『盗作』を、聴く。
『盗作』を、聴いた。
『盗作』とテーマがつく曲を、聴いた。
初めて、聴いた。胸が高鳴る。
以前までの私ならここに順位をつけるだろう。この曲が好きだ!この曲が心地良い!この曲がお勧めだ!と。でも、そうはしない。
朝起きて、窓を開ける時間もなく忙しく支度を済ませる。朝食は食べたり、食べなかったり。そんな風だから、苛々しながら玄関の扉を開ける。
夏の匂いがした。
そうだ、梅雨が明けたんだ。
車のエンジンをかける。カセットを押す音がする。音楽が流れる。なんだか嬉しくなった。実際には勝手に流れているだけだが、音楽を聴く為に"再生"を押す気分が味わえた。嬉しい。音楽を聴く為に一手間掛けることが、どうしてこんなに嬉しいと思うかは不思議だ。もう一度言うが、私は"再生"を押していない。
仕事中、つい鼻歌を歌ってしまう。「花人局」と「レプリカント」だった。ーーーこの曲、好きなのかな。
帰り道。ピアノの音が心地良い。
なんだかほっとした。
ずっと心が落ち着かない一週間だった。喜怒哀楽で音楽の聴こえ方が違う。『月光ソナタ』が人によって聴こえ方、感じ方が違うように。一人の人間なのに心の情緒でこんなにも感じ方が違うのかと。私は普通じゃないんだな。
次はどんな聴き方をしようか。
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