することはできますが、自分の実力がない状態で志願する選手はいないと思います。
高校でドラフトダメだった。じゃあ大学で頑張ろう。大学でもドラフトダメだった。じゃあ社会人で頑張ろう。社会人でもダメだった。
諦めてはいない。じゃあ努力が足りないんだ。おそらくこのロジックをループし続けることになります。気づけばプロになるには難しい年齢になっている。
1.努力する
2.諦めない
努力して諦めなければ夢は叶うことは正しいと思います。
ただ、こんなにも単純なことなんでしょうか。
僕は現役時代、オリンピックに出場すること、日本代表になることが夢でした。毎日練習頑張りました。努力しました。怪我をしてもうまくいかなくても諦めませんでした。でも、夢は叶いませんでした。
努力が足りなかったんだよ。諦めないでもっと続ければよかったじゃん。結論僕はそう思いませんでした。
僕が何を思ったか。
1.努力の方向と努力のアプローチは正しかったのか
2.諦めないをどのくらい続けるのか
1.努力の方向と努力のアプローチは正しかったのか
→いくら努力をしても、努力の仕方と方向が間違っていては意味がないということです。もっとあのトレーニングをやっておくべきだった。あのトレーニングは不必要だった。今思い返すと山ほどあります。その時は夢を叶えるために最善のことをしている。山頂に向かって最短ルートで歩いているはずが、気づいた時にはここどこ?になっていたこともありました。その時は自分は今ベストなトレーニングをやっているんだと思っているのです。ポジティブは大切です。ただ、過剰なポジティブは危険ということも学びました。
2.諦めないをどのくらい続けるのか
→夢を見て頑張り続ける姿は一見美しいのですが、結果も出ていないのにいつまでそんなこと言ってるの?と我に返る瞬間もあるわけです。結局、自分のなかでいつまでにどうなりたいかが明確ではないということです。次があるからには限界があるのです。
僕は、講演で夢についての話をする時、子供たちにもはっきり言います。
「努力しても夢は叶わないよ」と。
そんな夢を壊すようなことを言うなよと思われる以上に、誤解して欲しくないのが、努力して諦めなければ夢が叶うほど簡単な話じゃないんですよね。
「プロ野球選手になりたい」「サッカー日本代表になりたい」「会社の社長になりたい」「Youtuberになりたい」
夢を持つことは自由です。
ただ、これらの夢を叶えるための現実的な手順を知ること。知った上での努力の仕方を考えること。
それら知ることで自分の夢を持つ本当の覚悟ができるはずです。
僕は夢は叶いませんでしたが、逆に得たこともあります。それは、
なぜ夢が叶わなかったかを知ることができたこと。
次の夢への生かし方を知れたこと。
叶えられないことが全て悪くてダメじゃないんです。
そこからまた始まる人生とどう向き合っていくかです。
僕は現役時代よりも遥かに今のスプリントコーチとしての人生の方が楽しいです。それはなぜか。叶わなかった夢のお陰だからです。
今僕には叶えたい夢があります。
でも、ここまで綴ったような努力の仕方では夢は叶いません。
「どんな」努力を「どのくらい」すればいいのか。
それすらも正しいのか?を立ち止まって振り返る。
この繰り返しなんだと思います。
それぞれの夢の叶え方があると思います。
僕も次の人生で夢を叶えたいです。