「お祭りが嫌いなひとのYouTube」
僕はお祭りが大嫌いなのですが、だからこそ、お祭りを楽しめるひとには、僕の代わりに楽しんでほしいし、お祭りを楽しんでいるひとのことは、微笑ましく思っているんですよ。
ここがなかなか理解されない点。
「お祭りなんてなくなってしまえばいい」と思ってる、と思われてる。
ただ、実社会で支障があるのは「お祭りは楽しいものなんだから、お前も楽しむべきだろう?何で楽しまれへんねん?楽しめや!」と強要されることが大半で、お祭りが苦手な人間というのは、存在するだけで、お祭りを楽しめる大多数の人間を傷つけてしまうのです。
もちろん、こちらも傷ついてるのですが、傷の数なら向こうが大多数である以上、被害は甚大とも言えます。
ですので、自然と出歩かなくなります。
となると、ひっそりと覗き見る他にありませんね。
それにしても、いい時代になりましたよ、まったく。
YouTubeさんのおかげでですね、僕は他人を傷つけることなく、世界中のありとあらゆるお祭りを覗き見ることが出来るようです。
いつだか観に行った石見神楽ですが、あれは夜通しやって、みんな茣蓙敷いて、座って観るもんなんで、ちょうどよかった。
闇夜に紛れて「そっと行って、そっと帰る」これが出来た。
僕が観たのは、音楽的に感動したほど、もっとリズムが速かった。
高速の音楽は日本にあまりないので。
「国が変われば感性も変わる」それでもどこか、人類の共通点が見出だせてしまうのが、お祭りの面白いところです。
飛んで、ナイジェリアのイボ族の、なんらかのお祭りも交えた、楽しそうな動画を、夜中の3時に目を覚まし、ぼ〜っと眺めていたことがあります。
オゲネと呼ばれるアゴゴのような2連の鐘に、ウドゥという低音の壷、ヨルバ族のシェケレのようなマラカス、カラフルでケモクジャラの怪人たち、全てが楽しそうです。
この打楽器アンサンブルをもっと聴きたければこれですし。
オゲネの卓越した技巧に酔い痴れたければこちらですし。
フィールドレコーディングでは拾い辛いウドゥを聴きたければこちらです。
更に飛んで、ブルガリアのケモクジャラの化けもんみたいなクケリが出てくる祭りも、遊牧民であるロマの音楽、それも僕の大好きなダブルリードの笛、ズルナ、色んな呼称がありますが、日本ではチャルメラ、あれです。
最初の寸劇も建物も可愛くっていいし、その熊連れて練り歩く街のクケリたち(悪霊祓いに厳つい仮装して鐘を鳴らす)も、野蛮な頃の僕らの歩みを感じさせて、嗚呼人類と叫びたくなりますね。
例のクケリたちの、なんせ毛、毛ですが、何で出来てるかというと、山羊です。
可哀想ですが、かなりの美しい長毛種を、ブルガリアは育んでいるんですね。
ソーセージが山羊肉かどうかは、ブルガリア語がわかるひとに教えて頂きたいもんです。
鼓笛隊の演奏がもっと聴きたければこちらですし。
僕はこの大太鼓のおっちゃんのファンですし。
そんな、どっかの誰かの結婚式(これが祭り以上に大嫌い)が見続けたければこちらです。
しかしなんで、こうも遠く離れた地で、ケモクジャラの化けもん、しかも両方が剣持ってるし、そして、お札を演者の頭に貼り付けるような風習が共通してるんですかね?
刈り上げと腹踊りが流行ってるのも、さてなんででしょうか?
結局僕は、お祭りが嫌いなのではなくて「共感を強要される」のが嫌いなのでしょうかね。
他人と違うことに慣れていないひとには、思った通りに思わないことすら、かくもストレスなのだとしたら、僕のように歪な人間は害以外の何者でもない。
生き辛い世の中です。
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