quiqui『もう少しの暦』 補足解釈
レコード出ましたね
この記事はquiqui『もう少しの暦』のレコード盤がようやく出ることになりましたので、まだ世に出ていない作品の周辺情報を補足する記事になります。アーティスト側と答え合わせしていない解釈もあるので、自分の解釈になっているポイントもあります。はっきり言って超無駄記事なので、忙しい現代人は読まないほうがいいと思います。時間を使える貴族のあなたへ贈る贅沢品でございます。
noteにてquiquiについてすごい熱量で書いている人がいた!ということで紹介しておきます。
かなりの長編。こういう無駄な熱量が好きですね。
基本作品てアーティストサイドだけで完結することはなく受け手の解釈があってはじめて成り立つのだと思います。現代の表現は受け手がどう解釈するか、までデザイン詰めちゃってるよな〜っていう作品も多いですよね。それがビジネス。受け手に自由度を残して委ねているのがアートだと思いますね。
極論を言えば若い世代のEMO解釈って間違っていると思うんだけど、その誤解や間違いがアートの始まりだと思う。なんやかんやうるさいおっさんたちは一生答え合わせしていればいい。
『もう少しの暦』制作段階の思い出
そういえばこのアルバムを制作しはじめた時、「町の鈴生り」をリリースした後バンドは持ち曲がない状態になっていたと思う。2019年にはリリースしようという話だったけどなんやかんやで伸びて、さらにはコロナに追い討ちかけられて、という状況。でもメンバーから送られてきたデモ音源がすごく良かった。「激情ハードコアじゃなくなってるかも」っていう話もあったんだけど、打ち込み主体の曲が多いし「これどうやってライブで再現するの?」っていうトラックがたくさん。アルバムに収録されている「ssss」がそのニュアンスを多く残しているけど、明らかに激情ハードコアから逸脱していたバンドのテンションを感じました。
https://www.youtube.com/watch?v=v-d7t3xGRw0
この曲もこんな狂った音になるとは…。
『もう少しの暦』のタイトルとカレンダーについての解釈
そういえば、と思い出したのはこのタイトルの意味や、アートワークやMVの裏テーマ(?)。ここはバンド側とあまり認識合わせしていないところで自分の解釈も入ってしまうんだけど、『もう少しの暦』に封入されているカレンダーは、適当なカレンダーではない。明確に、西暦何年のカレンダー、というのが決まっています。これは意図的なもので、カレンダーの中で1日だけ欠落している日があって、そこだけが空席になった形になっています。
暦は不完全なものだった。だから「もう少しの」っていうタイトルが付いているんだと解釈しています。じゃあその欠落ってなんなの?って感じなんですが。
追記: Grumble Monsterの記事より
なるほど!と思ったのですが、「もう少しの暦」という穏やかな曲自体がアルバムの中では異質で、この曲の存在=カレンダーの欠落した1日の部分に相当するのだなと思いました。
https://grumblemonster.com/music/quiqui/
生と死の再生産
カレンダーで欠落しているその日は、どことなく死を連想させる。MVは自分のわりと苦手なタイプな、男女のカップルの映像なんだけど、これってただイチャイチャしてるわけじゃなくて、過ぎてしまって二度と帰らない日々感がめちゃくちゃ出ていて。その一回生の命を「花」の暗喩に込められていたりする。この曲のリフレインは最後、なんども同じフレーズを反復する。「僕等はぐるぐると回る」の歌詞のとおり、何度も何度も。MV中でも鳥のシーンなど、ループが使われていたり、直接的にではないにせよ、一回かぎりの命とは対照的な、日常の繰り返しを同時に表現している。
レコード盤で完成される表現
レコードの最後の溝には仕掛けがあって、アルバムが永久に終わらない仕様になっている。最後に向けてバグっていく音がまるでタイムリープの円環から抜けられないかのように、永久に溝をループする。ここの最後の表現についてもバンドとは認識あわせをしていないんだけど、日常や暦がこれから先も永久に続く中で、このカレンダーに欠落した1日は永遠にそのまま忘れることが出来ない、と解釈するか。
もうひとつは、これはこれから先も日常を繰り返すという意味のループではなく、このアルバムに表現されたある1年の暦から永久に抜け出すことが出来ない、という解釈なのか。またはそれ以外の解釈なのか。
アルバムアートワークの絵も、暦をより抽象的に表現した絵画で、片桐さんの絵もバンドと解釈の認識あわせをしないで音とタイトルだけで感じたままに描いてもらったものですが、不思議と世界観はぴったりあっていたりしますね。
アルバムをレコードでたのしんでください。
他、思い出したらまた追記します。
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