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装画を担当している「侠飯」シリーズについて
福澤徹三さんの小説「侠飯」シリーズの装画を担当しています。
「おとこめし」と読みます。
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このシリーズは、2014年末に文庫書き下ろしとして出版された第1作目が好評を博し、シリーズ化されました。ドラマや漫画化もされ、毎年新作が出版されています。そして2024年には、第10作目が刊行されました。
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表紙に毎回描かれているコワモテの男は「柳刃」という名で、実は主人公ではありません。このシリーズの主人公は毎回異なり、大抵は未熟な青年で、何かしらの問題を抱えたり、トラブルに巻き込まれたりしています。例えるなら、ドラえもんとのび太のような関係性で、ダメな主人公のもとに、謎めいた柳刃が現れ、問題を解決へと導いていくのです。
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謎の男柳刃は舎弟の火野と共にどこからともなく現れ、
フードワゴンのシェフ、ヤクザ事務所の客人、角打の店主など様々な姿に扮して登場し、あらゆる場所で絶品料理人をふるまい、食事を通して主人公との距離を縮めてきます。
柳刃の正体は1巻で明らかになるのですが、これはネタバレになるので伏せておきます。
第1巻以降の読者は柳刃の正体を知っているのため、彼の正体を知らない主人公やその周囲の人々を見守るような視点で物語を楽しめます。
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また、このシリーズの魅力の一つは、柳刃が提供する料理の描写です。各章ごとに登場する料理には細かいレシピが記載されており、どれも簡単に調理できるため、読者が実際に試すこともできます。レシピ本としての実用性も兼ね備えています。
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そしてもう一つの楽しみが、柳刃の説教です。普段は寡黙な柳刃ですが、料理の話になると饒舌になり、料理と主人公の境遇を重ね合わせながら核心を突くような言葉を投げかけます。人生や仕事に対する名言が数多く登場し、読者の心にも深く響きます。
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普段小説を読まない人でも、さらっと楽しく読めると思うので興味があればぜひ読んでみてください。
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