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「羅針盤 い/た/か で紡いだ物語」 つばめble

「羅針盤」い/た/か、で紡いだ物語。
作:amatsubaki(B.T.×天耳×つばめ)まとめ:つばめ
※作中、敬称略にて記載しております

本作品はamatsubakiによる“しりとり方式で綴った物語”となっております。(前任者のコトバの終わりを次の物語を綴る最初の一文字としております)

(はじまりは、つばめ)
驟雨にさらされ、水滴を滴らせたシャツに落胆するのは、なんとか免れた。
怪しい雲行きに、慌てて取り込んだ洗濯物を抱えつつも、なんだか今日は、何もしたくない。

「い」(紡いだのは、天耳)
つからか。 色褪せた空が心を写すようになったのは。
休日の昼下がりにこうにも天気が悪いのは、単に私の心がそう思いたいだけなのかもしれない。
そうふと考えが巡った時に、私は靴のつま先をトントンと騒がせ、玄関のドアノブに手をかけた。
扉越しでもわかる。雨はもうすぐそこまで来ている。
左足の踵を半ば踏みつけるように仕舞い込み、駆け出す準備は出来ていた。

「た」(さらに紡いだのは、B.T.)
ったそれだけのこと」
小さく呟いてドアノブを回し、金属製の玄関扉を外に向けてぐっと少し押し出す。
ドアの隙間から、冷んやりとした湿った空気が指先からまとわりつくように部屋の中に流れ込む。
生まれたほんの少しの躊躇に自分自身が気づくのを遮るように、今度はドンッと思い切り、突き飛ばすようにドアを押すと、私は外へ駆け出した。
一瞬の目の痛み。少しよろけそうになりながら、私は止まらずに走り続ける。
玄関扉が閉まる音が、思っているよりずっと遠くから聴こえたのは、天気のせいなのか、感情のせいなのか、それとも私が、自分が思ってるよりも、ずっと速く走ることができるからなのか。

「か」(そして、結ぶのは、つばめ)
情を押し殺すしかない日々の中で。
いつしか、私の心は疲弊していたのだ。
わかっている。わかっていたはずなのだ。
「大人になる」というコトは、いつも矛盾を抱えて生きていかねばならない、そんな生き物になることを指すのだ、と。
大人になる過程で、散々学んできたはずなのだ。
そのハズだったのに。
日々繰り返される心の葛藤は、自らを縛る枷となり、気付くと私は、何をするにも臆するような“立派な大人”となっていたのだ。
 
公園に差し掛かるあたりで、ゆっくりと足をとめる。
肩で息をしながら、そんな想いを巡らせている自分に、思わず苦笑する。
腿に両手をつき、浅い呼吸を繰り返していると、ポケットの財布が、やけに主張してくるようだった。
取るものも取り敢えずとは、まさにこのことだろう。
姿勢を正し、深く息を吸い込む。
湿り気を帯びた空気は、微かに土の匂いをはらんでいた。
 
まつ毛に水滴を感じ、思わず、手のひらを空へかざす。
まばらに降り注ぐ雫は、瞬く間に白く降りしきる雨となった。
私は、再び駆け出すと、目に留まった喫茶店へと向かった。
 
案内された席で、ふと、窓ガラスに映る自分と目が合う。
そこに居たのは、なるほど“不機嫌な子供”の面をした私だった。
前髪から滴る水滴をはらうようにして目をそらす。
レトロな趣の店内には、サイフォンの音が優しく響いている。
その芳ばしい香りを深く吸い込む。
(こんな店、近くにあったんだ…)秘かに、また来ようと決意する。
 
ほどなくして、雨脚の音は遠ざかり、辺りも明るさを増したようだった。
窓越しに見上げた空には、曇天の隙間から、陽の光が射していた。
なぜだろう。
脳裏に浮かんだのは、夕日に照らされた、あの日の教室。
イーゼルに放置されたままの、未完の絵だった。
私の描いていた景色…モノクロだったハズのそれが、急速に彩られていくような。
仄暗いはずだった世界が、この眼には眩しくてー。
再び、目を見開く。
「まだ、かける。」
思わず、そう、呟いていた。
 
英国紳士のような佇まいの店主に一礼しつつ、店を出る。
そういえば、なんという店名だったのか。
店名すら確認せずに飛び込んだ、その喫茶店の看板を見やるとー。
そこには、まさに。
私が見つけたばかりのモノが記されていた。
喫茶「羅針盤」

 (「ん」にて終幕)

To be continued…?


