女子大生美織の成育日誌01.謎の手紙
短大の入学式はスムーズにすすんだけれど、慣れないスーツに慣れないパンプス、そして、慣れない級友(クラスメイト)たちに、新居にもどった笹川美織(ささがわみおり)は、パンプスを脱いで部屋に上がるとぐったりとしゃがみこんだ。
どのくらいそうしていただろうか……ガタン、玄関のドアポストに郵便物が投函された音がした。
微睡みかけていた美織は、顔を上げる。
(……郵便物? まだ住所、誰にも知らせていないのに……?)
ぼんやりしたまま、玄関に向かった美織は、ドアポストからレターパックライトを取り出して、首を傾げる。
(ん? ちゃんとした郵便物だ……宛名もわたしだし……)
しかし、差出人欄に住所はなく流麗な筆跡で「篠崎将也」と記されていた。表に、「親展」と書いてある。
(すごい達筆……! 親展ってあげますってことよね? でも住所がないのによく配達してもらえたな……しのざきまさや、知らない名前だ……)
美織は封を開けた。中には、手紙が数枚、空のバインダー、DVDらしきディスクが入っていた。
(なんだろ……?)
手紙を開いてみる。
〈あなたは誰?〉
差出人欄とおなじ流麗な筆跡でそう書いてあった。
(わたしはソフィー・アムンセン……なんてね。わたしは笹川美織)
一枚目はそれだけだった。二枚目にすすむ。
〈女性であることを受け容れられていますか?〉
(うんたぶん。とくに、違和感はないし)
〈処女ですか?〉
(やだ、なに、これ?)
処女なうえに、奥手な美織は顔を赤らめた。
〈自慰をしたことがありますか?〉
あるはずがなかった。
考えただけで美織は背徳感にくらくらした。
質問には回答欄が別紙に用意されていた。
〈この秘密の講座は完全無料のあなたの性の開発講座です。
講座をはじめるにあたり、連絡事項をお伝えします。
1.わたし、篠崎将也への返信・連絡はアパートのエントランスにある目安箱に入れること。
2.万が一、講座を辞めたい場合はアパートのエントランスにある目安箱に使用済み未洗濯のパンティーを入れること。〉
(パンティーを? やだ、できるわけないし……!)
別紙の解答欄に、美織はごくごく正直に答えていった。
*
つづいて、第一回目の講習のテキストを美織は開いた。
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