カムリ国内から消滅、大政奉還によりクラウンに帰す(どっちも王冠じゃん!?)
トヨタカムリ・・・と聞いても最近の若者にはピンとこないかも?
その昔田中邦衛さんがCMに出ていたファミリーカー(SV10系・二世代目)
と言ってもわからないでしょう?(ちょうど田中邦衛さん主演のドラマ、北の国からが大ヒットした当時で劇中車の日産ジュニア・トラックがトヨタ・スタウトに差し替えられる一幕も)
ならば田村正和さんがCM出演していた...FFセダンのビスタ(=カムリとは双子車、SV40系・3世代目vista)は?
と言ってもミニバン育ちの子には、もう分からないでしょうね。
もう日本国内ではカムリが販売中止になってしまう。と聞いて感慨に耽るのは80年代から車を知っている世代限定か??そもそも黎明期のトヨタの売れ筋とくればクラウン(王冠)やカローラ(花冠)、それにコロナ(ラテン語で冠)の様に冠を付けた車名が売れる!と言うわけで和訳のカンムリそのものを車名とした冠シリーズの一員でもありました。
その初代はセリカ、カリーナ・クラスの4ドア・セダンを持たなかったカローラ販売店向けにカリーナのクローンとして投入されたもので、セリカ・Camryを名乗っていたのでした。
でもカムリの本領は二世代目のFFセダンから発揮されます。当時はトヨタ最大のFFセダンとしてコロナよりも上位に位置付けられ、トヨタ車のFF化の尖兵となります。(ビスタは販売店が違うだけのクローン)
本格FFセダンの第1弾、ターセル・コルサとは違って初めから横置きエンジンS系列を新開発し、トヨタで最初に横置きFF車として量産されました。動力系はセリカやコロナ・カリーナにも広く受け継がれますが、主眼はむしろ海外に置かれ、北米では2万ドル以下で買える、カローラより大きなゆとりある実用車として度々ベストセラーの座をホンダのアコードと競うまでに。年産70万台をコンスタントに記録してトヨタの文字通りドル箱となります。
このカムリからは更に余裕ある上級車ウィンダムが派生してそのレクサス版、ESが当初レクサス店の経営を支えます。
日本ではまだまだカローラの方が売れ筋で、最近のカムリはクラウンを凌ぐ最大サイズの前輪駆動セダンとなり、ハイブリッドに特化してはみたもののセダンはもはや輸入車かタクシーがあたりまえと言った状況のなかで存在感の薄いブランドになっていました。
そしてついにカムリ国内販売は潰えることになります。いいえ、レクサスESは事実上カムリの兄弟であるばかりか、今度のクラウンも中身はカムリ・ハイブリッドです。旧型クラウン・ベースだったレクサスGSを置き換えるにあたっても、このカムリ・クラスの前輪駆動セダンが暖簾を継いでいました。同じことが本家のクラウンでも繰り返されることになり、現行型のクラウン・クロスオーバーはカムリ・ハイブリッドがベース。ハッチバック・ドアをトランク付きの4ドアに仕立て直し、大径タイヤの似合うデザインを纏ったものが今のクラウンです。
そう、セリカの嫡子だったカムリはここにきて、遂にクラウンの暖簾を継いじゃった訳なのです。カムリという車のカタログは消えても生産ラインからはカムリと同じ車台を持った兄弟車が続々ラインオフ中です。
カムリ販売終了を惜しむオールドファンは心配なしにクラウン・クロスオーバーやレクサスESに乗れば実質カムリを買ったのと同じこと、いやそれ以上に上質な乗り味と優越感を楽しめるのですから何も悲しむことはありません。
参考までに豊田章男社長が入社した頃には既にカムリもビスタ店もありました。自工会を辞任表明した豊田社長ですが慰留されて任期一杯務めることになったそうです。
創業家の経営からいったんバトンタッチされるトヨタの新しいリーダーはレクサス部門のチーフ、カムリの名跡がモリゾウ社長と共に消えてゆくのも象徴的な出来事なのでしょうか・・・・・?