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「未来」を、子どもたちだけに、「丸投げ」してしまっていいのだろうか。

 未来は、子どもたちがつくる。
 未来は、君たちのもの。

 
 自分が、「子ども」の頃にも、よく聞いた。

 未来は、若い人たちがつくる。
 未来は、若い人たちのもの。

 自分が、「若い人」の時にも、何度も聞いた記憶がある。

 ずっと違和感があった。

 そうした言葉は、おそらくは、「大人」と言われる中年以上の人が言っているのかもしれないけれど、あまりはっきりとは見えない、その人たちに対して、思っていた。

 未来は、あなたたちとは、関係がないのだろうか。

自分が「大人」になって

 自分が「子ども」から「若い人」をへて、「大人」になった。
 年齢的には、十分以上になったけれど、こんな未来になってしまった。

 日本に住んでいて、自分も生きていて、「未来」に関わってきたと思うのだけど、ずっと貧乏で力もなく、だから、時おり、まともなことをしてきたとしても、それが「未来」に関わっているのかどうか、全く自信がない。

 明らかに「悪いこと」をしていないのかもしれないが、より良い「未来」をつくるために「無力」だったので、そういう意味では、やっぱりダメな大人だったと思う。

 この30年は、「失われた」というような形容詞で表現されることも多い。もちろん、人の力では、どうしようもないことも少なくないけれど、「失われた」という受動態だけで語るのではなく、やっぱり「失った」という能動態でも考えることをしないと、特に、その時すでに「大人」だった(自分も含む)人たちの責任が、どこかへいってしまいがちになる。

変わらない人たち

 2021年には、東京オリンピックが開催され、その時に「権力」のある立場で、表舞台に登場する人たちが、見事に男性ばかりで、しかも、中年どころか、老人といっていい人たちが目立った。

 つまり、この30年ほど、力のある人たち、実質的に「未来をつくることができる」ような人たちは、ずっとメンバーが変わらなかったのではないか、といった印象を持った。

 多くは、男性だけど、彼らは「より良い未来」をつくろうとしたのだろうか。

 そんな青臭いことを改めて考えたくなるのは、その人たちの言動も含めて、あまりにも過去のままで、それは、大きく括れば「昭和の男性」ということで、同じカテゴリーに属することになる私自身の課題でもあるからだ。

 同時に、ニュースなどで断片的に見かけるだけで、そのわずかな印象に過ぎないし、本当に理解しているわけもないのだけど、その彼らの姿が発しているメッセージは、比較的シンプルだった。

 おれは、変わる必要はないし、変わる気もない。

 これでは、おそらくは「未来」はつくれない。
 できたとしても、過去を再生産することだけだと思う。

 それが形になったのが、「失われた」30年だったのかもしれない。

未来をつくること

 世の中に生きている限り、誰でも(自分でも)、本当に小さく、目に見えないレベルのことだとしても、社会に影響は与えていると、思う。

 そして、「大人」になって「未来は、子どもたちがつくる」とだけ言っているのは、一見、優しそうな、物分かりが良さそうな言葉でもあるかもしれないけれど、でも、その「子どもたち」に問い返される可能性もある。

 大人のあなたは、未来をつくることに参加しないんですか。


 そのことを、少なくとも忘れないように、年齢を重ねているのに、恥ずかしいほど小さい力しかないけれど、今からでも、ほんの少しでも、まともな世の中にすることに貢献できるように、努力や工夫はしていきたいと思う。

 見出し写真は、学習塾の看板だから、当然「子どもが未来をつくる」という表現になるのだけど、その言葉は、ちょっと油断をすると、「未来を子どもに丸投げ」して、自分たちは、ただ黙々と、「忙しい」を口癖に、変化を嫌い、目の前のことに取り組むだけになってしまうから、それは、無責任と言われても仕方がないかもしれない。

 そんな大きなことを考えると、後ろめたさもあるし、自分のことを振り返ると、あまりにも何も出来てこなかったから、さらに恥ずかしくもなるのだけど、それでも、何歳になっても、自分にも未来はあるのだから、なんとかしていこうと、思っています。

 これは、時期的にも、来年の抱負のようなものでもあるのですが、何より自分自身が、すぐに怠けたくなるので、忘れないように、ここに書いておこうと思いました。



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おちまこと
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