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8/5ライブについて真面目に書いた。合理的な判断基準を失った人間の企画かもしれない。

以前から告知をしていますが北九州の2バンド、HAERERE + herside スプリットレコ発を8/5に開催します。
チケットの予約はtigetか、tiget使えない方向けに3LA取り置きフォームを用意しています。
会場は、かなり昔からお世話になっている新宿のNINESPICESで、quiquiのレコ発した時のようなフロアライブスタイルになります。
noteで書くのはタイミング的にもこれが最後の告知になりそうなので、是非みんなには来て欲しいなと思っています。

tiget : https://tiget.net/events/246580
3LA取り置きフォーム:https://t.co/NHR1sT5Ax8

quiquiのレコ発、この時のフロアライブスタイルは雰囲気結構よかった

作品をリリースしているわけでもない北九州の2バンドに東京に来てもらってレコ発をする、というのは一見その理由がわかりにくいと思うのだが、今年2023年前半期にリリースされた彼らのスプリットが3LAのディストロ大量に売れて、それに引っ張られる形で彼らの過去リリースしたEPも売れて、計算すると合計100枚以上で売れている、というミラクルヒットしている現実に対して自分も何かしなくていけないと思ったからです。
それだけが理由ではないけど、ということでそれだけではない理由を以下のテキストに込めてみたい。

3LAというディストロは東京だけではなく東京以外の各地で活動しているバンドのリリースも入荷することがあり、またお客さんも東京だけではなくて日本各地に点在(最近では海外も増えてきた)しており、特に自分たちの生活圏でないところで活動しているバンドの情報というのはやっぱり作品のリリース時に知ることが多い。3LAの入荷ツイートなんかで「ああ、そういうバンドがいるのね?」と知ってくれる人もいる。ありがたい。

あとは「売れている」という事実により「そんなに売れているならチェックしてみようかな」みたいな感覚でチェックしてくれるパターンだったり、ディストロ通販は1万円以上購入で送料無料にしているので、欲しい物とは別で「なにか追加して送料無料にしてぇな」みたいなときにチェックするようなパターンもあるかもしれない。まぁそのきっかけはなんでもいい。とにかく、HAEREREとhersideのスプリットは売れたのでした。

彼らのやっている音楽はScreamo(日本では「激情」と呼ばれているタイプの)だったり、ポストハードコア(これもメタルコア系じゃないほうの)だったりと一般的には非常にアンダーグラウンドな音楽で、かつて日本でも00年代くらいまでは地下でも人気や熱があったけれど、現在の2020年代において現実的なところで言うとプレイヤーもリスナーもアクティブなところでは減少傾向にある。
一方で世界的には1990年代のリバイバルはずっと続いているし、2000年代激情/Screamoの再評価/リイシューの波も加速しているんだけど、現行で活動しているバンドはそんなに増えてはいない。ちょっと言い換えると、今でもそういった激情ハードコアや、ポストハードコアを"信じている"プレイヤーやリスナーはだいぶ少ない、ということでもある。

レコード販売をしながらそんな現実と直面していると、結局売れるのは新作よりも過去の名盤なんだよなとか思うし、昔好きだったレーベルも今や再発/リイシュー商売の比重が多くなっていく。というか、「よくわかんない新しく出てきたもの」よりも昔のものばかり面白がるオトナ帝国みたいな世界観=現代なんじゃないかと思っている中で、「この音は....今でも激情ハードコアを信じている人間の音だ!」みたいなバンドが出てくるのが嬉しかったのかもしれない。HAEREREとhersideはそんなタイプの音だったし、おそらく東京に呼べるのはこの機会しかないだろうし。

ディストロはずっと音源を売るという活動しか関わってこなかったけれど、なんか偶然の同時代性的なものをもっと大切にしたほうが良いような気がするんだよね。
出演するxontoやraikaは以前メンバーがやっていたバンドもそうだったし、今の彼らの音にはそういった歴史を感じることができるしさらに更新されてるから良い。彼らの音源もよく売れた。
Gensenkanは出演する中では若いバンドだけれど、彼らが登場してきたときはまさに今でも激情ハードコア信じている人間だと思ったので、今回このメンツの中に入っているのも聴けば納得してもらえると思う。音源売れたし。
SPOILMANは激情ではないんだけど、彼らもまたメインストリームから捨て去られた音を信じてる一派であることは確信しているので問題ないでしょう。いろいろな解釈がある、というのが日本のいいところなんでそんなイベントになるといいなと思ってます。
スプリットレコ発の体ですが全バンド3LAのディストロで音源よく売れているのでディストロショウケースみたいな感じかもしれない。

チケットの2500円という価格は北九州から2バンド呼んでる内容で、いくら集客しても交通費を全額ペイできるような価格設定ではないんですが、今回のイベントはどちらかと言うと観てもらうことに意義があると思っていて、同じ時代に異なる答えを持っている人間同士が集まること。それはプレイヤーもリスナーも関係なくっていう話だと思っています。

俺はお金が大好きでイベントするなら赤字になりたくないという人間ではあるんだけど、金に換算できないくらい激情ハードコアが好きだし今でも信じている人間でもある。そしてこの手の音楽は東京であろうとリスナーの絶対数が少ないことはわかりすぎているのでw 本当に来たい人だけが来てくれたらいいとは思っているんですが、でも気になっているのに見逃すのはNGで、絶対チェックするべきだと思っています。

なんか自分たちのやっていることの本質は売れる/売れないの基準でジャッジするもんじゃないと思ってきていて、面白いならやってみるべきだろという開き直りが重要な気がします。だから今回は合理的な頭が動いていないし、北九州からやってくる2バンドにもそういう意味で同じ狂気があると思いますね。30分のライブのために何時間かけてやってくるんだという、そんなライブをみんなも観たくないですか。

合理的な判断基準を失った人間の企画、よろしくお願いします。


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