「Celeste」はソロプレイのアクションゲームとして完成しきってるというお話
実は11月ごろにセレステをクリアしていた。全ステージC面までノーアシストでクリアして、フライングゴールドとムーンベリーもゲットで30時間と6874デスかかった。
初見で第7章クリアまでは11時間と2017デス。(第7章以外のB面までクリアした。最終章のベリー取り逃しはあった)
ゴールデンを全て取った訳では無いが、ここまでやればレビューする権利はあるかなということで書いていく。n番煎じだが。マデリンかわいかったね。
操作のしやすさに焦点を当てたゲームプレイ
本作の特徴はなんと言ってもココ。ただのアクションゲームではない、さまざまな工夫が散りばめられている。
有名なのは「コヨーテタイム」。これはマデリンがジャンプ以外で地面から離れても、一定時間の間ジャンプが可能になっているという仕様。
これにより、ジャンプできずに即死するなんてことはほぼ起きない。これは大幅なストレス削減に繋がる。
アクションが上手くいかなくてイラつく時、大抵起きているのは「大体の見通しの動きはイメージできているのに、それを実行できない」ということだと思う。
セレステはその「見通し」自体が間違っていることを何度か示した後、ゴールにたどり着けるようなステージ設計になっていると感じた。この仕様もそれを後押ししているのだろう。
基本的に、こう動きたい!と思ったらそれ自体はほとんど成功するので、次はどうしてやろうかと考え続けることができ、飽きがこない。リスポーンが早いことも相まって長時間プレイする理由の一つにもなる。
ダッシュは、本作が軽いアクションではないことを示している。移動とジャンプ以外の操作がある2Dプラットフォーマーはたいてい難しいもの。
ただし、8方向ダッシュなので大抵は方向に迷うことがないし、飛距離も一定なので取っ付きやすい仕様。ただし極めるのは困難。そのうちウェーブダッシュなんてよく分からん操作が出てくることになるので。
難易度調整のよさ
セレステは一般的に、非常に難しいゲームとされている。
それは否定しないしできない。針だらけのステージは日常茶飯事だし、ホテルはめちゃくちゃ心折りに来るし、第9章は気が狂うレベルで難しい(もっとも、第9章には別の問題があるが。後述)。
しかし、基本的にセレステはそれぞれのセクションがほぼ1画面で完結する。完結しなくとも、双眼鏡などで先を確認するのは容易。
長すぎず短すぎず、その絶妙な長さはどこで死んでも「もうちょいで行ける!」とプレイヤーに思わせるほど。
途中まで行けたらまた死んで、その先どう行くかをゆっくり吟味する。それを試して行けたらよし、行けなかったらまた考える。このサイクルの回転率が非常にいい。
これにより、高難易度のステージでもプレイヤーは続きをプレイしたくなるという寸法である。それこそがセレステが高難易度なのに愛される理由である。
進めなかったとしても、アシストモードで苦手な箇所だけスキップすることもできる。とはいえ攻略の満足度が下がるといえば下がるのかも?
理不尽とは違う難しさ
「難しいゲーム」と言っても、その難易度は多様性を持つ。
アクションゲームに限っても、「精密なアクションが必要」といった意味から「意地悪な仕掛けばっかりが潜む」という意味まで様々だ。
前者のミスは基本的に「自分のせい」、後者は「ゲームのせい」と言えるかもしれない。
セレステはもっぱら前者の方で、ゲーム全体を通して孔明の罠のようなものはひとつもない。むしろ初めから仕掛けは出切っていたり、全ての仕掛けが停止している(動いていない)ことの方が多い。
後者は基本的に回数を積まないと物理的にクリア不可能な場合が多いが、前者は腕前さえあれば知識がなくとも先へ進める。
そういった特徴も、やはりリピート性の高さに拍車をかけている。
「理不尽な死」というものは、どんなゲームにおいても不快感をもたらしモチベーションを大幅に削ぐと思う。もっともそれが狙いのゲームばかりだろうが…
セレステにはそういったことがないということで、先述したことも手伝ってチャレンジ精神をどんどん引き出してくれる。それでいて当然クリアによる達成感も味わえるため、快楽と苦痛が絶妙なバランスで存在しているといえるだろう。
キャラクターとストーリー性
ゲームの仕様がよく語られる本作だが、実はストーリーやキャラクターも割と重厚。元々マデリンがセレステ山を登るのは、「自分と向き合うため」だった。
マデリンは鬱病やパニック障害を持っているようで、作中でもいくつかその片鱗を見せている。この作中表現はかなり的確らしく、多くのプレイヤーの中で共感を集めたらしい。
自分がそのどちらも患っていないために詳細なことは言えないが、そういった評価が多くあることを考えると素晴らしいものだと言えるだろう。
第2の人格「バデリン」との絡みもマデリンを成長させる一因となっている。