つばめの小窓から
「羅針盤 い/た/か、で紡いだ物語」作:amatsubaki 誕生秘話。
(※本作品は、amatsubakiによる“しりとり方式で綴った物語”となっております。前任者のコトバの終わりを次の物語を綴る最初の一文字としております)

amatsubakiでやり取りをしている時のこと。
洗濯物をたたみながら、なんとはなしに思いついた文章を打ち込んだのです。「驟雨にさらされ、水滴を滴らせたシャツに落胆するのはー」
軽い気持ちで、「次の方、どうぞ!」の文字を添えて…。
暫くして、メール着信の印が。
見ると、天耳たんが、物語の続きを綴っていて。
「!!!」
その文章を読んだ瞬間、なぜか、脳内にMR.BIGの「Take Cover」がぶわわっっと流れ出して。(パット!ビリー!ポール!エリック!嗚呼!!)
そう!それは、物語の始まりを予感させるイントロだったのです!!!
天耳タン!?なんなんっ!?
語ってもよし、歌ってもよし、書いてもよし…って!!!
えっ、何ですか?
えっ、三冠王デスか?⚾✨
呑む、打つ、買う…ぢゃなくて!(それ三道楽!)投げる、打つ、走る!?
(最多勝利に防御率に奪三振に…って、野球のコトは詳しかぁないけどっ、ないけどもっ!三冠王ってコトバは知ってるのよ!)
もう…まぁた、才能、隠していらっしゃったのね!!と。
そうこうして、アタイがジタバタしていると。
また暫くして、メール着信が。
すると、天耳タンの綴った物語を受けて、今度はびてたんが、続きを綴っていて。
「!!!」
あれ、デジャヴ!?この衝撃、さっきも喰らわなかった!?
びてたん!?…もうっ!なんなんっ!?
語ってもよし、歌ってもよし、書いてもよし…って!!!
えっ、何ですか?
えっ、ナボナですか?お菓子のホームラン王デスかっ!?⚾✨
(亀谷万年堂さまのナボナは、間違いなく!マイフェイバリットお菓子トップテン入りなのよっ!!以前住んでた近所に万年堂さまがあった時には、しょっちゅう万年堂しちゃってたわ!)

※尚、この時受けた衝撃と感動について、月曜夜23時
「ツンデレつばめの世迷言#3天は二物を与えずってホント?」にて、
大いに語っております。
ここに書ききれぬ想いは、配信アーカイブにて炸裂中!✨

そうこうして、天耳タンとびてたんの綴ってくれた物語が、私の脳内で色鮮やかに展開されていきー。
びてたんからの「か」をバトンとして。お二人が紡いでくださった物語を結ぶべく、私のペンも、かけだしたのです。
しりとり、にて紡いだ物語ですもの。
美しく「ん」で終わりたかったのです。
物語の内容も、主人公の心の機微が、エンディングシーンとリンクしつつ…希望の光を感じるような作品にしたい。
どんどん、つばめの野望…構想は膨らんでいってー。
上記のような物語となったのでした。

曇天から始まり。
白雨のような激しい雨に見舞われつつも、喫茶店へとたどり着き。
雨も上がり、晴れた空を見上げた彼/彼女の表情はー。

些細なキッカケで誕生した物語にはございますが、
これをご視聴(読んで)くださる方々に、楽しんで頂けたのなら。
とっても嬉しいです。

「物語に隠された、つばめの野望(という名の構想)」
実は…amatsubakiのお二人にも お話していない、
つばめの物語への“仕込み”がございます。(*´艸`)✨フフフ…✨

作中、主人公の呟いた言葉、
「まだ、かける。」
ひらがなにしたのには、ワケがございまして。
書ける、描ける、翔ける、駆ける、賭ける…
アナタの中に浮かんだのは、どの文字でしょうか。
 〖かける〗
アナタが書くのは、アナタにしか書けない、アナタだけの物語。
アナタが描くのは、アナタにしか描けない、アナタだけの絵画。
アナタが翔けるのは、アナタにしか翔けることのできない、
アナタだけの大空。
アナタが駆けるのは、アナタにしか駆けることのできない、
アナタだけの大地。
アナタが賭けるのは、アナタにしか賭けることのできない、
アナタだけの人生。
アナタが「かける」その時に。
アナタにとっての「羅針盤」とは、一体、何でしょうか?


「amatsubaki」びてたんと天耳たんへ
3人でしりとりをするように、喜々としながらコトバを綴ったあの瞬間。
小学生の頃、放課後。夕日に照らされたお教室で、お友達とお話創りに興じていた時のような…胸が弾んぢゃうような、抑えようのないときめきに包まれた時間を過ごしておりました!
何気なく綴った無茶ぶりにお付き合いくださり、ありがとうございます!


つばめの声で聴けます♪
キモチ、たっぷり、込めてます!
◆つばめble「羅針盤 い/た/か で紡いだ物語」音声版@stand.FM より👇


《作品利用につきまして》
上記「羅針盤 い/た/か で綴った物語」を朗読等に活用したい。
そう思って頂けた方へ。
当方、別ページにてご案内させて頂いております、
「作品利用につきまして」をご一読頂きました上、
ご活用下さいますようお願い申し上げます。


#寒い日のおすすめ
私のおススメは、心がHot…ホッとする物語を読むこと、です。


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