アルトきからバニングブーム

バニングという言葉、もう聞かれなくなりましたが雑誌ポパイの創刊当時、アメリカで流行っていたのがサーファーたちが乗り回す、真四角なバンでした。まだ、ワンボックスといえば商用がほとんど、日本でこれをレジャーに使うのはごく限られた人たちでした。が、西海岸ブームに乗ってサーフィンが一般的になり、ワンボックスカーも若者の足として定着する様になります。


5ナンバー乗用車と違い、毎年車検を受ける4ナンバー、任意保険も若干高く、条件も限られるなどハンデもある反面、乗用車のように物品税を課せられることがなく、車両価格も安いので入手は楽でした。( 中には毎年の車検を嫌って、キャンピング仕様に改造の上8ナンバーを取得して2年車検にする技も広まりました。)

このバニングブームの火付け役となったのはエアブラシを使って、ボディ一面に描かれる鮮やかなペイント。窓のないルートバンタイプならクルマの側面一杯をキャンバス代わりに使って自己主張することが可能です。

イザ使ってみると車中で着替えは勿論のこと車中泊も容易で、何よりキャリアを付け足さなくてもサーフボードを簡単に運べる。サーファーでなくても、日産キャラバンやトヨタ、ライトエース、三菱デリカ、マツダ・ボンゴにスバル・サンバーなどが魅力溢れるクルマ選びのリストに加えられる様になりました。

商用車には過剰な装飾もなく、物品税もないので購入価格もざっと1割安い、ココに目ざとく注目したのがスズキの鈴木修社長(当時)でした。軽乗用のフロンテを3ドア、ライトバンに仕立て、45万円の販売価格をめざしたアルトは結局47万円のプライスで世に出ましたが、当時の軽セダンはおおむね60万円以上、お買い得な上に商用車っぽくない真っ赤なカラーリングも女性のセカンドカー需要にはピッタリ。車検も軽なら商用車でも2年間隔だし、助手席ドアの鍵穴はセカンドカーならずとも、そう使われるものではありません。後席も商用車の縛りで窮屈なサイズでしたが、常時2人以下で使うなら気になりません。

こうして軽乗用の4ナンバー登録車は瞬く間に日本列島を覆い尽くしました。軽自動車のシェアも一時ジリ貧状態にあったのが急回復し、乗用車需要の3割、4割を占めるほどになって行きます。

平成以降は550ccだった排気量も660ccに拡大され、消費税導入で物品税が廃止されると5ナンバー登録でも価格差が無くなる事から4ナンバーは再び商用目的の登録が大部分となっています。

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