日産の新型EVに新機軸はARIYAや無しや?
リーフに続く本格量産タイプのEVで、モーターから白紙開発されたARIYA、ただのSUVタイプの新顔では無かった!
よくよく見て見ると日産EVの第二フェーズとも言える新機軸が織り込まれていた.その最大の切り札は電磁コイル/ローターを使った(巻線界磁型)交流電磁同期モーターを新開発した事にある。
リーフもe-パワーのノートにしてもローターには永久磁石を使った交流同期モーターだった。小学校で組み立てた直流モーターを思い出せるだろうか?あれは外側に永久磁石を置き、中のローターには回転する位置の変化に応じて外の磁石と引き合ったり押し合う電流が逐一交互に流れる仕組みだった。
交流同期モーターはこれとは逆に内側のローターを永久磁石にして外側のコイル(ステーター)に流れる電流の向きを変えながら中のローターを回す。その外側のコイル=電磁石に流れる電流を交流にしてやれば、中の磁石がそれを追いかけるように回り出す。大雑把にいえばこんな理屈
勿論発進時や低速では電流の向きをゆっくり変えてやらなければならない=交流電気の周期を可変式にしなければならず、結果ドレミファ・インバータの様な音の変化が伴うのが通例。
今やJR東の通勤電車も交流モーターに置き換わり、EVの代表的なモーターでもあるのだが、強力な磁石を作るには希少金属である鉱物資源が必要不可欠。産出国が手加減すると資源の無い日本は甚大な影響を受けてしまう。
では理科の実験の様に中で回転するローターの磁石を電磁石に置き換えれば・永久磁石を使わないモーターが出来上がります。これがARIYAに使われる巻線界磁型・交流同期モーター。天然資源の価格に左右されず、空走時の引きずり抵抗もありません。細かな出力制御も得意分野で高級車には不可欠な素質が揃っています。
バッテリーについても新機軸が!
従来のバッテリーは高速走行のあと急速充電を繰り返す様な過酷な使用条件では温度が上昇しすぎるのでフロントにラジエーターを設けて水冷システムを構築していた。最初期型のヒーターはこの温水を熱源に使い、寒冷時にはヒーターで温水を作り出していた。だから電気を食う。
リチウムイオン電池のもう一つの泣き所は寒さで効率が落ちる事。冬場に暖かい地下駐車場に停めておくといつの間にかビックリするくらい航続距離が伸びていたりする。この環境をクルマ自らが作り出すのが今度の新機軸。温水を作り出して室内を暖める前にバッテリーの温度を上げ効率をアップさせようと言うもの.地下駐車場を探さなくとも航続距離アップが図れる理屈。
さて新しいプラットフォームをどのボディに架装するか?ミドルクラスのSUVに焦点を合わせたところもマーケティング的な見地から最適解を求めた結果でしょう。何より北米市場では必須とも言えるカテゴリーで、腰高なスタイルは床下の電池容量を増やすにも好都合です。寸法を見てもトヨタのBZ4/スバルの同型車と非常に近いのはマーケティングから割り出された最大公約数なのか?
3万ドル台の量販EVがまだまだ普及しきれていない現状では一台当たりの利益率を確保することも重要。つまり先ずは数が売れるEVより儲かるEVから、と言う流れ?
ARIYAの技術は勿論リーフ他のモーターにも応用可能なはずで次世代のe-パワーや次期リーフにも搭載を期待したいところです。
ARIYAを送り出したあとの日産からはどんなEVが登場するのか?早ければ翌年度初めにも期待される軽のEVと両面作戦は善しとして、近未来を見据えたコンセプトカーも発表されていますが、出来れば商用車、それも北米では定番商品のe -ダットサントラックを望みたいところです。