正月号付録
月刊誌オートバイ
まだバイク道程だった少年の頃から愛読していた分厚いバイクの雑誌
今でも健在な今月号の付録は20世紀国産バイクのエンサイクロペディア
これに載らない市販車はないと言っていいくらいの秀作で是非一家に一冊お買い求め頂く価値はある
その中でも70年代のページを開いてみると歴史に残る、いや歴史を変えたバイクが幾つも生まれたことに気付かされる
まずは70年の初頭、既にホンダからナナハンで知られる4気筒750ccエンジンのモンスターが生まれていた。
欧州車に負けないパワーと高速性能を排気量アップと多気筒化で回答したホンダの手法は650や550,350などの四気筒エンジンを産み80年代には250マルチと言うブームを各社が盛り上げた。
みんなナナハンあればこそ。
ホンダの開拓は8インチと言う極小のタイヤと50ccのエンジンを組み合わせた遊園地内の乗りものからスタートしいモンキー50。これがダックスホンダと言うクルマにも搭載できる折り畳みハンドルを備えたファンバイクに発展します。
10年程を置いてホンダシティーと言う大衆車にも収まるモトコンポと言う格納式のバイクが誕生したのも発想は同じ
ただモトコンポが一代限りだったのに比べモンキーはゴリラやエイプといった進化型を派生して現代にまで暖簾を継承する伝統の品となっています。
70年代のもう一つの大きなエポックメイキング
それはロードパルの登場でした。
ミニサイクルにエンジンと駆動系を抱えさせた様な構成、低価格。そして何よりキックスタートをゼンマイ巻き上げ式に改めて非力な女性でもラッタッタとペダルを踏み込むことでエンジンスタートを容易にすると言う大発明が空前のバイクブームへと波及します。
トランスミッションは無く遠心クラッチのみの無変速は兄貴格のシビックスターレンジにも似てオートマチックを簡便に実現する荒技でした。
これもVベルトと一対のプーリーを組み合わせた無段変速機を生み出すタネとなり日本中の乗用車がこのプーリーを使ったCVTを採用する迄に至ります。
ロードパルの大ヒットは単にホンダの利益を押し上げただけではありません。すぐさまライバルメーカーの参入を促し、ヤマハからはステップスルーと言う両足を揃えて乗車するスクーターの様な新デザインのパッソルが登場します。
これもまた他メーカーに波及したばかりか女性の原付50ccオーナーを日本中に増殖させ、その後の軽二輪女性ライダーを数多く生み出す火種となったのでした。
80年代初めに登場する250クラスのVT250の人気はこうして生まれた女性ライダー達の選択によるところが大きいとされています。
ナナハンが大型バイクの頂点を、ロードパルがその底辺を横に拡大すると言う大きな役割を担ったことが、やがて訪れるバイクの黄金時代の出発点だったことを改めて思い起こしてくれた2024正月の付録でした