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秋、ススキ、そしてアルム。

秋だ。秋か?
11月は秋だろうか。どちらかというと冬のような気がしないでもないが、今年は5月から10月までが夏だったのだから、11月は秋ということにさせていただこう。そうでないと困る。秋がなくなってしまうではないか。


私は秋が好きだ。過ごしやすさで言えば四季で一番だと思う。それにこれから冬がやって来るのだという喜びもある。(私は過酷な寒さを好んでいるので、一番好きな季節は冬)


私は秋の地球もかなり好きだ。基本的に私は地球の美しさのおかげでなんとか日々を生きている節がある。秋の地球は植物たちが色づいてとても可愛らしい。赤や橙、紫、黄色。たくさんの色彩が溢れるので、歩いていて目が楽しい。なんてすばらしい季節だろう。
中でも一番すばらしいのは、やはりススキだ。私はススキが大好きだ。


前の記事でも話したが、私は小田舎で育った。周りは野の草がいっぱいで、もちろんススキもたくさん生えている。毎年この時期になると「今年あの野原はススキとセイタカアワダチソウのどちらが優勢か」と状況を確認するのが恒例となっている。ススキでいっぱいの野原は、風が吹くと芒(のぎ)がきらきらと輝いて、ほんとうにとてもきれいなのだ。ふわりと飛び立つ種はひとつひとつがきらきら輝いて小さな星のかけらのようだし、風に揺れて立てる音もとってもすばらしい。


秋がやってくると、私は旅に出たくなる。
今までは箱根・仙石原。一面のススキ野原は、天国みたいな場所だ。
ススキの立てるさらさらという音を聞きながら、いつまでもここにいたいと思ってしまう。それくらい大好きな場所。
初めて行ったのは小学生くらいの頃だったと思う。家族旅行で仙石原を訪れた私は、その一面のススキ野原に一目惚れしてしまった。その後も夢か幻かのようにその光景を思い出し、大人になった今は自分の力であの場所へ行ける幸せを噛みしめている。


そして、花巻。
このnoteでも度々話しているが、私は趣味として宮沢賢治のことを色々と考えている。花巻は宮沢賢治の故郷だ。去年のちょうど今頃、私は初めて(やっと!)花巻を訪れたのである。花巻のどこがどうよかったのか、私はまだそれをうまく言葉で説明できない。先述の通り私は田舎で育っているので、自然そのものが珍しいわけではないのだけれど(むしろ花巻は私の故郷に似ているように感じた。似てはいないはずなのに)、なんだかとても優しくて大好きになってしまった。


最近「自然が好きなんだよね?」と訊かれて「どうでしょうか……」と思った。もちろん、嫌いではないのだけれど、とてつもなくべらぼうに自然が好きです! というわけでもないと思う。登山もしないし、ガーデニングもしない。ただ、川が流れていればなるべく見に行くし、どんぐりが落ちていれば拾う。みんなそうなんじゃないのか? と思ってしまい「どうでしょうか……」と言ってしまう。


私は『アルプスの少女ハイジ』が大好きで、子どもの頃は親が呆れ果てるほどいつもビデオで見ていたのだが、まさか自分がハイジのように育つとは思っていなかった。
本作を知らない人のためにざっと説明すると、アルムの山(田舎)でヤギたちとのびのび育った少女・ハイジが訳あってフランクフルト(大都会)に連れて行かれると、アルム恋しさのあまり夢遊病になってしまうのである。「ハイジ、アルム好きすぎだろ」と思っていたのだが、私も「私のアルム」に帰りたくてしかたがないといつも思っている。「私のアルム」に当たるのが、地元の小田舎だったり、仙石原だったり、花巻である。賢治で言ったら「イーハトーブ」だ。


私の今のやりたいことのひとつに「『私のアルム』をつくること」がある。それは必ずしも「アルムに帰る」わけではなくて、私はもう大人なので、フランクフルトの中に「自分でアルムをつくり出す」みたいなことだ。
簡易アルム、簡易イーハトーブみたいなものをつくる(賢治の言葉たちは「携帯イーハトーブ」だと思う)。チャージスポットは多いほうがよい。


そういうわけで、今年は仙石原にも花巻にも行けそうにないのだが、私も私のアルムを目指してせっせと自分にできることを続けるのである。
最後に、私の旅のこだわりを発表して今回は終わりにしようと思う。


旅のこだわり:
森永のミルクキャラメルをひと箱買って、持って行く。



おわり

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