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音雑穢 #1007

神沼三平太 with voicepeak
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純子さんとその家族は、彼女が中学生になる前の春休みに新しい家に引っ越した。
 何故なら前に住んでいた家はお化け屋敷だったからだ。幽霊を見るのは日常茶飯事で、家電製品はなぜかすぐに調子が悪くなり、水回りはいつでも妙に生臭かった。両親の仲は悪くなかったが、それでも月に一度は些細なことで喧嘩を繰り返していた。
「春休みに引っ越すぞ」
 ある日そう父親が言った。母親も全面的にそれを支持しているようだった。
 急にどうしてそんなことを決めたのかと尋ねると、父親は説明してくれた。
「この家は、リビングと寝室が二階にあるだろ。今は家族みんなで二階で布団を敷いて寝てるよね」
 頷いた。
「君は来年中学生だから、個室を与えようと思ったんだ」
 そうなんだ。それが何故引っ越すことに繋がるんだろう。
「知り合いの占い師の人がね、一階で寝かすと、病気になるからって」
 母が続けた。確かにその部屋はいつでも黒い影がウロウロしている部屋で、自分も入りたくないなと思っていた。
 引っ越してからは、両親の仲は以前よりも良くなり、夫婦喧嘩を見たことは一度もない。

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