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3LA/Otonashi Records 2023年4月の売上枚数ランキング / パンク・メタルでは物販が売れる
こんにちわ、3LAの水谷です。
4月ランキングを忘れていたので、今更新です。5月もすぐに出す!
だんだん海外オーダーの数量が増えてきて影響がランキングにも現れるようになりました。それはそれで良いことなんですが国内的な流れとはまた別の視点なんで、良い感じに混ざって欲しいなという気持ちはある。相変わらずむちゃくちゃなランキングなんだけど、やはりヒットチャートは大事だしこれが3LAの歴史・記録でもあると思うと今後もしっかり記録していきたい。
思いの外、激情ハードコアタイトルは少ないんだけど、このジャンル自体リリースが少ないので仕方ない。だからそこは自分の頑張りどころ。
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No.1 wave flower / 青い薔薇 (aoibara)
http://longlegslongarms.jp/music/products/detail.php?product_id=2606
なんと。実は国内より海外オーダーが多くて蓋をあけてみたら4月1位でした。国内シューゲイズ/邦ロックの知名度的にもまだまだ浸透していないバンドなんですが、海外リスナーのほうがもしかしたらフラットに聴けるのかもしれない。現在において、シューゲイズ=ギターロックだし、エモ=ギターロックだし、オルタナ=ギターロックだし、グランジ=ギターロックなんですよね。他邦ロック勢と圧倒的に違うのは、隠し切れない陰鬱さ、メランコリックなメロディとRAWサウンドの組み合わせはなかなかいないのかもしれない。そろそろ無視できないのでは?と勝手に書いておきます。
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No.2 冷刻 / kokeshi
http://longlegslongarms.jp/music/products/detail.php?product_id=2656
4月リリースの新作、ライブの評判も相まってセールスが順調に伸びています。前作より色々と更新、踏み込んでいった部分もあってリスナー層も増えているんじゃないかと思います。2000年以降の比較的新しめのメタル(このあたりのニュアンスは難しいが)の世代感とビジュアル系的暗黒表現がより磨かれた形で、もちろん明日の叙景とは違うんだけど彼らもまた日本独自の感覚を音に落とし込むことに成功している。それを安易に"世界標準"だなんて自分は言うつもりはないんだけど、やっぱりどこか異形のものがあったほうがコア的な面白さはある。これらの浸食の中で今後も多くの面白い音楽が生まれてくると思う。という風に書いたんだけど、最近マジで思うんだけど海外リスナーの文脈がだいぶ海外のリスナーにも理解されるようになってきたよね。
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No.3 Driven by the Emotion / AMBIVALENCE
http://longlegslongarms.jp/music/products/detail.php?product_id=2657
愛知、名古屋からむちゃくちゃかっこいいバンドが登場しています。AMBIVALENCEの1stとなるカセット。
ドゥームストーナーなブルース感のあるギターリフも相まって1曲目「Lepidophylla」こそそういうバンドなのかなと思わせつつ、2曲目「The pain never goes away」では一気にハードコアへ雪崩れ込んでいく様の中で、このバンドやばいかもしれないという確信が生まれていく。ジャパニーズハードコアな匂いも感じるボーカルと、もはやいつかのネオクラストを彷彿とさせるような旋律のギターリフと疾走、からのズルズルのストーナーパートへと突入していくところで死にました。収録されている曲は全3曲でそのどれもが異なる性格を持っていてバンドの全貌は未だ不明。地下ハードコア/メタルのダーティさが空気感でめちゃくちゃ伝わってくるのにやっていることはすげーハイブリッド、という期待値しかない音源となっています。
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No.4 CHIKARA / POWER
http://longlegslongarms.jp/music/products/detail.php?product_id=2636
見事に売れ続けている。
そもそも試聴無し状態でこんな売れ続けるもんなのか?と思ったけどJune Of 44のときのライブ映像が公開されていました。このライブ映像は結構エモめだったんで音源の質感やテンションとはまた違うんですが、ライブのほうはビートが重めでバンドの良さがある。
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No.5 遠ざかる / MEIAN
http://longlegslongarms.jp/music/products/detail.php?product_id=2666
