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手を放したらダメなやつ。

遠出する時にはキャリーケースが便利ですよね。
でも、使用中は絶対に気をつけよう!と思った、
とある事故を目撃した時のお話。

以前、珍しくバスに乗っていた時の事。
停車したバス停から、大きなスーツケースを持ち上げて、夫婦らしき男女が乗車してきました。

車内後ろ寄りの座席に座っている自分よりも、さらに後方の席が空いていたのでしょう。車内の段差を登りきった2人が、私の横を通り過ぎていきました。

私は「走行中の席の移動はお止め下さい」等の運転手さんのお決まりのアナウンスを何となく聞きながし、程なく流れはじめた景色を見ていました。

ゴロゴロ…
ふと、何かが転がる音がして視線を車内に戻すと。

さっき見かけたばかりの大きなスーツケースが、後ろからゴローーーッと加速しながら通路前方へと通り過ぎて行くではありませんか。
そう、ひとりでに、です。

一瞬のことで頭が追いつかず、
(え?)と思った時には、私の視界からスーツケースは消え、車内の階段からダイブして落ちる豪快な音が車内に響きました…。

(危ないよー持ち主さーん⁉)と後ろを少し振り返ると、まだ何が起こったのか気付いておらず。
持ち主の男は通路側の席に座ったまま、違う所を見ていました。しばらくして、信号待ちのわずかな停車中に男はそそくさと無言で取りに行って戻っていきました。

突然デカいスーツケースか突っ込んできてきっと驚いたであろう、前方の人達に侘びの言葉もないとは…と私は少し呆れて放置していました。

すると前方で、お怒りの声があがりました。
どうやら車椅子で乗車していた人の車椅子後方にダイブしたスーツケースが当たっていたらしく、確認したら破損していると。弁償を求める声が車内に響きました。

バス車内の階段より前方は優先座席や車椅子、ベビーカーなどを固定出来る座席です。
立ったままの乗客はおらず、座席はほどほどに埋まっている。そんな中で起こった事故に居合わせてしまったということ。乗客達の空気がヒヤリと凍り付いていました。

ここで男ではなく、窓側に座っていた女が着席したままスイマセーンと声を張りました。走行中は危ないから見に行けない、誤ったよねとでも言いたいのか、それ以上は何も言いません。
転がる荷物から手を離して凶器に変えてしまった男の声は聞こえません。

大切な愛車を壊されお怒りの方が、もちろんそんな対応で許せる訳がありません。声もヒートアップ。女も今そっちまで行けない、とろくな返事を返しません。

以下、心の声。
(通路は空いてるし、信号待ちの間にサッと通路側に座った男が被害者の側に移動して面と向かってお詫びと破損の確認するくらいは出来そうでは?女の方も、このご時世になぜ着けたマスク外して叫ぶのか?声張って届けたい気持ちは伝わるが、うっるさいから車内全体を跨いでずっと会話しないで…?)

(いい歳した大人が、このままなし崩しにさっさと降りて何もせず逃げる気じゃ…。こういう時どうすればいいの⁉ 私のイライラも車内の絶対零度の空気もそろそろ限界よ!助けて!運転手さーんッ!)と思った時。(心の声終わり)

『今、警察呼びましたんで、次のバス停で降りて話し合ってください。』
と、運転手さんの救いの声が。

瞬間、私を含む他の乗客たちの凍り付いた空気にやっと温かさが戻ったようでした。

次のバス停で彼らが降車中に、タイミングよくお巡りさん達が自転車で駆け付けてくれていました。

無事に破損部分の弁償してもらえてますように…。
それにしても運転しながらの迅速なトラブル対応、さすがです…!しかも、ちゃんとほぼ定刻でバス停を発車してました。


以上、スーツケースが転がる凶器と化す恐ろしさを目の当たりにした出来事でした…。

年末年始の帰省や旅行をご予定の方、転がせる荷物の扱いには十分気をつけてください〜。

長文お読みくださって、ありがとうございます。

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