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オープンな生き方ってどうよ。nissan(パルサー)EXAが穿った風穴

この車がリリースされたのは1986

それはまさしく円高時代へと否応なく日本が対応せざるを得なくなる節目の年
と同時に日本にもシティカブリオレやT-バー・ルーフの車が増えはじめオープンエアドライブへの関心が上向いて来たタイミング・・・

そんなご時世に日産パルサーシリーズの一員としてモデルチェンジを受けたのが、二代目の2ドアクーペのEXAでした。

初代はミッドシップ風デザインの軽量スポーツを気取ったスタイリングだったのが今回はRV風味に方針転換。ルーツを辿ればプレーンバックスタイルを採ったロータスヨーロッパ風味の初代チェリークーペに行き着く。そのチェリークーペは二代目FⅡではシトロエンSM風のグラスハッチが個性的だった。

今度のエクサ、最大の特徴は着せ替えできるボディ後半部分でした。車体の構造は3ドア・ハッチバックでテール・ゲート部分のデザインがクーペ風だったりワゴン風デザインだったりしてこの大きなバック・ドアのネジを外して交換できることを売り物にしたのです。(同様のアイデアはメルセデスにも)


テールゲートを外した状態

国内法規では全長も全高も同一寸法に収まっていたのに行政指導と言う、何処にも明文化されていないルールで国内販売はどちらか一方の形でしか認められませんでした。両方欲しけりゃ二台買えと言うわけか?。

まあそれは仕方ないとしてもう一つ、外したルーフ部分を置き去りにしてリアの部分をカーゴ・スペースもろともオープンの状態で走ることは出来ました。Tバールーフになっているフロントも開放するとポルシェタルガ以上のオープンエアドライブが楽しめます。ただしカーゴスペースの荷物までもが天日干しに!

急な雨にはレザー風のキャンバス地・トノカバーも用意されていて、これなら荷物がずぶ濡れになる心配もありません。ただし荷物のセキュリティまでも担保する代物ではなかったはずで、この状態で駐車しているEXAはついぞ見た記憶がありません。と言うかトノカバー装着状態やオープン状態で走るEXAの晴れ姿を見た記憶がありません。

そりゃあ無理もないでしょう!

よしんばEXAを買ったとして、オープンドライブを享受するにはまずお家かどこかに屋根の置き場所を確保しておかねばなりません。

吹き抜けのリアからは物凄い風の吹き込みがあったであろうと想像されるし駐車中はトノカバーが不可欠になりますが、セキュリティに関しては心もとない代物です。

そんな労苦を克服してもオープンドライブは充分魅力的なもののはずですが少なくとも国内でこの楽しい瞬間にたどり着けた幸せなオーナーがどのくらいいたでしょう?

1986年当時にはゴルフカブリオレやシティカブリオレが市場に存在し、追ってセリカコンバーチブル、ファミリアカブリオレやサバンナRX -7カブリオレが相次ぎ登場します。屋根のオープンもワンタッチで耐候性も十分なこれらのカブリオレの方が遥かに購入層の近くにいました。

リトラクタブルのライトは当時のお約束

FF化で後輪駆動車が減る一方だった時代にあってEXAの2年後、art forthシルビア(S13)が大人気を博します。カジュアル・スポーツの大役を担ったEXAの使命はこうしてシルビアに受け継がれたのかもしれません。シルビアにはやがてハードトップを格納できる本格的なコンバーチブルが登場しましたから・・・

歴史の彼方に埋没してしまった二代目エクサ。
もしも当局が着せ替えボディを認可していたら、車の使い方にも新しい変化が起きていたのかもしれません。オープンエアモータリングの普及も早まっていたのかもしれませんが、この大役は3年後に登場したユーノスロードスターが見事に果たしてくれることになるのです。

エクサの登場がロードスターの開発陣にどのような影響を与えていたのかは知る由もありませんが、あるいはエクサが成功していたら、もっとはやく、複数のメーカーから同様のクルマが現れていたことでしょう・・・・

EXA、一度はそのステアリングを握ってオープンで走ってみたい逸材です。

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