良ゲー・クソゲーが生まれる要因とは
僕は大小合わせると結構な数のゲーム開発に関わってきたのですが、その中でも売れた物と売れない物、面白い物と面白くない物がありました。
※そもそも面白く無い物を何故作るのか、と思う人もいるかと思いますが、人には趣味嗜好があります。自分は面白く無いと思っても他の人(特にえらい人)が面白いと思えば作るものです。
開発に参加した職種もドッターだったり3Dデザイナーだったり、プランナーだったりディレクターだったり。
良ゲーランキングで1位を取ったり、クソゲーランキングで1位を取ったりもしていましたw
そんな中で、良ゲーとクソゲーがどういう環境で生まれたのか、経験則ですがまとめてみたいと思います。
…あ、先に言っておきますが、特にゲーム論を語る訳ではなく経験則なので、ゲーム論は期待しないでくださいw
企画書の良し悪し
まずはプロジェクトを始める前に重要な資料となる企画書について。前述しましたが、良ゲーかクソゲーかは人によって判断は変わるし、発売される迄は分からないと言うのも正直なところです。
綺麗な企画書でもつまらないし、汚い企画書でも面白いものはありました。
プロデューサーとディレクターの良し悪し
プロデューサーは人と金を集めるのが仕事です。それだけで良くて、開発のジャマさえしなければ特にどんな人でも問題はありません。
ですが、ディレクターの能力はとても重要です。「一頭の獅子に率いられた羊の群れは、一頭の羊に率いられた獅子の群れを駆逐する」と言う言葉もあるように、ディレクターは基本的に有能である事が必須条件で、凡人レベルでもクソゲー行きは免れないでしょう。
僕が関わったゲームでクソゲー呼ばわりされた物がありますが、間違いなくディレクターの能力の低さ故だと断言できます。
開発期間の良し悪し
長ければ長い程調整ができるので良いのは当然なのですが、グダグダ迷走してお蔵入りと言うパターンはあります。
「良い物を作るためには納得のいくまで改善を続けよう」なんて、夢みたいな事を言う人がたまにいますが、その思想で良ゲーは絶対できないですね。
期限無く改善を続けるうちに開発費は尽きますし、人心も離れていきます。
適切な期間、適切なマイルストーンの設定が重要で、ここはディレクターやプロジェクトマネジメントの能力が求められる所です。
人間関係の良し悪し
これも良いのが良いはずなんですが、ディレクターがスタッフにめちゃくちゃ嫌われていたプロジェクトでも良ゲーが生まれた事はあるので、あまり大きな要素では無いようです。
「あのディレクター嫌な奴だから、さっさとこのプロジェクト終わらせよう」と言う暗黙のスローガンのもと作っていたら結果として良ゲーだったので、自分の仕事はきっちりこなすプロ意識が重要なのかもしれません。
「慣れあい」と言う言葉があるように、人間関係を大事にしすぎて意見を言えない現場もあるので、なかなか難しいです。まぁ最初から最後まで皆がニコニコ楽しく作って良ゲーになるなんて稀有な現象ですが。
給与の額とか開発環境の良し悪し
これは僕の環境にもよると思いますが、悪ければ悪いほど良ゲー率が上がってるんですよね…
業界全体がそうとは思いませんが、良い環境ほどスタッフの質が落ちると言うか何と言うか…
でも、環境が悪い会社でも悪評は聞くので、ここは運なのかなぁ。
ゲームにかける情熱の良し悪し
最後に一番重要と思う項目について。
情熱があればあるほど良いのは当然ですが、それは皆の意識が合っている時の相乗効果は良いんですが、合わなかった時が最悪なんですよね。
僕はゲーム作りの例を料理に例えるのが好きなんですが、「カレー」を作ろうとした時に「甘口派」と「辛口派」で意見が分かれるのは当然な事で、「甘口」的なゲームを作っていると、どうしても「辛口派」は否定的な意見を抱えながら作業をします。
そこで自分の仕事をこなせば良い、と引いてくれれば良いのですが、「自分が面白いと思うゲームを作りたい」と言う情熱がある場合はそうもいかず、ディレクターがうまくまとめてくれれば良いんですが、なかなか難儀する場合が多いですね。
…上手くまとまりませんでしたが、自分の経験から言うと、ディレクターの能力が全てを決めると言っても過言ではありません。
あとは運ですかね、身も蓋も無いですが。
でも、その運を引き寄せるのは、自分のスキルだったり勤務態度による周囲の判断の結果なので努力するのは大切だと思います。