以前もEPがリリースされておりScreamoのマニアックスなリスナーからの支持もあったMEIANの久しぶりのリリースはcold winterと同時にNorthern Sadness Productionsから。
はっきりいってこの2020年代において王道の激情スタイル(Skramz/Screamo)を突き詰めていくバンドはほとんど存在しないレベルで少なくなってしまっているのだが久しぶりに聴くMEIANは正面からモロのゼロ年代欧州スタイルと、彼ら独自の感覚で練り上げられた日本の(というより北の?)悲哀も込められた音になっていて、この出来栄えには激情ファン歓喜だろう。DaitroやSed Non Satiataといったフレンチな味わいが日本固有の醤油ベースで改変されたようなニュアンス...違うかも。性急なエモバイオレンスではなくミッドテンポ主体のエモーティブなハードコアであることが一番のポイントだと思う。2023年は多くの国内バンドのリリースがあるけれど、彼ら北の住人達のサウンドも当然見逃せない。
No.6 lovefullstudentnerdthings / Cruyff
http://longlegslongarms.jp/music/products/detail.php?product_id=2659
こちらも海外オーダーがあったためランキングを押し上げた形に。90年代のヘヴィオルタナ、HELMET的なハードコアさもあるグランジを混ぜ物にした感覚の前作であったが、このアルバムを聴いてみるとより日本語歌詞が前に出てくるようになっていて、より「歌モノ」感を強めていると思う。シューゲイズな空間の歪みとダウナーなビート、しかし洋楽への憧れというわけではなく邦ロックなポップ性を融合させているのだが、その力加減のない暴力的な融合具合が面白い。「POWERPUFF BOYS AND A GIRL」のキーワードを基に「パワーパフガールズ」について学んだ結果、彼らの強烈なミックス・カオス志向こそケミカルXであるということに行き着き納得した。
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No.7 BODY / SPOILMAN
http://longlegslongarms.jp/music/products/detail.php?product_id=2016
最新作リリースに合わせてSPOILMANの過去作が売れています。もはや何も言うことはねぇ!
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No.8 『人間といえば?』『愚か!』『ですが…』/ cold winter
http://longlegslongarms.jp/music/products/detail.php?product_id=2665
Still I Regretやblue sketch.といったバンドで活動してきた千田akaみちのく氏の新バンドということで、逆に言うとそれ以外の前情報は無し。しかしNorthern Sadness Productionsとしてレーベルを立ち上げた上で、MEIANと同時リリース...しかもCDとカセットのバージョンもありという気合いの入りよう。"北の悲しみ"...中央集権化と貧富格差が加速していくこの現代社会においてローカル性を意識することは重要だが、レーベルやバンドの表現として閉じるのではなく繋がることもまた重要。すでにbandcampでも楽曲は公開されているんだけど、90年代のアンダーグラウンドなハードコアが背景になっているのはそれはそれでベースとしつつ、千田さんバンドの中ではこれまで以上にポップ性(越境性)がある表現になっている気がする。という知人特有の歴史の感じ方をしてしまうけれど、バンドの演奏的にもフレッシュな感覚があって、賛否が別れそうなタイトルも含めて、これは東京には無さそうだなっていう要素が散りばめられている全3曲EP。
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No.9 SOLID GREEN / SPOILMAN
http://longlegslongarms.jp/music/products/detail.php?product_id=2247
こちらも1st同様、新作リリースに合わせて過去作が売れるパターンです。もはやプッシュし過ぎて何も言うことがねえ。
最新作の『COMBER』好きな人には『HARMONY』より2ndの『 SOLID GREEN』のほうがいけるかもしれません。
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No.10 HARMONY / SPOILMAN
http://longlegslongarms.jp/music/products/detail.php?product_id=2449
というわけで、おそらく創作意欲に自身のフィジカルが追い抜かれているバンド、SPOILMANの3rdアルバム。最新作『UNDERTOW』気に入った方はこの3rdのほうをお勧め。
パンク/メタルでは物販が売れる
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