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ワルツフォーデビーに込められたもの
ジャズをあまり知らない人にジャズのアルバムを聴かせるとなった時、やはりビル・エヴァンスの"ワルツフォーデビー"を選んでしまう。そうすると概ね好印象を持たれるのだ。
"ワルツフォーデビー"は日本でのジャズアルバムセールスで最も売れているアルバムの一つらしい。おそらくジャズファンじゃない人たちも購入しているのだと思う。
タイトル曲の"ワルツフォーデビー"はビル・エヴァンスのオリジナルナンバーであり、可憐なメロディが印象的で、はじめて聴く人も魅了するものがある。
ジャズ喫茶じゃないお店でもこの曲が流れていたりすることがあって、この曲を聴いたことのある人は意外に多いのかも知れないと思う。
しかし、その曲に込められてる本当の思いを知っている人は、それほど多くはないのではないか…。
私自身、"ワルツフォーデビー"を初めて聴いたのは学生の頃だった。美しいメロディだなぁというのが第一印象で、当初はそれほどの感動はなかったように思う。
やがて、ジャズをたくさん聴きはじめ、ジャズ喫茶体験もしながら、ジャズの奥深さを知ることになる。
ビル・エヴァンスの凄さもわかるようになり、"ワルツフォーデビー"も単なる美しい曲ではなく、ジャズの凄さを体現している演奏だと思うようになり、もちろん大好きになった。
"ワルツフォーデビー"というアルバムと"ワルツフォーデビー"の演奏自体も、コアなジャズファンをも唸らせる内容なのである。
でも、それだけでは、私の認識はまだ足りなかったのだった…。
もともとワルツフォーデビーは、ビル・エヴァンスが当時2〜3歳だった姪っ子のデビーのために創った曲だった。
そして、彼はその曲を演奏する時はいつもデビーの成長を思い浮かべながら演奏していたのだという。
したがってこの曲自体もデビーの成長に伴って成長していくのだ…と彼はベーシストのエディゴメスに語っていたそうである。
ビル・エヴァンスは、生涯に渡ってこの曲を演奏し続けた。
たくさんのアルバムに"ワルツフォーデビー"の演奏は含まれており、それは彼の死の間際の演奏にも含まれている。
なぜ、"ワルツフォーデビー"があれだけ多くの人々を魅了するのか…技術的な裏打ちはもちろんのこと、そこにはビル・エヴァンスの限りない愛情が溢れているからなのかもしれない…。
*雪草微水のイラストを載せているウェブサイト夢源画廊のURLはtime remembered。
これはビル・エヴァンスのオリジナル曲のタイトルであり、彼のドキュメンタリー映画のタイトルにもなっている。ミスタージャズ喫茶の異名をとる、茶会記クリフサイドのオーナーで、高校時代からの親友である福地さん命名です。
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