閑話休題
昔書いた原稿が、改めて公開されている。(https://number.bunshun.jp/articles/-/854891)
ノリックと聞いて、反応が返ってくるのはある程度歳を重ねた読者だろう。
90年代、モータースポーツは今とは比べ物にならないくらい人気があり、鈴鹿(サーキットがあるのです、念のため)市の隣町で育った私は、その熱狂をより身近で感じてきた。
今はもう時効だからいうけれど(時効だよね)、私が津西高に通っていた頃、鈴鹿サーキットには秘密の抜け穴があり、そのフェンスの穴を通ってレースをのぞき見ることができた。
ノリックの勇姿をじかに見たわけではないけれど、レーサーは憧れの対象で、オートバイを一度も所有していないのに無駄に二輪の免許を持っているのはきっとそのせいだ。
時の移ろいは早い。あの事故からもう15年……。この原稿を書いてからも9年の月日が経つのか。モータースポーツが大好きな編集者の熱意に引っ張られるようにして、専門外ながら二輪の原稿を書かせてもらったのだった。
拙い表現も見受けられるけれど、どんな仕事もその時のベストを尽くしてきたことだけは胸を張って言える。
ノリックというライダーのことを、今の若者が知ってくれたらうれしい。知っている世代とは、ともに手の平を合わせたい。
今日は阿部典史さんの命日だ。