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「悔しいほどの秋晴れかもしれない」。2020.10.31.

    午前9時前に駅に向かっていたら、今日は本当に天気がいい。 
 毎週土曜日に出かけるようになってから、半年くらいだけど、もしかしたらもっとも、駅のホームに人が多いかもしれない。

 いかにも運動部の格好をした中学生男子の団体と一緒に電車に乗った。車内は、人とくっつきそうなくらいの密度になっている。

 窓は、けっこう開いている。

 外を見ると、天気がいい。
 そのせいか、ちょっとぼんやりして、ドアの横のバーを、ギュッと握ってしまい、ハッとする。

多い人手

 私鉄の終点に着く。
 降りたら、ほぼラッシュ時のような人の多さになっている。
 その中で、スーツケースと、ベビーカーが目立つのは、土曜日のせいかもしれない。

 歩いて、次の電車に乗り換える時に、改札に入ってすぐに、人の流れから少し離れて、一つだけあるアルコールのポンプで、さっき車内のバーをさわってしまったから、除菌する。

 ここのホームも人が多い。
 電車に乗ったら、さっきの車両は窓が開いていたのだけど、ここはほぼ閉まっている。ただ、ここに来るまで、一人もノーマスクの人がいなかった。いつも、この行程の途中で、一人か二人は見かけるのに、珍しいと思った。

 そういえば、つり革につかまっている人が多くなった。
 数えたら、車両の中で、全部で7人。男性ばかり。
 さらに、もう一人女性が、つかまった。

ノーマスクの人

 今日は、ノーマスクの人を見ないまま、目的の駅まで行けると思っていたら、少し遠くの座席に2人見かけた。一人は中年で、一人は若い。どちらも男性で、無関係のはずだけど、通路をはさんで、ちょうど向かい合わせの位置になっている。

 そんな風に目線が遠くなっていたら、ドアのそばに立っていたけれど、すぐそばの女性があごマスクになっていた。

 電車の中で、ふっと、これからの用事に関する気がかりなことを思っていた。コロナ禍になってから、電車に乗っていて、そんな風な気のそれ方をしたのは初めてだったかもしれない。

 十数分乗っていただけで、目的の駅に着く。
 降りて、ホームを歩いていたら、さっきのノーマスクの2人の男性も同じ駅で降りて、前を歩いている。車内に目を向けたら、もう一人、ノーマスクの若い男性が座っているのが見えた。

 そんなことに、まだ目がいってしまう。

悔しいほどの青空

 駅の改札を抜けて、外へ向かうと、何度も思ってしまうほど、すごくいい天気で、これだけ雲一つない青空は、久しぶりだと、また思う。

 駅の構内にある「歩きスマホ」の注意喚起を、早口の男性の声で繰り返す小さな機械のことも、ほとんど気にならなかった。

 線路沿いの道を歩く。
 向こうから、スタイルのいい若い女性が胸をはり、いい姿勢で歩いてくる。
 マスクはしていない。

 もうひとり、若い端正な気配の女性も、マスクをあごに控えめにずらして、すれ違った。

 自分が、若さと遠くなってしまったから、ひたすら外出自粛などをしていて、それでも、そんなに苦痛でないし、持病を抱えた家族がいるから、活動的でないことにも、それほどの辛さも感じてこなくて、いろいろと気をつけても、感染のリスクはゼロではないから、祈るように、新型コロナウイルスにかからないように、と思ってきた。

 だけど、勝手な推察は失礼だけど、たとえば、若い颯爽とした女性にとって、今年になってからのコロナ禍は、とんでもなく苦痛だったのではないか、と改めて思った。

 あまり動けない。
 人に会えない。
 マスクをしなくてはいけない。

 そんな時間の中で、もしも、若くなくなっていくような気配を、わずかでも、自分の中に発見してしまったら、それは、どれだけの焦りや苦痛になるのだろうか。そんな想像自体が失礼だとは思うのだけど、自分の周りに若い人が少ないせいもあって、申し訳ないのだけど、そういうことを、ちゃんと考えられなかった。

 若い世代は、感染したとしても重症化のリスクは少ない。そして、マスクは自分を守るためというよりは、万が一、自分が感染していた時に、誰かに感染させないために、マスクをしている若い人がほとんどのはずだった。それは、自分のためではなく、人のためだった。それは、とても偽善的に響くとは思うけれど、ありがたいことだった。

 こんなにウソみたいな青空でも、そんなに自由に外出もできないし、今日はハロウィンで、出かけたかった人がいたとしたら、天気がいい分だけ、悔しい気持ちになるかもしれないなどと、勝手なことを想像した。

 それでも、昼間でも、こんなに天気のいい土曜日だったら、どこかに出かけたい気持ちになるのも当然だから、今日は、こんなに人手が多かったのかもしれない、と思う。


 今日も東京都内の新たな感染者は215人と、報告された。これで、3日連続で200人を超えたが、それほどの驚きも感じなくなっている。やっぱり、感覚は微妙に狂ってきているのかもしれない。



(他にもいろいろと書いています↓。クリックして読んでいただければ、うれしいです)。

『「日常」に戻りたい意志が、充満している気がした土曜日』。2020.10.24.

「外部の視点」の必要性

読書感想 『沖縄から貧困がなくならない本当の理由』 樋口耕太郎 「2020年現在の必読書」

「コロナ禍の中で、どうやって生きていけばいいのか?を改めて考える」。①「コロナは、ただの風邪」という主張。 (有料noteです)。

「コロナ禍日記 ー 身のまわりの気持ち」② 2020年4月  (有料マガジンです)。


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