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震災に遭い、毒に怯える1995年に吹き抜けた新しい旋風は?SUVブームのルーツ

阪神淡路大震災が年頭の日本列島を揺るがした1995年、犯罪史上まれにみる狂信者の集団のニュースが連日メディアを埋め尽くした。

前年デビューのオデッセイ、パジェロミニが市場で人気を集め、カローラ、クラウン、コロナ・プレミオにセドリック・グロリアといった基幹車種がモデルチェンジを迎える1995年、キープ・コンセプトと呼ばれるイメージを温存したモデルチェンジが多くを占めた、好調パジェロ・ミニの5ナンバー版パジェロJRが当然のごとく追加される。

これは先駆者ジムニーがエスクードで拡販を狙ったところと似るが、本家のエスクードは、同じ土台の上に飛び切りポップなデザインの2シーター、タルガトップのボディを載せたX-90を登場させる。メカニズムはエスクードと同等なので、その丸っこいデザインはパイク・カー的な存在ととらえられるも、街中で目にする機会は稀だった。

いすゞはすでに乗用車生産を終えたものの、トラック・ベースの乗用登録車の生産は続いており、定番のロデオ・ビッグホーンシリーズの弟分Muシリーズに、5ドアワゴンのウィザードを加える。これで3,5ナンバーサイズのRVワゴンが揃ったことになる。

スバルから今日に至るSUVブームの発信源ともいうべき車が登場する。

ビルシュタイン製ダンパーを奢ったGT-Bが人気のスバル・レガシィワゴンの車高を数十ミリアップさせ、オールシーズン・タイヤを囲うプラスティックのフェンダー・アーチで飾り立てたオフロードRV、スバル・アウトバック(国内向けにはグランド・ワゴン)の登場だった。ボルボをはじめ、このブームには他メーカーも追随し、乗用車をベースにオフロード車並みのロードクリアランスと四駆の走破性を併せ持つ多用途性が北米で絶大な人気を獲得する。

オデッセイが快走する中でトヨタのワンボックス、ハイエースのフロントノーズを衝突基準に併せて前進させた新スタイルのグランビアがデビュー。そのシルエットはのちの人気車種アルファードに繋がるものがあり、3列シートワゴンも次第にこの方向へと収斂してゆく。

ハイラックス・サーフ以来の四駆ブームに乗った日産テラノもモデルチェンジ、シャーシをボディに一体化する軽量化で商品力を高め、4ドアをシリーズの主力に据えた。のちに兄弟車も誕生しパジェロ人気に対抗する。このころから日産の広報活動はインターネットのWEBページやパソコン通信のフォーラムを通じた新しい試みが見受けられる。
走りの性能と欧州車を意識したキャラクターが人気のプリメーラが最初のモデルチェンジを受け、たもののスタイルはほとんどイメージを変えず、品質向上に主眼を置いた。
サニーの上級版・プレセアはキャラクターを異にして、4ドアHT風のサッシュレスドア、インフィニティ風のグリルレスのフロントマスクを持ち、日産モーター店の廉価版車種としてのポジションに就く。

スカイラインGT-Rも次世代型BNR33に刷新され、パワーこそ変わらぬものの大型化したボディは各部が補強され、ドイツの有名なレーシングコースで仙台を上回るタイムを出して見せた。ルマン24時間レースにも近藤真彦はじめ、日本の名だたるベテランらの手に委ねられ、近藤組は総合10位に食い込む。

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セドリック・グロリアシリーズは4灯丸目のフェイスを持つグランツーリスモ・バージョンが好評、クラウンも後を追うことになるが、このスポーティーな味付けのグラツーは結局この代で最後となってしまう。

クラウン・シリーズからはフレーム式のシャーシがついに姿を消しマジェスタ、ロイヤルの3ナンバーサイズ2本立てに営業、タクシー向けの5ナンバーサイズ=コンフォートが新設される。130系クラウンタクシー向け車両を継ぐもので、この車が5ナンバークラウンの歴史の最後のクルマとなってしまう。コロナはプレミオのサブネームをもらい,のちにコロナの名称が外れカリーナとほぼ同一のクルマに。新しいカローラ110系ではセレスやマリノといったお洒落な派生車が姿を消し、新たな商品展開にかじを切る。コルサのクーペバージョン、サイノス50系にはカタログモデルとしてカブリオが追加。セリカに次ぐオープンモデルに。

三菱は好評のディアマンテを2世代目に移行。

ホンダの象徴NSXに加わったTYPE -Rの人気を大衆車に移植するべくインテグラの最強版としてTYPE -Rが誂えられた。NSX同様白のボディに赤いバケットシート、ターボの助けを借りないエンジンチューンは特別に手作業で吸気管を磨き上げる職人技でリッター100馬力をオーバー。これがカローラにもサニーにも無い魅力としてホンダ車人気をブーストすることに。


暗いニュースばかりが続いた95年のスポーツニュースを飾ったのが単身大リーグに乗り込んでトルネード旋風を巻き起こした野茂英雄選手の活躍、大リーグにも born in ジャパンの風が吹き始めた記念すべき年になる・・・・

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