闇サイドのマデリンという立ち位置であるが、それと向き合おうとするマデリンを描くことによって、自身の短所を受け入れようとする努力の表現が際立つ。
最終的には協力的になり、お互いによい仲間として分かり合えたようである。
ここまで長所を書いてみたが、ここからはあえてセレステをネガってみる。
第9章がアカン
このゲームを語る上で、第9章の出来について一石を投じられることがあるのは否めない。私もこの章に関しては色々と問題があると思うので語ってみる。
その1:長い
まず1セクションもストーリーも長い。久々のアップデートでの新規ストーリーだったため、長くしたかったのかもしれないが、それにしても長い。
今までは1画面か、長くとも2画面ほどだったセクションがどんどん長くなっていく。
これはかなりの疲労を引き起こす。当然、通常プレイでも疲れは起きるが、今までは細かく刻まれたセクションだったために休憩を取ることのハードルも低かった。
だが9章はどうか?長すぎて途中でやめた時に失うものが多すぎるのだ。それに伴って、当然デスの重さもグンと上がる。
試行錯誤が必要なこのタイプのゲームにおいて、同じ箇所での死亡回数が増えることは相当な苦痛である。
先が見たいのに全然進めないとか、初めと終わりは行き方が分かってるのに、中間のギミックが難しすぎて先に進めないとか、そういったキツさが襲ってくる。
また、「大体の見通し」の長さにもさすがに限界がある。我々は頭を動かしに来たのではなく、指を動かしに来たのである。
その2:アクションがシンプルじゃなくなる
これが一番困ったところ。
ウェーブダッシュだのウォールバウンスだの、まるでRTA走者の使うようなテクニックを必須としてしまっている。
はっきり言ってゲーム内の解説では説明不足だと感じた。慣れるまでにかなり時間がかかった。
個人的にはセレステにそんなものを求めてはいなかったし、いつも通り普通のジャンプとダッシュと壁登りだけで行かせてほしかった。
フライングゴールデンのように、特殊な操作を必要とする追加チャレンジのようなものであれば良かったと思うが、大事なストーリーラインを持つステージでこんなことをするのは良くないなあと思った。
いくらアシストモードがあったとしても、最後まで使いたくないと考える人は結局のところいる。例えば私初心者でも上級者でもチャレンジ精神を刺激してくれることが特徴のこのゲームにおいて、見た目からしてそういった気持ちを削いでくるのは大問題だと思う。
ダッシュが減ることは特に問題ないとは思うが、「プレイヤーに有利な機能を消して、難易度を上げたことにする」という良くない精神のもと作られている可能性は無きにしも非ずである。マイアミ2には失望したし。
その3:そもそも進み方が分かりにくい
ステージ構成をパッと見ても、どう進めばいいのかが分かりにくい。ここまでのステージは、大抵軽く見ればマデリンをどう動かして行けばゴールできるのかわかっていた。それを実行することが難しくあればよく、理解するフェーズ自体は簡単であるべきだと思う。
なぜなら、モチベーションの低下を招きやすくなるから。「もうちょっとで行ける!」の感情が無くなると、人は途端にやる気をなくしてしまうのである。
第9章では、その長いステージと新しいギミック、そして操作の複雑化によって、この考えるフェーズ自体を難化させている。
そうしてプレイ意欲を削いでしまうのだろう。このステージで詰んだという人も多く見るが、多くはそういった理由があるのだと思われる。
おまけ:第3章もよくない
ここは是非が分かれるかもしれないが個人的に最初の問題点だと感じた。
まず動くギミックが多すぎる。これはスイスイ進めたい人にとって大きな弊害になる。
なぜなら、タイミングを読む必要があるために、自分のタイミングで踏み出すことがより難しくなるからである。
最初のジャンプが成功していたとしても、その先に敵がいればお陀仏。
待つ時間は短いかもしれないが、塵も積もれば山となるとはよく言ったもので、やはりストレスにはなっていく。
新しいギミックなので、第3章以外ではあまり出てこないということには安心したが、あの黒いホコリたちはもう見たくないレベルで嫌いである。
おしまい
…とまあ、セレステについての感想はこんなものである。
どこかで「第9章は、プレイヤー全員にアシストを使ってもらいたいので、アシストがほぼ必須の難易度にしてあります」とか言われてた気がするが、100%クリアを目指す人からしたらそれって大迷惑なわけなので(結局スキルの問題ではあるのだが)
そういうことはB面とかでやってほしいものである。
とはいえ、間違いなくこのゲームは面白い。ドット絵のアートスタイルとか、神秘的な音楽も魅力の大部分である。
結局はやりたいと思ったゲームにはすぐ手を出すべきなので、面白そうだと思ったら忘れる前に買っちゃおう。
以上です。