マカロンを追う者
ひびも歪みもないつるりとした生地でジャムなどをはさんだ「マカロンパリジャン」を知ったのは、一九九〇年代のことだと記憶しております。
当時はマカロンを置く店は少なく、心を引かれるそのお菓子を買える機会は多くはなく、また家で作ろうにも、あの「マカロンパリジャン」の作り方は調べがつかずじまいでした。
しかし二〇〇〇年代にはマカロンは日本でも広く売られるようになり、今では樹脂製のマカロンなどを鞄にぶら下げている方までおられるほどです。
方々を歩き回っても得られなかったマカロンは、ある日訳無く食べられるようになりました。
疾うに、マカロンの作り方も存じております。
作業において時機や丁寧さを少々でも欠くと理想の仕上がりから遠ざかるお菓子ゆえに、首尾よくできあがった日には雀躍するわけです。